東方錬魔草子 ―とうほうれんまのぞうし― 第一話 「邂逅の時」
―ひとが作りし幻想の都・・・名を、幻想郷という。その都は、人に忘れられたものが集い、まさに理想というような場所だという。この幻想郷は人の数だけ数があり、人の数だけ性格も好みも違うという。
さて、そんな幻想郷では、「異変」と呼ばれる事件がまいどまいど起きるのだが、
今回は、とある世界線の幻想郷でとんでもない異変が起きたのだった・・・。
記事 射命丸文。 協力 八雲紫
一話「邂逅の時」
いてて・・・
ここは・・・?
俺は確か・・・
[回想]
それは、アラステラ歴3000年、ユーテスト大陸で起きた。
「はぁ、はぁ、くそっ!あと少し、あと少しで、みんなの死が報われ、終わるというのに・・・!」
「貴様も人間の勇者部隊とやらの中では手ごわいが、しょせんその程度か」
「くそぉ!お前なんてすぐにたおして―」
「現に負けているというのにまだ勝とうなどと考えているのか。誠、愚かしいものよ」
「ちっくしょー!」
「はかなく散れ!人間よ!!!!」
その時だった。
その人間の青年、名を「レオン」とするものから、突如光があふれ出た。
「なにっ!?」
つぎの瞬間、レオンには、不思議なことが起きていた。
レオン「なんだ・・・これは?」
空中で止まる敵、そして見知らぬ女が三名、近くに立っていたのだ。
「時止めの異常はないわ、この青年以外はとまってる。」
「隙間の環境も、安定してるわ」
「なら、大丈夫そうね」
と会話している。レオンは戸惑いながらも
「ええっと・・・あんたらは?」
「ああ、あなたがレオンであっているかしら」
「あ、あぁ。」
「よかった、目標との接触は成功ね」
「え?」
「あ、いいのきにしないで!」
なにやら、急に真面目な顔をして、和式エリアの巫女服と似た衣装の女がこういった。
「我々の世界を救ってほしいの」
「・・・はぁ?」
あまりにも突拍子すぎて素っ頓狂な声を出してしまうほどだった。
「『救って』って言ったって、こっちのほうが救ってほしいぐらいいなんだが?」
当たり前だった。自分の軍はほぼ全滅。頼れるのはもはや、ここにいる、女たちだけだった。
「でしょうね、現状は聞いているわ。」
「ならなんで・・・」
「話は我々の世界に来てくれたときにするわ」
「それに救うってったって時間なんて・・・」
「それについては大丈夫です」
メイド服の女が言う。
「こちらの世界の1秒は私たちの世界では150年だという話を聞きました。」
さらっとすごいことを・・・
「え?ってことはあんたらは150年前から来ているのか?」
「今、こちらの時をわたくしの能力で止めましたゆえ、時間は動いていません、つまり我々は現在から来たことになります」
「つまり、今はこの時の止まった世界に俺と、あんたらがいるって状況か?」
「そういうことになるわね。」
「霊夢、あまり長居してられないわよ。」
「そうね、というわけで、来てくれないかしら?」
「どうせ、死の淵に居たんだ、あがけるならあがくよ。連れてってくれ、その世界へ」
[回想終わり]
「そうだ、連れてってもらったはいいが、武器とかは・・・?」
とレオンが周りを探ると、剣と、ある程度の防具が立てかけられていた
レオンはすこし疑問に思いつつも武器と防具を装備した。
そこに見かけたことのない少女が向かってきた。
「あなたがレオンなのかー?」
「あ、ああ、そうだが・・・」
「霊夢に言われて案内しにきたのかー」
「あ、ああ、よろしく頼む。」
見た感じ、人ではないというのは気が付いたが、見た目は明らかに人間そのものだった。
(人外をも操るのかあの巫女服の女・・・霊夢といったか・・・)
そんなこんなで、かなり長い階段の前にたどり着いたところで
「ここをのぼってまっているといいのかー」
唐突に彼女が言い放った。
「あ、ああ、わかった。」
と一段また一段と登り始めた。
途中、とても険しく感じたがおそらくこれも巫女とやらの役目に必要なのだろう。
ようやく上り詰めた先には立派な和風建築がなされていた
おそらく古くから建てられているのだろう、ところどころ腐っているように見える木々もある。
そこでこうつぶやいた。
「ここが、霊夢とやらの拠点か・・・」
「そうよ、ここが楽園の素敵な巫女、博麗霊夢の拠点よ。」
その声に振り向くと、変な空間からあの時の空間管理職となのっていた八雲紫が現れた。
「あんたは・・・」
「私は八雲紫、って知ってるわね、あなたなら。」
「ああ、だが、やはりこの世界には妖気というのが多く感じる。もしかしてあんたも妖怪とっていう類の奴か?」
「・・・私が何もいわない状態で一発でそれを見抜いたのはあなたが初めてよ。どうしてわかったの?」
「妖気の気配がその空間とやらから漏れて感じた。」
「さすが、ユーテスト大陸一の勇者隊員ね」
「なるほどそっちは調べているってわけか。」
などとお互いに話していると
「待たせたわね」と霊夢が空を飛んでやってきた。
「・・・・・・・・・・・・ふむ・・・人間だが、巫女で霊力が高いわけか。どうやらこの世界は俺の世界に似ているようだ」
「!?あなたなぜ一瞬でそんなことを・・」
「まぁ、あれだ、昔似たような体験をしたからな。」
「?まぁ深くは聞いておかないけど、そういうことなのね」(ここのレオン、アナザーの伏線)
「それで、俺はどうすればいい?」
「そうね、まずは敵の本丸を見てもらいましょうか。」
「了解した」
「じゃあ、この空間を本丸付近のところにつなげるわね。」
そういって八雲紫は、隙間とよばれる空間をいじくり、やがて敵の本丸が見えた。
その刹那、レオンの顔が青ざめた。
「お、おい・・・・どういうことだよ・・・」
「・・・・・見覚えがあるようね」
「お、おいっ!どうしてこの場所が・・・魔王の居城が・・・この世界にあるんだよ!!?」
「おちつきなさいな、私だって聞きたいわよ。どうしてここなのかを・・・と言いたいところだけど、先ほどのあなたの発言で何となく理由がわかったわ。紫、魔理沙を呼んできて。」
「おっと、その必要はないぜ。ルーミアに教えてもらったからな。」
そういって魔理沙という魔法使いの女はこちらに歩いてきた。
「・・・まりっさ?」
「マリッサじゃない!魔理沙だ。・・・でこいつがレオンっていう今回の助っ人か?」
「そうよ、今回、相当厄介になるでしょうね。」
「・・・人間のわりに魔力が多め・・といったところか。」
「おお、よくこの姿から人間ってたどり着いたな!」
「ああ、こ、これでも、分析能力に長けてなきゃ、できない仕事だからな。」
「魔理沙、今レオンは混乱してる状態よ、少し休ませてあげて・・・。」
「ああ、そういうことなら、わかったよ」
「すまない霊夢、恩に着る。」
「いいのよ。」
「ところで、ここではこっちの世界の魔法はつかえないな」
「ああ、それに関しては魔理沙から聞いて。」
「ああ、この世界の術式は、術卓と呼ばれるものに呪文式を書くんだ。」
「ふむ、魔法の基礎書は?」
「ああ、ここにあるぜ」
「すこし貸してくれ、読み込みたい・・」
「紫、すこし言伝を頼みたいのだけど・・・」
「いいわよ、何かしら?」
「・・・に、博麗神社に来るように伝えてくれる?」
「・・・?いいけど、なんでかしら?」
「剣の使い手よ。あとはわかるわよね?」
「・・・なるほどね。理解したわ。行ってくるわ。」
・・・数分後
「・・・なるほどな、つまりここをこうして・・・よしっ!できた!」
「おおっ!!できたのか!!」
「んじゃ、一応実力確認しましょうかしらね」
「霊夢、待たせてすまないな」
「いいのよ、じゃあ、魔理沙、審判的なのよろしく」
「まかせろ!・・・・それでは、レオン対霊夢の対戦・・・開始!」
「フレシムスペア!」
「っ!!」
「さすがに躱すか・・・ならこれなら!」
「させないわよ!重弾幕結界!」
「やはりそういう攻撃法かっ!」
「!?躱された!!?」
(・・・くっ!ここで「あれ」をしかけるか・・・!)
「・・・・・ミッシングトラッパー(ボソッ」
(!?地面になにかしかけた・・?)
(ここはわざとわかりやすく仕掛け、あそこには確実に・・・)
(仕掛けたのはあそこだけとは限らないわね・・・ならば・・・)
(やはり空中に逃げたか、ここまでは予定通りだ)
(すげえ、あの霊夢がここまで手古摺るなんて・・・いつもならもうすこしで決着がつきそうなのに・・・)
「さあ、ここからが本番よ!一気に片を付ける!霊符『夢想封印』!」
「それがお前の切り札ってわけか、なるほど、面白い!ならこちらもフィニッシュだ!『サンドモヴェ』!」
「!?きえ―」
「遅いぞ!」
「!?いつの間に!?」
「食らえ『マジソラド』!」
「ぐぅ!」
ドカーーン・・・・
「ってて・・・」
「やるじゃない、でもここかr・・・・!?動けない!?」
「おいおい、地面に仕掛けたのが見えなかったのか?」
「いや、そうじゃな・・・」
「お前の分身も解除したうえで、お前を確実に倒すには、お前の登場位置を探る必要があった・・」
「・・・まさかっ!?」
「そう、そのまさかだ。予知して、仕掛けておいた。「遠隔設置」でな」
「・・・なんてチート能力なんだ・・・!!」
「どうだ?実力試しにはなったか?」
「ええ、十分にね。最強の勇者の名は伊達ではないね」
「おほめにあずかり光栄にございます。」
「ということは、レオンの勝ちってことだな。まずは初戦突破おめでとう。」
「ありがとう、でもこれでもこちらに慣れてすぐだし、魔法の威力も弱いほうだ」
「・・・破壊神かなにかかしら?」
「霊夢、呼んできたわよ」
「紫!ありがと、こっちはぼろまけよ」
「!?それはほんと!?」
「ええ、悔しいことにね。」
「おい、呼んできたってのは誰のことだ?」
「あ、そうね、今階段上ってきてるわ。」
「・・・・!?妖夢なのか・・・!?」
「・・・さすがね、そうよ、今回呼んだのはその魂魄妖夢ってやつ。知り合い?」
「・・・ああ。」
「こんばんはー、で、用ってなんですか霊夢s-」その刹那にレオンが妖夢に飛びついた。
「・・・ほんとに妖夢だったのか・・・・!」
「!?何ですか急に抱きついてきて!!!斬りますよ!!!」
「切れるものならな・・・久しぶりだな妖夢。」
「・・・!?えっ!?レオンさん!?」
「和の国以来だな。幽々子さんは元気にしてるか?」
「・・・ええ、元気にしてますよ。変わらずに。」
「どうした?元気がないな?」
「いえ、まさかここで再会できるとは思ってなくて、あっけにとられてただけです。」
「そろそろいいかしら?」
「ああ、ところで、なんで妖夢を探したんだ?」
「敵の本丸には見えなかっただろうけど結界が貼ってあるの。それで、妖夢のような剣士なら魔法と合わせたら・・・って思ったけども流石に知り合いだとは思わなかったわ。」
「ああ、結界は見えなかったな、それで妖夢の剣術と、魔法を合わせて魔法剣・・というわけか・・・・まるでこっちに合わせてもらってるようで申し訳ないな。」
「妖夢、今あなた、魔法剣は使える?」
「使えますけど、殺傷能力が高いのでしばらく使ってなかったから、まともなレベルかどうかは・・・」
「二人の剣術と魔力回復が整えばできると思うぞ。どうせ、猶予的には149年なんだろ?」
「そうね、残りの一年では倒してもらわないとだしね。」
「その前に、妖夢の家にお邪魔したいんだがいいか?幽々子さんにあいさつしたいし。」
「いいわよ。妖夢あなたは?」
「ええ、もちろん!むしろ歓迎です!」
作者の次回予告とお話し
いやなんていうか・・・・初代錬魔草子とはいろいろ変わってますね・・・。自分でもびっくりしてます。ちなみになぜ変えたかというと、リメイクだしすこしシナリオを変えてみよう!といった思い付きです。でもまぁ、よりリアルになったかなとは思っています。次の話ではよりリメイクが濃いので自分でもうまく書けるか不安です(笑)でもまぁ、頑張ります。
さて、妖夢と魔理沙、さらにレオンの世界に来た霊夢たちとも幻想郷で合流できたレオン一行はひとまず幽々子のいる白玉楼に向かう。そこで聞くのは、この物語の核かそれとも闇か、レオンの能力、過去が明らかに!?
次回、「再会と能力と前・邂逅の時」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?