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詩集

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詩が集まって何かしています。 背景はときどき変わります。 (一時的に非公開になる詩はそのうち帰ってきます)
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2014年10月の記事一覧

やさしさについて

読み込み中から動かない空気を
吸い込んで走る夢の中
気ばかり焦って感覚はローディング。出来事に間に合わない。

ひろった重みで朝が寝転ぶし
すてた軽さで夜が飛び跳ねるから
眠る間も浅い。

惑星たちは重力に甘すぎると鳥は言う。

親の気持ちで生まれた子供も
いつかは甘えたくなって
口一杯に吸い込んで味わう街の中
みんなに甘味を残しておいてよ。出来事へ追伸したい。

酩酊よりも幸福が好き。

告白

しゃらくさい感じになってるときは詩はだめです。
ぜんぶが目つぶしの砂になります。
きれいな言葉は装飾品だから
まるで実用的じゃないのです。
形容を断って世界に立つと
アレルギーのように(×)
クリティカルな一行がなければ診察できません。
部外者の立ち入りを許可したいし
投げても戻ってくる丸まりがみえています。
まぎらわしくて
もどかしい
なんでもなさすぎる告白だけを
あなたは受け取っていくのです。

繊細ビスケット

感傷をつつむポケットの街で
叩いて割れた ビスケットの夢

重なりながら小さくなって
減りながら増してゆく

変わり続けてなくならない
広がり続けてとどかない

砕身の代償に
粒子が笑う

かるくうすく
浮かんでしまおう ささやかに

ほそくせまく
加わってしまおう やすらかに

ぼくだったもの きみだったもの
望んでしまえば理想は溶ける

わたしがまだ
大きいころのお話

曲解

曲がりくねってわたくしたち
宙をえがいてわたくしたち
出来心と出来なかった心で

使い果たして空をみる
場違いの
間違いを
段違いに
見違えて
おしえない
恥知らずだから
知ればいいものばかりじゃない
会えばいい話じゃない
つないだら安心するわけじゃない
ないものねだりにいそがしい
直線ばかりが邪魔をする
いつでも曲がりくねっていたいのに

雪だるま

冷えてるからあたためるのではなくて
冷えてるからこそもっと冷やす
そうすると冷えは冷えでなくなり
ただのかたまりになる
ただのかたまりだから
つめたい人ねなんて言われない
ただのかたまりだから
あたためてあげないとなんて思われない
ひとりでに溶けて
ひとりでに消えていく
そういうかたまりがいい