株式先物の理論価格



理論価格

1. 現物の価格
現在の市場で取引されている現物株の価格が基礎となります。
2. 配当金の差し引き
先物の期日までに現物株が受け取るであろう配当金が、先物の理論価格から差し引かれます。これは、先物を保有している投資家が配当金を受け取れないため、その分だけ先物価格が低くなることを意味します。配当落ちの日付が近づくと、この影響が特に強まります。
3. 金利の加算
先物の期日までに、現物の相当額を短期金利市場で運用した場合に得られる金利収入が加えられます。これは、現物を保有せず、先物を購入することで得られる利子収入の形です。

理論価格の基本式

先物の理論価格(F)は、次の式で計算されます:

F = S - D + I

ここで:

F = 先物の理論価格
•	S = 現物株の価格(株式の市場価格)
•	D = 配当金(先物の期日までに受け取る配当)
•	I = 金利収入(現物株相当額を運用して得られる金利)

各項目の解説

1. S: 現物株の価格

これは、現在の市場で取引されている株価をそのまま使います。先物の価格は、この現物価格に基づきます。

2. D: 配当金の影響
先物を保有している間に現物株で得られる配当金は、先物保有者には受け取れません。そのため、配当金の分だけ先物の価格が現物の価格より低くなります。配当金が多いほど、この値も大きくなります。

3. I: 金利収入
現物株を買わずに、その分の資金を短期金融市場で運用した場合、金利収入を得られます。この金利収入は先物の価格に上乗せされます。金利が高いほど、この影響も大きくなります。

もし日経平均株価(現物価格)S = 28,000円、先物の期日までに受け取る配当金D = 200円、そして短期金利が0.1%だとすると、以下のように金利収入を計算できます:

I = S \times \text{金利} = 28,000 \times 0.001 = 28円

この場合、先物の理論価格Fは次のようになります:

F = 28,000 - 200 + 28 = 27,828円

このようにして、現物株と先物価格の乖離が説明されます。

まとめ

• 先物の価格は、現物価格から配当分を差し引き、短期金利収入を加算して決定されます。
• この計算により、先物の価格は現物と乖離することがありますが、この差は「理論的な乖離」であり、市場の自然な動きです。

この理論を理解することで、現物株と先物の価格差を読み解きやすくなります。

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