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詩集

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詩が集まって何かしています。 背景はときどき変わります。 (一時的に非公開になる詩はそのうち帰ってきます)
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2014年11月の記事一覧

マジシャンたち

簡単だ

思ったことのまま生きられないから
手を明かす

なんだそういうことか
って
簡単だと思ってくれるのに
そうじゃないと
言いたくなる

難しくなんてなかったのに

本物を見ぬいてもらうために
たくさんの偽物が必要だなんて

どんなに見え透いていても
見ないとわからない

あふれる違いのなかに私はいる

はぐれる力がみんなにある

間違えていける言葉にある

思考のきらめきと空白の勇気

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傍若無人

予想をころがしてついた土を払ったり
ころがった跡を見つめたりしているうちに
きみはとんでもないところで紅茶を飲んでいる
とんでもない
そこはとんでいける場所じゃないし
泳いでわたれる距離じゃないし
潜ってすすめるかたさじゃない
とんでみたい
その紅茶のメーカーとか
ミサンガの切れるタイミングとか
トラバーユの語源が拷問だってこととか
聞かなくていいことばかり
きいてみたい
トリコロールを駆使して

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悲劇

目ざわりな悲しみに口紅を塗る
きれいだねといわれて悲しんでる
口紅だって悲しくなるときがある

あなたの悲しさを上塗りしたからって
悲しさが強くなったりはしない
それぞれの悲しさがまじりあう

悲劇

塗り固められた孤独

目ざわりな悲しみの口紅と
その唇と
言葉の抜け殻を
じっと
見る

まどろみcat

墓地に住む猫は
死のことなど 知らない
生のことなど 考えない

実感しなければ生きていけず
思考しなければ死んでいけない
ぼくらの
心の貧しさを
夜に
夢が
食べに来るのは
とてもやさしいこと
ぼくらは夢に何をしてやれるだろう

墓地に住む猫は期待も後悔もしない

それはたぶん
夢と仲がいいから

ガイド

手が混んでるので
空いてる足にことばを乗せる。

発信したあとで
だれも見ていないことを知る。

不名誉を口にする不明瞭な道を歩いて
転ぶともなしに、まわる。

やがて指針を失うように生きて
声も真っ白で 吹き出しがよめない
そこは空気、と教えてくれる、のは、



引き寄せられたのはわたしの方で
こころはただ脈動している。

どよめきが終わらない

平坦が産まれない

かんちがいをさせてほしい

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答案凝視

この格好が悪い
この葛藤が悪い
この覚悟が悪い
この回答が悪い
ぼくたちは間違い探しに没頭したい
曖昧さを打ちのめしたい
誰かの回答を
私の回答にしたい
私の回答を
誰かの回答にしたい
もう答えなくてすむように
もう質問しなくてすむように
疑いをなくすために疑いつづける

未知を生きる

すべての言葉は間違いで
間違ってることが正しさを招く
正しいことは独りよがりで
寂しい顔して仲間を招く
仲間はあくまで仲間だから
行き交う隙間は埋まらない
仲間がどんなに集まっても

間は

間のまま

言葉の距離を測るため
心の役目を誓うため
さまよう仲の
ひとつひとつが未知を生きる
その抵抗が
その感触が
その実態が
わたしをいきさせる