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不動産流通実務検定“スコア”に挑戦<今週の一問>2021.10.20「媒介報酬」

企画推進課の奥田です。不動産流通実務検定“スコア”に挑戦!

不動産業界で働く方向けのFacebookページからの転載です。
長くて手ごたえのある問題ですが、正解しても、何ももらえないのです😆
ご容赦ください。

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さて、問題です。

Q. 媒介報酬に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

【選択肢】
1.売主Aから自宅の査定依頼を受けた不動産業者Xは、隣接地所有者のBに、Aが売却を検討中だから購入の検討をしてはどうかと話を持ちかけた。その後しばらくしてAは売却を決断し、Bと直接取引条件等について交渉を行い、契約を締結した。これを聞いたXは、AB間の仲立ちをしたのは自分であるとして、A・Bに対して媒介報酬を請求した。
2.買換特約(購入物件の代金に充当する現在居住中の物件が売却できなかった場合は契約の効力が失われる旨の特約)を付して購入物件の売買契約を締結したが、現在居住中の物件が売却できなかったため、契約の効力が消滅することになった。媒介業者は、買換えの実現に向けて、業者としての業務を行っていたとして、媒介契約に基づいて契約時に受領した媒介報酬の半金を依頼主に返還しなかった。
3.媒介契約を締結した売却物件が遠隔地であったため、媒介業者が事前に依頼者に現地調査に必要な費用の見積りを提示し承諾を得て、媒介報酬とは別に、調査費用の実費を受領した。
4.土地の売却を依頼された媒介業者が、売主から「買い手が見つかるまで、広告を行ってほしい」と依頼され、通常行われる程度の新聞折込広告を実施したところ、2か月後に成約に至った。成約後、媒介業者は媒介報酬とは別に、広告費用を請求した。

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あなたのご解答は、いかがでしたか?

「正解」の番号と解説

スコア<今週の一問> 2021年10月13日 Facebookの投稿 (1)

不動産流通実務検定“スコア”<今週の一問>、正解と解説です。 

【答え】3

【出題のねらい】
媒介報酬の請求権が発生する要件を確認し、解除された場合の媒介報酬の取り扱い、および媒介報酬の内容について基本的知識を問うものです。

【解説】 
1.不適切
「媒介」とは、宅地建物取引業者が宅地建物の売買・交換や貸借に関して、当事者双方すなわち売主(貸主)と買主(借主)との間に立って、売買契約や賃貸借契約の成立に向けて尽力する行為、つまり両者の間を仲立ち(とりもち)することです。
媒介業者が報酬を請求するためには、次の3つの要件が必要です。
 ①業者と依頼者との間で媒介契約が成立していること
 ②その契約に基づき業者が行う媒介行為が存在すること
 ③その媒介行為により売買契約が有効に成立すること
本事例では、媒介契約が締結されていないだけでなく、業者Xは取引条件の交渉等、契約締結に向けた積極的な努力を行っておらず、媒介行為として要求される行為は行っていません。したがって、媒介報酬を請求することは不適切な行為です。

2.不適切
本肢のような解除条件付売買において、解除条件の成就により売買が効力を失った場合には、報酬を請求することはできないと解すべきです。なお、標準媒介契約約款では、ローン不成立の場合について特に規定しており、この場合は受領した報酬は返還しなければならないとされています。これに対して、手付解除や合意解除、債務不履行の場合は媒介業者の報酬請求権に影響を及ぼすものではないと解されています。

3.適切
依頼者から特別の依頼を受けた遠隔地における現地調査や空家の特別な調査等に要する実費の費用については、その負担について事前に依頼者の承諾があれば、約定報酬とは別に受領することができます(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方、第46条第1項関係1(8)②)。その場合、あらかじめ費用の見積もりを示してから実行に移すとともに、請求に当たって明細を示す必要があります。

4.不適切
報酬の額に関する建設省告示では、「宅地建物取引業者は、(中略)告示第2から第8までの規定によるほか、報酬を受けることができません。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額についてはこの限りではない(告示第9①)」として、「依頼者からの依頼」による広告料の受領を認めています。
しかし、「依頼者からの依頼」に関しては、裁判例(東京高判昭和57年9月28日)で、「一般に宅建業者が土地建物の売買の媒介にあたって通常必要とされる程度の広告宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれているものと解されるから、報酬告示第7が特に容認する広告の料金とは、大手新聞への広告掲載料等報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金を意味するものと解すべきであり、また、報酬告示第7が依頼者の依頼によって行う場合にだけ広告の料金に相当する額の金員の受領を許したのは、宅建業者が依頼者の依頼を受けないのに一方的に多額の費用を要する広告宣伝を行い、その費用の負担を依頼者に強要することを防止しようとしたものと解されるから、特に依頼者から広告を行うことの依頼があり、その費用の負担につき事前に依頼者の承諾があった場合又はこれと同視することのできるような事後において依頼者が広告を行ったことおよびその費用の負担につき全く異議なくこれを承諾した場合に限り、広告の料金に相当する額の金員を受領することができるものと解すべきである」としています。
このことから、媒介業者は、依頼者から特別の依頼があり、かつ、通常の程度を超えた広告を行ったということがなければ、広告料を依頼者に請求することはできません。したがって、本肢は宅建業法第46条第2項の報酬の額の制限に違反する行為です。
媒介報酬に関しては単に「成功報酬」と説明されることが多いですが、報酬請求権成立のための三要件を再度確認すべきです。
媒介行為とは具体的にどのような行為をいうのか、解除された場合に媒介報酬はどのように扱われるのか、顧客が納得できる説明ができるようにしておきましょう。
媒介行為に関しては、高度で複雑な取引の場合には、通常業務より専門的な知識が必要とされ、より多くの時間が必要となりますが、成約に向けて必要な行為かどうかを判断し、安易に別個に手数料を請求することがないようにすべきです。
「不当に高額の報酬を要求する行為」は宅建業法第47条第2号に該当することに注意しましょう。

<参考>

媒介業務の報酬
「令和2年版宅地建物取引の知識」P332~を参照
(不動産流通推進センター相談事例)
▼低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例
https://www.retpc.jp/archives/21167/

©The Real Estate Transaction Promotion Center

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第9回 不動産流通実務検定“スコア”

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