未経験から外コンのデータサイエンティストに!? ~kaggle masterの転職物語~

はじめに

こんにちは、resistance0108(@resistance0108)と申します。
2019年6月から一貫して取り組んできたkaggleでの成果を片手に2020年11月から転職活動を行い、2月上旬に外資系コンサルティングファームより内定をいただき、4月から働いております。
今回はこの転職活動を振り返って記事を書いてみました。今後kaggle転職を試みる方々の参考になれば幸いです。

プロフィール・kaggle戦績

・数学(確率解析)の修士号持ち
・2017年に新卒で大手金融機関に入社、主に業務効率化ツールの作成を行う(言語はPython、VBA)
・kaggleは金1銀2のkaggle master(kaggleアカウント)、IEEE-CIS Fraud Detection 8位(5人チーム)

転職動機

私が新卒で大手金融機関に入社した当時、AIブームだったこともあり、「自分もクオンツとしてAIでトレーディングを変革してやるぞ!」というモチベーションから機械学習を少しずつ学んでいました。しかし、会社の当時のフェーズでは機械学習の導入は重要なテーマではなく、また数少ないそういう案件も管理職の方々が巻き取ってしまっていたため、中々勉強の成果を発揮することができないことに不満を抱えていました。
一方で機械学習の独学も中々モチベーションが続かず停滞していたのですが、2019年6月にCourseraのkaggle講座に出会ってから運命が変わります。この講座を1ヶ月受講したことで、今までさっぱりわからなかったデータ分析の体系的な枠組みを理解したのです。それを活かす機会を求めて IEEE-CIS Fraud Detection コンペにチャレンジした結果、なんと8位で金メダルを獲得してしまいます。これで自信を付けた結果、「様々なコンペに参加して実力と実績を身に着けたらMLエンジニアかデータサイエンティストに転職しよう」と考えるようになり、いくつかのコンペに参加して銀メダルと銅メダルを獲得します。そして2020年10月下旬、某社のカジュアル面談募集ツイートに飛びついたことがきっかけでなし崩し的に転職活動が始まります。

転職活動の概要・結果

転職活動の概要を時系列順に書いていきます。
・2020年11月~12月上旬: kaggleの知り合い経由でメガベンチャーを中心に業種を問わずカジュアル面談を受ける

・2020年12月中旬~下旬: メガベンチャーを中心に4社応募するも全落ちしてかなり凹む。その一方で某スタートアップから業務委託の誘いを受け、それを頼りにして前職に退職届を出す(余程自信と覚悟がないと真似しちゃ駄目だよ!)。また、友人の勧めもあり、某外コンに応募する。

・2020年1月: 某大手企業に応募するためにGreenに登録。ついでに中堅ベンチャー数社とマッチしカジュアル面談を行い、その中から1社に応募。その傍らで、A-BANKという転職サービスの社長の庄司さんよりDMをいただき、大企業や有望ベンチャーとのやりとりを進めていただく。A-BANK経由で1社受けるが落ちてしまう。

・2020年2月上旬: 第1志望の企業に落ち、通ると思っていた中堅ベンチャーも落ちてしまっていよいよ危ないと思っていた矢先に、外コンより初内定をいただく。そのままオファーを承諾し、転職活動を終了。


結果は12社応募して内定1つと数的には寂しい結果となりました(その1つには非常に満足していますが)。「この会社kaggle masterいないし通るっしょ」とか調子乗ったこと考えていたときもありましたが、甘かったです。

メガベンチャー系は未経験者の需要がなかったりして書類選考で落とされることも多いです(全体では書類選考通過率は7割ほど)。kaggleで好成績を残しても、実務の経験には敵いません。ポテンシャル採用をしているところでも油断してはいけません。人柄ややりたいことにミスマッチがあると容赦なく落とされます。一生懸命取り繕っても面接官は見抜いてきます。自分のやりたい方向性はしっかりと把握しておきましょう。

使ったサービス

・kagglerの知り合い
kagglerの知り合いの方々にDMを送り、カジュアル面談を多数行ったり、またそのうち3社からリファラル採用の案内をいただきました。リファラル採用だと内定率が高まるらしいです(自分は全滅しましたが…)。カジュアル面談の結果、書類選考が免除されることもありました。こちらはメガベンチャーが中心でした。

・直接応募
内定をいただいた外コンには知り合いがいなかったので、直接応募しました。リファラル制度自体はあるので、私の知り合いの方は興味がありましたら是非お声がけください。

Lapras
エンジニアなどのIT人材の能力をスコア化してくれる転職サービスです。Githubへのコミット数やAtCoderのレート、イベントの参加数などに応じてスコアが決まりますが、kaggleの連携は未対応でした。こちらは自分のページを作ったはいいものの、今まで書いたコードをしっかり整理していなかったのでGithubに公開できるものがなく、技術力スコアが2.3と悲惨なものになったため、活用できませんでした。
ただし、技術力スコアが3.0以上になるといいオファーが来るとの話を聞いているので、これから転職される方はGithubに積極的にコードを公開するなどして技術力スコアを高めた上で利用されることをおすすめします。

Green
IT企業中心の有名転職サービスです。自分の場合はプロフィールを登録するだけで、企業からの『気になる!』が大量に飛んできましたが、情シス系など興味のない職種の募集も多いのがネックでした。一応保有スキルにPytorchなどを記入するとMLエンジニア/データサイエンティストの募集の比率が高まりました。
全体的には、「知名度はないが特定の分野で大きなシェアを取っている、社員が100名ほどの中堅ベンチャー」にリーチしやすいサービスだと感じました。

A-BANK
新興の転職サービスです。こちらは代表の庄司さんよりDMをいただき、利用することになりました。まず機械学習/数学に関する簡単なテストを受けて、その結果に基づいて庄司さんと面談を行い、その後庄司さんが持っている企業ネットワーク(五大商社から有望スタートアップまで様々)に私のデータを送付してコンタクトを取っていただきました。
面白そうな企業に多数リーチできるところが魅力でしたが、外コンの内定を早々と承諾したため、ここ経由では1社しか受けませんでした。
最初のテストで高得点を出せば企業からある程度の信頼を得られる可能性があるため、「機械学習についてよく知っているつもりだけど、アピールできる実績が少ない…」と悩んでいる方にはいいかもしれません。

面接で聞かれたこと

・キャリアの方向性
前職を辞めた理由、志望動機、今後伸ばしていきたいスキル、最近興味ある技術(論文を読んだり実際に技術を使用したりしていると好印象)、各ドメインへの興味とその理由など

・技術面
kaggleの実績と取り組み方、実務での統計/機械学習の使用経験や工夫したポイント、作った業務効率化ツールの難しかった点や工夫したポイント、SQLやクラウドの知識の有無、簡単な機械学習の知識(ex. Stratified K-Foldについて)など
あまり難しい知識は問われなかった印象です。

・実問題に対する取り組み方
ケース面接(ex. ECサイトの値引きを機械学習で行う際のタスク設計)など

・その他
自分の一番の強みとそれをどのように身に着けたか、客先経験がないが大丈夫かなど

まとめ

そこそこ強めのkaggle経験を引っ提げて臨んだ転職活動でしたが、12社受けて内定1つと中々苦戦を強いられました。
背景には、大手の企業は機械学習をできるだけの人材はもう揃っているため、機械学習の実運用やプロジェクトのリードをできる人材の方に需要のボリュームが移っていることがあると思います。また、AIブーム自体がハイプを通り越して幻滅期に入ってきていること、コロナウイルスによる不況などの影響もあるかもしれません。なので、この時期に未経験からkaggle経験を売りにして転職するというのは中々難しいと思います。
ただし、AI人材自体がまだまだ足りておらず拡大期の企業も少なくはないので、そういう企業を目敏く見つけて受けると内定を取りやすいかもしれません。
また、年収についてですが、未経験から中小ベンチャーだと400~550、メガベンチャーだと500~600くらいになると思われます。すでにそれなりの高収入を得ている方にとってはやはり覚悟がいるかもしれません。なお、自分は外コンに入ったこともあり、残業0想定で210万程アップの提示をいただきました。ここまで上がるケースはかなり稀だと思いますが…
ここまで読んでいただきありがとうございました。もし質問があれば、Twitterで連絡してください。また、希望があればGoogle Meetsなどで質問会を開くかもしれません。その際には職務経歴書なども交えていろいろ語ろうと思います。

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