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<不動産仲介ヒヤリハット!>(2)2項道路を路地状部分と思い込み

10/4発売『ヒヤリハット! 不動産仲介トラブル事例集』から、トラブル事例を紹介します。noteの記事タイトルの事例番号は書籍にあわせています。

トラブルの要点

隣接地の形状から敷地延長と説明した路地状部分が、建築基準法第42条第2項道路であることが判明し、建築有効面積が減少

トラブル発生の概要

仲介担当者Aは、現地調査において、売買対象物件の南西側隣接地が一見して敷地延長の形状をしていたため(PDFファイル内 資料②参照)、隣地の路地状部分であると判断し、重要事項説明においてこの隣接地を「隣地通路」と(PDFファイル内 資料④)説明しました。ところが、引渡し後、買主Yが、「隣地所有者からこの部分は建築基準法第42条第2項道路だと知らされた。いったいどうなっているんだ。」と怒鳴り込んできました。
買主Yは、この部分が道路であるため、建築有効面積が約10㎡減少するとして、売主Xに売買代金の減額を請求し、仲介会社には仲介手数料の減額および重要事項説明書の訂正・再交付を求めてきました。

トラブルの原因

仲介担当者Aは、現地にて一見すると敷地延長地と誤認しやすい形状の南西側隣地について、公図上(PDFファイル内 資料③参照)でも単独所有の旗竿地の形状であったことから、路地状敷地と思い込み、役所調査において南西側通路部分の確認を怠ったためトラブルとなった事例です。

トラブル対応および再発防止対策

建築基準法第42条第2項(いわゆる「2項道路」)は、昭和25年の建築基準法(以下、「基準法」という。)制定時に既存建築物が存在する4m未滴の道路について、「再建築時にその道路の中心線から2m後退すれば4m道路に接したとみなす」こととしたものです。
特に注意を要する点は、基準法制定時に個別に2項道路を指定したのではなく、該当要件のみを示して一般的に指定(一括指定)したことにあります。
そのため、古くから市街化が進行した地域において、戦前から住宅があったとみなされる1.8m以上4m未満の道は、原則的に2項道路とみなされる可能性が高いといえます。
当該物件の隣接地のように敷地延長に見える路地状部分であっても、2項道路に指定されている場合があることから、見た目の形状や先入観にとらわれず物件調査を行うことが重要となります。
本取引では、重要事項説明書の「敷地と道路の関係」記載欄に隣接する2項道路部分を隣地通路と記載しており(PDFファイル内 資料④参照)、重要事項説明における調査ミスが明らかであったため、売主・買主への謝罪を含め、売買代金ならびに仲介手数料の減額により問題解決をすることとなりました。
「敷地と道路との関係」に関する調査において、特に2項道路など道路幅員に影響するケースでは、調査ミスにより建築有効面積の減少など大きなトラブルにつながる可能性も高くなります。本事例の隣接地のように一見して2項道路と気が付きにくいケースも少なくないため、調査において予見に基づき調査範囲を限定することがないように、基本に忠実に、チェックリストを活用するなどして、網羅的な調査を心掛けることが重要です。

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トラブル事例2 2項道路を路地状部分と思い込み

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