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欅坂46『W-KEYAKIZAKAの詩』と映像の今

おそらく、アイドルヲタクの9割ほどが興味のない話かと思いますが書きます
ザクザクっと解説も入れてるので、なんとなくわかるかなとは思いますが


で、何の話をしたいかというと『W-KEYAKIZAKAの詩』のMVについて
そう書くと”あぁ、ねるとよねの話か”、”まなふぃのことか”って思うかもしれないけど、全く別の話
正直メンバーはあんまり関係ない
けど映像業界的には割とキーな話だったり


映画フィルムの世界トップメーカーであるコダックの公式Twitterアカウント、コダック映画用フィルム(@KodakMotionJP)がこんなツイートをしてた

まぁ要は何が言いたいかというと、『W-KEYAKIZAKAの詩』のMVは全編フィルムで撮られましたよってこと
MV公開時、映像ぼやけてるなぁとかそんな感じのツイートがちらほら見られましたが、それはわざとなんですよ!
いや、わざとではないんだけども!
単純に使用フィルムの解像度の限界というか
どうでもいいけど、表現的には絵が荒いの方が近いんだけども!


詳しい話をすると、
デジタルカメラには撮像素子(イメージセンサー)と呼ばれる、レンズを通して光(映像)を受け取る部分があるんですね
その撮像素子の中には、光を受け取る点がいくつも存在していて、その数がいわゆる解像度
ということはその撮像素子が大きければ大きいほど、光という情報を受け取る部分が多くなり、より情報量の多い細やかな映像が撮れると
4Kやら8Kやらっていうのは、それだけ小さい範囲に点を詰め込むことができた技術力の賜物
せっかくなのでSONY製品で言うと、デジタル一眼のα7シリーズに搭載されてる撮像素子のサイズは35mmフルサイズ、一部商品は4K撮影も可能
多くの業務用カメラも撮像素子のサイズ的な話では同様と考えてもらえると
で、今回の撮影で用いられたのはスーパー16
スーパー16っていうのは映画用フィルムの名称の一つ
フィルムを扱うってことは、フィルムを入れるフィルムカメラがなければならないんだけど、
そのフィルムカメラにはデジタルカメラにおける撮像素子なんてものはない
じゃあ、どこで光を受け取っているのかというと、まさしくフィルムそのもの
8mm,16mm,35mm,70mmなどなどフィルムサイズによって受け取れる量も範囲も違うよと
基本的な考えはフィルムもデジタルも変わらないねっていう
まぁ、フィルムカメラなので、撮像素子の理論はそのまま流用できないんだけども
(説明の流れ的にはデジタル→フィルムだけど、時代的にはフィルム→デジタルなので悪しからず)
35mmフルサイズ⇄35mmフィルムみたいに言い換えられる的な認識で大丈夫…かもしれない
話を戻して、
35mmと16mm、この2つを比べると何が違うのかっていうと大きさもあるけど、やっぱり含むことのできる光を受ける点の数
極端なこと言うと、光を受け取れる量、すなわち情報量が約半分になる
てことは、35mmでははっきりと見えていたものが16mmではちょっとぼやけて見えるよと
伝わるかどうかは別として、なんとなく例を挙げると、
同じもの、例えば円を写しても、片方ではしっかりとした円が見えて、もう片方では少し四角っぽく見える感じ
伝わるかどうかはわからないけど←
まぁ何が言いたいかというと、そもそもの情報量が違うからあんな感じでボヤけたような映像になったんだよ、ってわけです
保存性に関しては似たり寄ったりな部分が
デジタルは要はデータの塊、ボタン一つ、動作一つで簡単に消去ができてしまう
撮影は容易な分失うのも容易、そんな表裏一体なもの
対してフィルムは適切な環境で保存をすれば50年、100年もっともっと保存ができる
更にデジタル同様、複製が可能
その分技術力が要求されるんだけれどね
一番の違いとしてはデジタルは目には見えない状態で保存され、フィルムは目に見える状態で保存されるってことかな



で、本当に話したい部分はここから

普段、映画館で映画を見るときどんな環境か気になったりしますか?
IMAXやらDOLBY ATMOS、MX4D
…っていうレベルの話ではなく、今見ている映像はどうやって上映されてるかという話
要は、デジタル上映かフィルム上映か
2016年末で全国のスクリーン数の合計は3,472、
そのうちデジタル上映は3,392
つまりフィルム上映が可能なスクリーンは全国でも80しかないよと
映画見に行ったら9割強がデジタル上映だよと
(一般社団法人日本映画製作者連盟による統計より)
それなら、そもそも映画自体をフィルムで撮ること自体が減ってるんじゃないか
まぁ、そう思うのが普通
その考えは正しくて、一部にしろ、全編にしろ、フィルムで撮られる映画は確実に減ってきてる
しかーし、業界的に実は今フィルムで撮られる作品はじみ〜に増えていたり
2016年中に公開された日本の映画・ドラマのうち、12作品はフィルム撮影
更に、2016年11月にはイギリスでフィルム現像施設が”新たに”オープンしていたり
ここ数年は、熱狂的フィルムファン()な監督たちによってフィルム業界を支えてたのが、映像業界がフィルム業界を支えるような流れになってきてるのかなと
業界的に、フィルム復活の兆しが見えてきていると捉えてもらえるとありがたいかなって

他の映像業界はどうなのかというと、
テレビ業界は一部ドラマ等を除きほとんどがデジタル
まぁここはスピードが求められる現場なので仕方ないのかなと
ただ、WOWOW等で放送されるドラマはフィルム撮影をしていたり
CM業界はどうかというと、普段目にするCMも実はフィルム撮影なことが多かったり
例をあげると、auの三太郎シリーズだったりdTV、金麦
コマーシャル・フォトという雑誌の12月号では「CMをフィルムで撮る!」という企画が組まれるぐらいに、フィルム撮影は割と多いのが感じられそう
やっぱり、デジタルの方が多いんですけどね
MV業界はどうなのかというと、割合的な話で言うと映画業界とあまり変わらないかなと
体感的な話ではあるけれども

ばーっと書いたけど結局何が言いたいかと言うと、映像業界全体的にフィルム撮影が減ってきてはいるものの一時期より盛り上がってるぜ!的な感じですかね



で、そんな状況の中、欅坂46が何故今、フィルムで撮られたのか

ここからは、SMEの人間でも欅坂運営の人間でも池田組の人間でもないので完全に妄想

MV内容は、ざっくり言うと欅坂46のデビューから1年を振り返ったもの
1年間の活動を一つの作品として納めたドキュメンタリー的な感じ

前述した通り、フィルムは目に見える状態で保存される
現像したフィルムを取り出せば、そのとき何を撮ったのか、何が映っているのかをすぐにでも確認できる
そこが一番フィルムで撮られた理由として大きんじゃないのかなと

欅坂46として歩んできた1年は、おそらく多くのビデオカメラで撮影されデータとして保存されている
データは映像として画面には映し出されるものの、それを手に取ることは出来ない
しかしフィルムは文字通り手に取ることが出来る
常に変化し続ける欅坂46の今を、1つのカタチとして保存したかったんじゃないのかなと

カメラマンに抜擢された田尾沙織さんは普段からフィルムでスチール撮影を行う写真家
というと、初めからフィルムで撮ることを前提に企画が進み、スタッフの選定も行われてるんじゃないのかなと

「サイレントマジョリティー」「世界には愛しかない」「大人は信じてくれない」のMVを撮り、まさに欅坂46と歩んできた池田一真監督だからこそ造り出せる世界観

この2つが交わって最高の作品が生み出されたかと思うと、また感動も一入



そんなことを踏まえた上でまた『W-KEYAKIZAKAの詩』のMVを見て何か感じてもらえればと

そしてフィルムの質感を感じてもらえればと


フィルムという世界で撮られ、永遠に色褪せることのないMVに、
永遠に色褪せることのない欅坂46になればと思います…

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