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<不動産仲介ヒヤリハット!>(13)相続した土地の境界確定

10/4発売『ヒヤリハット! 不動産仲介トラブル事例集』から、トラブル事例を紹介します。noteの記事タイトルの事例番号は書籍にあわせています。

トラブルの要点

売買契約を締結した既存戸建で、境界確認の際に隣地所有者の主張する境界が売主の認識と異なることが判明

トラブル発生の概要

父親が一人暮らしをしていた実家の戸建住宅を相続した売主Xは、利用する予定もないことから仲介会社Aに売却を依頼(PDFファイル内 資料①参照)しました。売買契約(実測売買)を締結し(PDFファイル内 資料③参照)、その後、土地家屋調査士(測量士)に測量を依頼して、隣地所有者との間で境界位置(PDFファイル内 資料②参照)の確認をしようとしたところ、隣地所有者から「境界線は、5cmそちら側ですよ。そのことは、あなたのお父さんと話をして了解済みです。将来建替えや売却の時には、そちらが塀を作ることになっていたんです。」と主張されました。
隣地所有者が主張している境界線の位置は、売主Xが売買契約締結時に買主Yに告知した位置と異なっていました。仲介会社Aは、境界確定の早期解決を迫られることになりました。

トラブルの原因

この事例では、売主Xの認識と異なる境界線を隣地所有者から主張されたため、売買契約遂行の大きな障害となりました。
土地・戸建の売買において、隣接地との境界確定作業は重要な手続きですが、この事例のように対象が相続物件の場合は、より慎重な調査が必要となります。
この物件に売主Xが居住していたのは20年以上前で、母親も早くに他界しており、亡父から境界について何も知らされていなかったことから、相続人である売主Xには、隣地所有者の主張に対して抗弁する資料や情報がありませんでした。
このトラブルの原因は、相続物件の売主であるXに対象物件の詳細を把握していない事情があるにもかかわらず、仲介会社Aが相続物件を取扱う際のリスクを見極めきれなかった点にあるといえます。

トラブル対応および再発防止対策

このトラブルでは、売主X側に境界に関する状況を知る関係者がいなかったという事情はありますが、売主が物件の詳細を把握していない相続案件を取り扱う際は、仲介会社として、境界位置のみならず、地盤や地中埋設物のリスク、建物や設備の整備状況などについて、事前調査を十分に行う必要があります。
トラブルの解決にあたり、仲介会社として売主Xの意向を確認したところ、境界関係の資料も見つからず、隣地所有者との経緯についても確認のしようがないことから、早期解決を優先して、やむなく隣地所有者の主張を認めて売却後の手続きを進めることとなりました。
解決に当たっては、契約時に説明した境界線が変更となり、面積が約1㎡減少することについて買主Yに理解を得て、売主Xが測量士に依頼し、隣地所有者と合意した位置に新たな境界標を設置しました。売買代金は、境界確定後の土地面積にて清算することとなりました。
また、トラブル解決のため事実関係の確認と隣地所有者との交渉、測量等の作業に予定以上の時間を要したことから、引渡し時期が遅延したため、買主Yの手数料を減額することで、 解決を図る結果となりました。
相続物件を売却する場合、売主が非居住であるなどの理由で、取得の経緯や土地・建物について詳細を把握していないケースがあります。境界確定のみならず、売主の告知事項の詳細(「告知書」、「付帯設備表」の作成などを含む)など、仲介会社としてより慎重な事前確認と調査に留意する必要があります。

ヒヤリハット黄色_黒板 (5)

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トラブル事例13 相続した土地の境界確定

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