【DQ10】ver6.5後期ストーリーの感想

*ver6.5後期のネタバレを含みます
*サブクエストまですべてソロプレイでクリア済みです
*ネガティブ寄りの評価です
*苦情の内容はありふれた物だと思います
*最初の頃の話は正直忘れているので、勘違いしていることもあるかも
*ジア・クトって書くの面倒なのでジアクト表記です

ver6の物語は、ついに集大成となるver6.5後期を迎え、堂々の完結を見た。その感想を正直に述べねばならぬ時が来てしまったのだ。

前回の記事で引退!引退!とお気持ち表明を盛大にぶち上げてしまった私だが、さすがに物語のラストは見たい。墓の下からイソイソと這いずり出てプレイしてきた。最近地上が寒い。

ver6.5後期ストーリーの感想


引退解除してまでプレイしたver6.5後期ストーリーの感想は…

まあ、こんなものかな。

どこかで見たシーンが目白押しな展開に盛り下がりつつ、ラストだからか急にゲノ親方がいろんな情報を開示し始め、英雄たちは露骨すぎた脂肪フラグをへし折ることなくご臨終。ゲノスはイキリエルよりイキるのが下手だし、最後はクリフハンガーにならない程度に次のバージョンの話を匂わせる。

世間的にはハッキリ言って大不評のようだ。おそらく、英雄皆殺し展開をどう感じたかが評価の分かれ目なのだろう。

私個人の感覚としては、そこまでキャラに感情を持っていかれていないので、やっぱり全員消すんだ。位にしか思わなかった。

大不評の展開を耐えたからと言って、別に面白かったというわけではない。私のver6.5の評価は、何となく見ることはできたが、致命的に気になる点がいくつかあったので、最高★5としたら★3としておこう。

これから話を評論、というのだろうか?私の気になった箇所について語っていく。評論と言うと非常に偉そうだが、私は物語の専門家ではないし、ムービー制作の心得があるわけでも、熱心なアニメオタクでもなく、昔の特撮をリアタイしていたりもしない。ただドラクエ10を11年プレイしており、一昔前のゲームの知識はそれなりに多く、最近話題になったアニメなら多少見ている程度の知識を持つ人間だ。内容が素人目線になるのはご容赦いただきたい。


Ver6ストーリーの二大ダメ要素


ver6.5後期のストーリーはver6の物語を締めくくる内容で、ここまで紡がれてきた流れが一つに纏まり見事なフィナーレを迎える…ことはなく、破綻した設定とその綻びを直さず先送りにし続けた末路を見せつけられたように思う。

この物語には、致命的にダメな所が二つあった。
『ジアクトに敵役としての魅力が全くない』
『話がゲームの都合と制作者の都合に振り回されすぎている』

これから綴る怪文書を要約しておこう。

  • 敵役のジアクトが何がしたいのかよくわからなかった。種族の説明や動機の解説が不十分で、メタ的にこうするしかないから仕方なく、というムーブしかしていなかった気がする。

  • ver6.5後期だけではなくver6全体がそうなのだが、ストーリーに制作上の都合が出すぎている。シナリオだけでなく動画の演出にも制作者の趣味では?と思える部分が多い。物語に作り手の意思が貫通してくるのは、ドラクエを見に来たら制作者の好きな〇〇を代わりに見せられているようで没入感を削がれる。

  • ヒロインはラダ・ガート。

*ここから先、設定について追及することが多々あるが、筆者は設定マニアではないし記憶力も怪しいので、その道の人が見ると矛盾があるかもしれない。

ジアクト、魅力が無い


ジア・クトとはver6の敵勢力。奴らは宇宙から来た鉱石生命体だ。ver5までの物語の黒幕でありラスボスでもあるジャゴヌバは、ジアクトの一欠片にすぎないのだそうだ。特に理由はないけど侵略が好きなのでアストルティアを滅ぼすらしい。非常に迷惑だ。すごいビーム兵器で地上全てを吹っ飛ばすというか、テラフォーミングするらしい。ゲッター艦隊かな?

ジアクトには敵方としての魅力が全くなかった。物語を盛り上げるのに必須の敵がこれでは面白くなりようがなかった。

どうしてジアクトが敵としていまいちなのか、簡単には文章化できなかったので、最初はその事について一生懸命考えてみようと思う。


まず素行が最悪だ。ジアクトは、最初から最後まで一貫して滅ぼす以外の選択肢があり得ない邪悪として描写されている。ジアクトは絶対に敵、これが他のあらゆるダメ要素の根として強固に張られすぎてしまっているせいで、プレイしているとどうにも害虫駆除をさせられているような気分になってしまうのだ。こっちじゃなくて向こうが害虫駆除みたいなノリで来てるのになあ。

ジアクト勢があれこれ語ったり口上を述べてたりして、盛り上げようと頑張ってくれているんだけど、相手に対して全く気持ちが入っていないと、害虫の羽音程度にしか聞こえない。何かしらの作品で戦う前に名乗る礼儀正しいシーンは、相手へのリスペクトが無いと戦いが盛り上がらないから生まれた文化なのだろう。

このコミュニケーション不全は、ゾンビ物ジャンルの問題点に似ているなと思った。ゾンビ物はゾンビと戦うのが面白いはずなのに、最終的に必ず人間同士の内輪もめになるらしい。ゾンビとの間にドラマを作れなくて話が持たないので、意思疎通が可能な人間同士で話を作るために内輪もめが始まるのだそうだ。ゾンビの部分は対話不可能な敵勢力、と言い換えても成立すると思う。ジアクトは完全にただのゾンビだった。

絶対悪で対話不可能なジアクトの何が問題なのか?


しかし絶対悪の敵は、敵役としてよく見かける設定だ。それにドラクエは基本的に勧善懲悪の物語なので、敵は悲しい過去とか和解する余地とかが無い絶対悪な事が多い。でもクエスト用のただ倒すだけのボスならまだしも、ストーリーの約半分の尺で戦う敵との間に一切ドラマの生まれる余地が無いのは、素直につまらなかった。

敵側とドラマが生まれないということは、手下からラスボスまで敵が全員が同じパターンで主人公たちの前に立ちはだかるという事ではないだろうか?

ルミナも、ルーベとサフィルも、ネブラも、ゲノスも、全員が私は敵なので倒してくださいとやってきて、はい倒します、倒しましたで終わる。こんなふうにジアクト全員が大した差も無く退場していった気がする。

あれだけストーリーで強敵だと煽って鳴り物入りで登場し、結局は話の最後に適当にやっつけて終わり。拍子抜けしてしまった。

面白い話にするためには、新しい敵が出てきても中身が同じでは面白くない。ドラマをつけて変化を持たせる必要がある。しかし対話ができないとドラマを作れないので、ジアクト側と対話ができないのは問題だった、と説明できそうだ。

対話というワードが出たが、私は別にジアクトと和解したいと思っている訳ではない。貴様らの動機はなんだ…!?なぜわざわざ宇宙の果てからクソめんどくさい輩(主人公たちのこと)に絡みに来たんだ!?という事が気になって仕方が無いから、それが明かされるような展開を望んでいた。

実際にジアクトがワンパターンだったかというと…ゲノスがルミナと同じパターンの登場だった時点で、あっこれダメな奴だ、というのはver6.3当時から不安になっていた点だ。見事に的中してしまった。

部下もボスもやることが同じだから同じように出て来たわけで、味方側も同じように倒すだけ。ジアクト側とのストーリーが別の展開になるわけがない。この先もジアクトとは一切対話せず、それを誤魔化すために味方側であれこれ話を回すだけだと約束されたようなものだった。

しかし明らかにルーベとサフィルだけはパターンが違っていた。そのことについては後の章で書くことにする。

そしてレオーネという他のジアクトと明らかに違う敵もいた。レオーネはアストルティア側との関係が用意されていたので、他のジアクトより戦いが盛り上がった方かもしれない。でもプレイヤー側からするとレオーネはジアクトというよりただの裏切り者だし、レオーネ自身も本心からジアクト側ではなく操られていた影響が大きいと思うので、心神喪失した身内を本気で倒すべき敵として見れなかったプレイヤーが大半なのでは?

レオーネのドラマを語っても身内同士の絆が深まるだけで、ジアクトに勢力としての深みが出たりはしていなかった。ジアクト側の説明をレオーネで誤魔化した結果、順当にレオーネのことしか分からなかったわけだ。

あとレオーネはお気持ち表明がなぜか二回あったり、アストルティアの盾を破壊したのがシナリオ的に都合よすぎたりと、裏切り以外の行動にもやらかしが多かった。

ついでにレオーネの動機も何気によくわからなかった。

  • 古代レンダーシアでひどい目にあったからアストルティアを滅ぼす
    →凶暴すぎる気がするけどまあわかる範囲

  • ジアクトに操られているので色々やらかして敵になる
    →そうだね

  • ジアクトは素晴らしいのでジアクトになる
    →これが問題。そのジアクトは素晴らしいという根拠が、ジアクトの説明が全然ないせいでプレイヤーに伝わってこないので、またキャラが操られてなんか言ってるとしか思えなかった。

そして最後はお決まりの、実はまだアシュレイの事を思っているので完全にジアクトになり切れず、主人公たちを助けて消滅しましたという展開。いや悪くは無いと思うけど、それまでの主張が『ジアクト最高!アストルティアを滅ぼす!』の一点張りであまりに強固というか、実は最後にジアクト側を裏切りますという展開を隠したいばかりに、愚直な話になってしまっていたのでは?と感じてしまう内容だった。

でもver6.3の頃はまだシナリオ上の負債を隠せていた時期だったので、レオーネのあれこれはそこまで気にならず、悲しいストーリーとして受け止められた気がする。

話をレオーネからジアクトに戻そう。絶対悪の敵は対話が出来ないから面白くないのか?と疑問に思ったので、ドラクエ10の過去のボスを思い返してみる。ネルゲル・マデサゴーラ・ナドラガ・キュロノス・ジャゴヌバ、そしてver6不評の責任を追及されているジア・レド・ゲノス、全員主人公たちを滅ぼすのが目的の絶対悪で、和解する余地など無い。では過去の話がつまらなかったかと言われると、ゲノス以外は特に問題なかったと思う。つまりゲノスが大体わるい。

ゲノスは何故わざわざ攻めてきたのか?


ゲノスのつまらないという罪を裁くため、その所業を思い返そう。話をあんまり憶えていないので断片的になる。

ラスボスであるゲノスはver6.3で魔眼の月に乗って登場した。曰く、私がジアクトの大将です。あんたらを滅ぼします。

ゲノスは宇宙中を侵略したいとか、滅ぼしたいとか、そんな感じの主張をしていた。過去のドラクエシリーズとドラクエ10のボスも同じような目的で主人公たちと敵対していたが、ゲノスだけは動機を主張しているにも関わらず、明確に敵である事以外はなんだかよくわからなかった。その理由を一生懸命分析してみた。

ゲノスは侵略して敵を滅ぼすのが大好き!としきりにアピールしていた。侵略をされる側のアストルティア民にとってはクソ迷惑な破壊者でしかないが、ジアクト側にとって侵略は破壊以外にも意味のある行為のはずだ。

しかしジアクトが侵略によって何を得るのかよく考えてみた結果、侵略で得られるであろう物に対してゲノスの行動や思想に矛盾が多く、そのせいでプレイヤー側からは何がしたいのかよく分からない風に映ったのでは?という結論に達した。

先ず最初に疑問として浮かんだのは、侵略の動機がよく分からない事以前に、侵略という行動によって起こったジアクト側の損得だ。

ジアクトたちは侵略が大好きだそうだが、一般的に言って侵略の目的は、相手の資産を奪い取って自種族を繁栄させることだろう。ここで大問題なのは、ジアクトは侵略しにきた結果、自分達が逆に絶滅してしまったことだ。

どうして絶滅したかというと、ゲノス曰く、実は魔眼の月にいるジアクトが一族郎党の全員だったので、お前が月をぶっ壊すとジアクトは絶滅するぞおお!とのことだ。これを聞いたとき、プレイヤーの大半は『は?』と思っただろうし、私も頭を抱えている。1種族を絶滅に追い込んだ罪悪感から頭を抱えている訳ではもちろんなく、ゲノスの動機どころではない話の疑問点が爆増したからだ。

理由を述べるのもバカバカしいが、何でこんな超テクノロジーを持った宇宙人が全員同じ戦艦に乗ってるんだよとか、1人で宇宙を先行してたジャゴヌバなんなん?とか、ただの先発部隊その1みたいな顔をしてたジアルミナが実は貴重な人材だったことになるのに雑魚死したとか、設定的な不都合いろいろが出てくるのだ。そして致命的におかしな点が一つある。

アストルティアを滅ぼす超兵器として撃つ撃つ詐欺が行われていた魔眼砲。これは撃つとアストルティアが吹っ飛ぶわけではなく、ジアクトに都合のいい土地に変化させるものらしい。つまりゲノスの言う侵略とは魔眼砲でアストルティアをジアクトの星に変えること、と変換できる。そりゃ惑星に何人いるかわからない肉の生命体を全部潰すよりテラフォーミングする方が簡単、いやテラフォーミングの方が物理で侵略するより難しいと思うけど、できる技術力があるんだもんな。

ジアクトはこれまで数多の種族を侵略して滅ぼしてきたわけだから、宇宙中にジアクトの星に替えられた惑星があるはずで、そこに入植したジアクトが仰山おるはずで、魔眼の月が爆発しても他所の惑星にいるジアクトは死なないわけで、つまりジアクトが絶滅するのはおかしい。

ゲノスが自種族の発展のために侵略したり、星をジアクト用に改造したりしているなら、侵略してもジアクトが魔眼の月以外の場所で全然増えていないのは矛盾している。事実アストルティアにもまだジアクト化した雑魚が残っている。

しかし、その後ゲノスは最後に残ったジアクトらしいルーベに乗り移って復活し悪あがきを始める。もし復活先を自由に選べて、他にジアクトの星があるなら、アストルティアではなく別の安全な星で復活して再起を図るのが普通だろう。そうしないということは、おそらく大いなる原石にしか憑依できず、ルーベ以外に適切な憑依対象がいないということだ。素直に考えてジアクトはマジで滅んでしまったのだろう。

まあ、ジアクトが滅びること自体は、こいつらを倒すために戦っていたわけだから別に問題ない。

だけど異常なテクノロジーを持つ強大な敵が、本拠地をぶっ壊されたら何の保険もなく絶滅というのは、いまだに信じられないというか、ジアクトもシナリオ的にめんどくさいから消しとこう!以外に理由があるのか?とメタ考察に走らざるを得ない末路だと思う。

もっとストーリー上で交流があればというか、他のジアクトが宇宙に広がってたりしないの?という疑問に対しての明確な説明があれば、あっさり絶滅したことを納得できたと思う。

つまりやっぱりジアクトの説明が足りていなさ過ぎるのだ。

ここまでおかしなところを考察したが、物語中ではこの矛盾に対しての言い訳があったことに気づいた。ジアクトは創生の力を自分たちで生み出せなくなったから滅びそう!という事らしいので、テラフォーミングした星にジアクトが入植していたとしても全員滅んでいるのだろう。

……ゲノスにくっついている本隊以外、創生の力を補充できなくて滅ぶのなら、魔眼砲でテラフォーミングとかする意味ある?という新しい疑問が生えてきてしまったけど、とりあえずジアクト的にはアストルティアを滅ぼせればokということにして深く追及しないでおく。

とにかく、侵略をやめたらしぬ水中のマグロのような本隊しか残っていなかったので、月をぶった切ったら絶滅したのだ。めでたしめでたし。

……設定でつじつまを合わせれば話に納得できるわけじゃないと言いたい。

さて、侵略の目的は何か、という切り口でジアクトのことを考えてみたわけだが、どうも現状では相手の星を奪ってもジアクトが繁栄することはないご様子。

ここまで考えてようやくジアクトに持っていた違和感の正体を説明することができそうだ。ジアクトは生活感がなさすぎるのである。自分たちが繁栄するわけでもないのに趣味で侵略してます、とか言われても、全く共感できないから理解もできない。もちろん、どう説明されてもアストルティアから見たらクソ迷惑なだけなので、演出的な都合で触れられなかっただけかもしれないが…

図鑑でジアクトの設定を説明してるけど実際の描写と違いすぎ


ジアクトという種族の精神面について説明が全くされなかったのも、プレイヤー側が理解できなかった要因だろう。

モンスター図鑑のゲノスの項によると、ゲノスは『ジアクト種族の存続が目的の鋼の精神の持ち主。』らしい。

えっ…?ゲノスがジアクト側から見たら素晴らしい王という風には全く見えなかったよ?

まず、図鑑の説明によると今残っている大いなる原石と呼ばれるジアクトは、すべてゲノスの体から作り出されたらしい。ゲノスはまあまあ種族愛があるのかもしれない。しかし具体的にどうやって生み出したのかという、ジアクト誕生秘話みたいな場面が一切描かれなかったので、彼らの間にどういう感情があるのか全く分からない。

万象の王を自称するゲノスの自種族に対する仕打ちをまとめてみよう。

  • ルミナは普通に出てきて雑魚死。これはそこまで不自然ではなかった。ただ、ルミナの前座のハヌマーン型のジアクトの説明を見ると、ジアクト自体が仲間意識が薄く他者を利用するための物としてしか見ていない的なことが書かれている。

  • ルーベとサフィルの扱いは大問題。大いなる原石が4人しかいないのに変な仮面で爆弾にしよう!と思い至るまでのゲノスの内面が全く説明されていないので、自種族を利用して何とも思わない卑劣なボスなんだ、としか思えなかったし、自種族の繁栄を考えているゲノスという設定とイメージが合っていない。他にもこの二人の設定周りには疑問点が大量に発生している。何故わざわざ双子で生み出したのか、二人の間のゲノスに操作されていない感情ってなんなのか、何故そういう感情が生まれたのか、普通のジアクトにそういう感情が何故ないのか、特殊な思考法ってなんなのか、そういった肝心な部分が一切説明されていないだけでなく、重要な設定の塊っぽいルーベの雑死には唖然とした。

  • 敵拠点の魔眼の月に乗り込んだことで、ようやくジアクトの生活感がすこし描写された。それによると一般ジアクトは魔眼の月内部で厳しい鍛錬を積んでいるが、修行すれば大いなる原石になれるとゲノスに騙されているらしい。ゲノスはなぜ一般ジアクトを修行させるのにわざわざ騙す必要があったのか?一般ジアクトからみたゲノスはどういう扱いなのか?おそらくはジアクトという種族の歴史が関係しているんだろうけど、それがまっっっっっっったく描かれなかったのでわかりません。

ストーリーをプレイして私にはゲノスが『自分の為なら自種族を駒として使い捨ててもなんとも思わない人物』として映った。図鑑の設定にあるような自種族の繁栄の為に強い意志を持つ人物としては映らなかった。

もし自種族全体の為に大事なルーベやサフィルを捨てゴマに出来ることを指して意思が強いと言っているなら、描写がヘタクソすぎると思う。実際、上に列挙した物語中の描写を見てもゲノスが卑劣なことに矛盾があるとは思えない。そしてジアクト側から見たゲノスというのは、偉大なる王とかそういうセリフ位とルーべサフィルと謁見しているシーンしかなかったとおもう。一番情報量が多いルーベからの評価は『あいつがしぬならなんでもする』な訳で、それがゲノスの統治者としての人格面の評価ということになるし、ジアクトの歴史的から見た評価とかは当然0なのでまーったくわからないまま話が終わった。

まあ、そもそもジアクトは滅ぼすしかない邪悪な敵なので、これに尺を割いて詳しく説明されても困るから説明しなかった、という制作の都合があったのかもしれない。でも結果としてこいつらなんなん?という不評が生まれているのだから、もっと説明するべきだった。

多分、とこしえのゆりかごに攻め込んだ時に何があったのか?というシーンを回想すれば、『自分たちの方から侵略したくせに逆ギレ』という、一般的な感性の人類にも理解できる動機が明らかになるし、ルティアナの事を恨んでいるのでアストルティアは特に念入りにぶっ殺したかったです!という決意表明でもあれば、『憎しみ』という非常に親しみやすい感情がジアクトの行動原理なんだ!と、プレイヤー側は十分納得したのではないだろうか。まあジアクトは破壊と侵略が行動原理ですとしきりに説明されてはいたが、それは人間的な感情で理解できる動機ではない。

ver3のナドラガは『ルティアナままにグランゼニスばっか可愛がられてむかつく!!!』という動機が超分かりやすかったので、所業がジアクトと大差なくてもそこまで苦情は出ていなかった。

ジアクトの動機を示せるであろう『とこしえのゆりかご』という肝心な場面は、おそらく今後のストーリーで使いたいネタだから一切描写されなかったため、ゲノスがなんかよくわからんけど攻めてきて絶滅しちゃった人になってしまった。

ルーベとサフィルってなんだったの?


ルーベとサフィルというジアクト側のストーリーのキーパーソンになりうるキャラの描写がまるで期待外れだったことが、ver6の大不評の前兆ではないか?という気がしている。

ジアハヌマーンの図鑑の説明や作中のセリフ、ジャゴヌバの協調の真髄を学びたかったというお気持ち表明から鑑みるに、ジアクトは徹底的に自己中心的な種族で、他者は自分が利用して得をするための物でしかないのだろう。まあジアクト同士の絡みがゲノスとルーベサフィルのやり取りくらいしかないので、彼らが自己中だという描写すらも足りていないのだが。ネブラさん技術面全部担当させられてそうなのにぼっちで可哀想……

自己中だらけのジアクトの中で唯一、同族同士で分かりやすく仲がいいルーベとサフィルは異色の存在と言える。例によって何故仲がいいのかや、そもそもジアクトってどういう風に生まれるのか、サフィルが最後にジアクトらしからぬ愛の感情を見せたのはなぜか、これらの肝心な部分について十分に語られなかったと思う。双子だから仲がいいとかその程度の説明はあったような気がする。こんな僅かな内容でもジアクトの人物描写としては比較的尺が割かれた方だろう。というかこの双子のストーリーがジアクト側の描写のほとんど全部だった気もする。

さらに大問題なのは、折角ジアクト側のストーリーがある程度描写されたのに、サフィル撃破後の展開がまるで続かなかったことだ。捕虜になったルーベがサフィルの事を語りつつジアクトという種族の生態について解説したり、ゲノス憎しで寝返って味方になるとか最終的に仲良くなるとか、そういう普通ならありそうなオイシイ展開が全くなかった。信じらんねえ!!

それどころかこのルーベとかいうクソガキ、全くデレる気配が無いのである!!

そりゃあサフィルが死んだ原因の半分くらいはそもそも主人公たちと戦ったからなので、仇相手にデレるのはおかしいかもしれない。それにジアクトが味方になるのは設定や展開から考えてあり得ない。しかもよく考えると、ジアクトの世界は魔眼の月とゲノス王朝しかないので、ルーベがゲノスを裏切るという展開はかなり無理がある気がする。普通なら裏切りを納得させるためにジアクトの文化・歴史・精神面の説明をもっとする必要があるし、メタ的にそれをするためにルーベを捕虜にしたと思ったのだが、驚くべきことに全く説明されなかった。…まあこの辺はサフィルを失ってルーベが自暴自棄になったからと強引に納得できなくもない。

でも、そんなどうしようもない敵から情報を抜いて閉じ込めてるだけという、重要な敵幹部が捕虜になったのに、普通の捕虜と同じ扱いで放置し特に何もおこらない展開なんて、ドラクエっていう愛と勇気のファンタジーストーリーのゲームでされても全然面白くないよね?

ルーベとサフィルは、明らかに他のジアクトと違うストーリーを描くために登場した。にもかかわらず、何故サフィルと仲がいいのかが図鑑の一文から察するしかないというジアクト共通の設定の図鑑丸投げから始まり、捕虜になってもゲノスを倒すためにこちらを利用しようとする不遜な態度が全く変わらないし、主人公側にも相手を懐柔する方法や理由がない。かといって情報を抜いたら処刑というのも、一応敵の仲間割れで助けられた戦意の無い捕虜相手に味方側がする事ではない。絆しないけど消すこともできないとか完全に運営が扱いに困っている。

それだけならまだしも、一番最悪なのは退場の仕方だ。あれだけ憎んでいたゲノスに対してルーベ本人は一切仕返しをしないままあっさり乗っ取られて出番終了。本編後のクエストでもフォロー無しとか、ハッキリ言って信じられない結末だ。もしかしなくても捕虜にした後特に何もせず放置していたのは、最後にゲノスがルーベを乗っ取って復活するというシナリオを書きたいだけだったのか?

ついでに言うと、ゲノスが他の大いなる原石を乗っ取って復活できるという設定が突然生えてきたが、これのせいで話が終わろうとしているのに更なる疑問が大量に浮かんでしまった。この憑依能力には何か種族的な意味合いとか、ジアクトの王だから出来る設定とか、理由はあるのだろうか?ミドルネームが変わったのは何で?レドってどういう意味なの?今のゲノスも誰かを乗っ取って復活した後だったりする?ストーリー的に都合がいいから憑依復活させただけで、どういう設定なのか一生説明されないとか無いよね?

ジアクトは宇宙規模で生物を滅ぼしまくっているヤバイ相手なのに、抵抗するのが主人公たちアストルティア勢だけというのも、よく考えるとver6がペラペラな原因かもしれない。別にSFが見たいわけではないので宇宙がどうのこうのに広がらないのはいいと思うんだけど、侵略者相手の戦闘って敵側が裏切って味方になるのがお約束じゃないのだろうか…ルーベは一応ゲノスを裏切っただろって?ソウダネ。

とにかくルーベが捕虜になったメタ的な理由は、ジアクト側を説明する役割の為ではなく、邪魔なラダおじとついでに門番くんもころすための、シナリオのコマでしかなかったという事だろう。プレイヤーはみんなルーベが味方になったりするのかな?と思っていたはずなんだけど、運営は最後のびっくり箱要因としてしか見ていなかったという、すさまじいすれ違いがあったわけだ。

しかしルーベが特に味方と交流しないのなら、情報を引き出した時点でさっさと処刑しておくべきだったのでは?という、味方側の対応に落ち度に視点が向いてしまう。せめて主人公も殺されそうになるけど、ルーベが若干自我を取り戻して抵抗したおかげで助かるとか、ゲノスざまーみろの一言をどうにかしてねじ込むとか、そういうルーベを捕虜にしておいたことの仕方なさをもっと感じられる展開に出来なかったのだろうか?

ここまでジアクトキャラの扱いが下手すぎると、なぜジアクト側に話が広がりそうな役を入れたのかすらよくわからなくなってくる。

もしかしてルーベもサフィルもフレイザードネタを入れたいから適当に突っ込んだだけだったりする?もしそうだったら一番呆れるなあ。

ジャゴヌバって結局何だったの?


ジアクト側の描写不足についてネチネチとつついてきたが、プレイヤーが唯一知っている人物であるジャゴヌバが、ジアクト的にはどういう人物だったのか全く分からなかったのも話をつまらなくしている要因だと思う。

ジャゴヌバ一人でアストルティアはえらいことになったわけだが、正直他のジアクト幹部にそこまでの力があるようには見えない。

これは推測だが、ゲノス以外の大いなる原石(ルミナ・ルーベ・サフィル・ネブラ)はとこしえのゆりかご侵攻後に枯渇した戦力を補うためにゲノスに新たに生み出された個体で、ゲノスと比べてあまり強くないのだろう。逆に言うととこしえのゆりかご侵攻時はゲノスと同じ出自の凶悪なジアクトがいて、ジア・グオヌバはゲノス並みに強かったのではないかと思われる。ゲノスと同じ出自ってなんだよ?と聞かれても、ジアクトの発生について物語中に説明してくれなかったので分かりません。

ゲノス以外のジアクトはジア・グオヌバが単身でルティアナを追跡した後に生まれてきた個体だから、ジャゴヌバの事を詳しく知らないし興味もない。ゲノスも特に触れてこなかったので、一人で頑張ってたジア・グオヌバさんについて語ってくれる人がいなかった。

そもそもジアクトというのは、バージョン毎により強大な敵を出さないと話が作れないという開発の都合で生み出された敵だろう。ジャゴヌバはジアクトの尖兵に過ぎなかったので、ジアクトの本隊はジャゴヌバより強大という図式が設定上は簡単に成立する。ゲノス以外は実はジャゴヌバより弱いというのもそこまでおかしい事でもない。それにルミナとかがいちいちジャゴヌバよりやばいです!って説明してたら話が進まないから仕方のない面もあるし、ルミナ相手でも鉱石化ビーム対策が無かったら詰みなので設定的には十分やばい。でも終わってみると、ジアクトよりジャゴヌバの方がやばかったよなという印象がぬぐえず拍子抜けしてしまった。

ジャゴヌバがジアクトから無視されていた件について、もっともらしいことを書いてみたが、ぶっちゃけジアクトやジャゴヌバ周りの設定を深く開示すると次の話に支障が出るから言えなかっただけじゃね?と私は思っている。

追加ディスクに求める新世界、新世界からハブられたジアクト


私がMMOの追加ディスクに求めるものは新世界だ。今までとは違う新しい舞台での冒険こそ、追加ディスクの醍醐味だろう。新しい種族や異文明の文化に触れる未知の体験が新世界には待っているはずだ。

ver6に新世界はあっただろうか?正直いまいちだったような気もする。その原因もジアクトの扱いにあるのではないだろうか。

そもそも、現在のアストルティアに未知の場所はほとんどない。未知の〇〇大陸とか、過去世界とか、魔界とか、既存の範囲で出せそうなネタは使い切ってしまっている。魔界が既知の場所になった上に主人公が魔王になっちゃったせいで、ちょっとしたクエストの敵役に魔界から来た悪い奴が使いにくくなったのは地味に面倒そうだ。

未知の場所が無いということは、今の主人公に敵対してストーリーを牽引できる強大な敵はアストルティア上に存在しない。この状況で新しい敵を出そうと思ったら宇宙人でも引っ張ってくるしかないから、ファンタジー世界なのに宇宙人のジアクトが出てきてしまった、という制作の都合は誰もが察するところだろう。

完全な異世界の敵という路線もあるにはあるが、異世界系はダークドレアムやシドー等、別のDQネタという形で使っているので、まだストーリーの舞台に出来なかったのだろう。

運営はこの状況から出せそうな新世界として宇宙人のほかにもう一つ、過去のドラクエで言うところの天空城に該当する部分、もしくは実はドラクエ9とつながっているという設定を掘り返した。もちろん、ユーライザがネルゲル戦の時に足場を作った事実から言って、天使が冒険者たちを見守っている設定は初期から存在していたので、いずれは天使を出すかも?位の見通しはあっただろう。

天星郷はver6初期の舞台としては十分な役割を果たしたと思う。だけど後半になると天星郷に未知の場所はほぼなくなって、よくわからない試練の間という未知も異文化も体験できない場所をぐるぐるすることになった。

ちなみに私は悪神の神域系のマップが好きではない。まず名前が分かりにく過ぎるし、実在した世界にかなり近いとはいえ、個人の記憶でしかないものを未知の世界だと思って冒険するのは無理があると思う。そこに住む人々も純粋な人間として見れなかった。天星郷と悪神の神域系しかマップがないせいか、町の役割を持つマップが非常に少なかったのも、ver6の冒険に新世界感が少なかった要因だと思う。

あとキラーシーカーに宝珠を設定しやがる担当者をクビにしてほしい。せめてワープ地点から近くしろ。
(*後から思い出したのですが、キラーシーカーのいるエリアにはショートカットの扉があり、一度行けば次からはそこまで遠くなかったです。ただ扉の存在を完全に忘れてしまうので…という言い訳はします)

そしてver6は未知への冒険という要求に関して、決定的に不自然な点が一つある。なぜ明確な異文明であるジアクト系の惑星マップに行けなかったのだろう?ジアクトの世界を冒険できる展開が一個でもあれば、ジアクトの意味不明さも少しは薄れるし、ver6後半の未知への飢餓感も解消できたかもしれないのに。

しかしジアクトのマップに行きたかった、というこの疑問は、ちゃんとゲームをプレイしていれば本来なら出てこないはずだ。何故なら魔眼の月という決定的なジアクトマップが存在しているからだ。実際ここではようやく多少ジアクトの説明があったのでそれは良かったと思う。でもジアクトの本拠地というより、英雄たちの見せ場(?)と取ってつけたような最期を用意するための場でしかなく、ver5ラスダンのような敵側の豊富な説明がいのは不満だった。

ここでふと他にジアクトのマップがあったような気がして思い返していると、一つおかしなことに気が付いた。魔眼の月並みにジアクトの世界観を説明できるはずのルミナの宇宙船は、マップになっていないのである。それに該当する部分はレオーネの神域になっていて、ジアクトの情報はかけらも出てこない。運営はレオーネに2回お気持ち表明をさせてまで、ジアクトの情報を開示したくなかったらしい。

このジアクトのマップが不足しすぎな問題、ver7で事情が分かるだとか、尺が無かったとか、そもそも敵すぎて交流する展開を考えて無いとか、いろいろ言い訳はあるのかもしれない。でもせっかく宇宙人を出すのに一切交流しないで滅ぼすなんてこと、冒険させるゲームの展開としてありますか?最後の魔眼の月で内情がちょっとわかるだけじゃ全く不十分でしょうに。

どうしてもジアクトのことを描きたくないなら、意思疎通が完璧に不可能な怪獣にしてしまえばいいだけで、無言の敵はつまらないから言葉を発しているわけだから、穏健派ジアクトでも出して多少なりとも文化を見せたほうが面白かったと思う。むしろ穏健派ジアクトからゲノスはやべえ奴だから倒して!私たちも応援してる!位言わせるのが普通じゃないのだろうか…?ver3は実際それに近い展開だったわけだし。

そしてシナリオが終わった今、さらに明確なマップに関する問題が残ったと思う。その問題とは『ラスダン不在問題』だ。

ラスダンというのはそれまでの冒険をまとめる集大成であり、ラスボスの根城に突入して激闘を繰り広げる、最高に盛り上がるべき場所だと思う。ver6には冥王の心臓とか幻魔宮殿とか、そういうラスダンに相当するものが無いのだ。一応あったけど完全なイベントダンジョンだし終わったら二度と入れないようにぶっ壊されてしまった。残ったのは天星郷だけ。なんだか味気ない。

そもそも、運営はジアクトの痕跡を徹底的に残さないでいる。絶滅させたのもそうだし、魔眼の月という異文化ジアクトの拠点も二度と登場しないよう念入りに消去した。運営は自分たちで設定した悪役のジアクトが嫌いなのか?そこまでしないといけないほどのメタ的な事情があるのだろうか?

まあドラクエの悪役でプレイヤー側が親近感を寄せるような存在は思い出せないし、敵役は絶対悪でないといけない決まりでもあるのかもしれない。それがver6では行き過ぎて、物語の陳腐さとして思いっきり仇になった気がするのだが。

ラスダンがマップとして存在しないせいで、後から魔眼の月で戦ったんだよな~とか、ジアクトってどんな奴らだったんだっけ?と思い返すことが無いし、プレイヤーは永遠に女神が作ったよくわからないマップで鳥を追いかけてぐるぐるし続ける。

そうか、ver6とはエンペラーレグホンの養鶏場だったのか…

ジアクト弱っていた説


敵役であるジアクトに関して評価が低い理由は、あれだけ強大だとアピールし続けていたのに普通に倒せてしまった、という点もあると思う。ここまでいろいろと設定を整理していて思ったのだが、実はこの展開は設定的にはおかしくない気がする。プレイヤーをあおるために描写を過大にしすぎたからこうなってしまっただけかもしれない。

状況を整理するため、ストーリー中のジアクトの侵略動機に関する証言をまとめると多分以下のようになる。

1、ジアクトはおそらく元から侵略が大好きで、ある時とこしえのゆりかごに攻め込んだ。

2、とこしえのゆりかごは滅ぼせたが、その時に種族全体が創生の力を自活する能力を失い、他の生物からそれを奪わないと消滅してしまう体質になった。あとルティアナには逃げられた。

3、ジア・グオヌバはアストルティアの盾で隠れる前のアストルティアに侵入することに成功。そこからウン万年の時間を経てver5で復活して倒される。

4、ゆりかご侵略から現代のアストルティアまでのウン万年の間、恐らくジアクト本隊は侵略で創生の力を補充しながら過ごしていた。本隊以外は多分補充できなくて死んだ。本隊も全盛期に比べると弱った。

5、ver6.3で盾が失われたためアストルティアに侵略開始。特別な土地を目指していたような証言は述べられていないので、なんか急にアストルティア出てきたらからここに乗り込んだろ!!位の理由で侵略してきたと思われる。

6、普通に敵(アストルティア勢力)が強すぎて負けた。

つまり、ジアクトは余裕ぶっこいてたけどジリ貧だったという事である。ジアクトがアストルティア勢に勝てなかった理由を勝手に想像すると、創生の力の不足が原因で大いなる原石が4人+ゲノスしかおらず、向こうの激ヤバ戦力である神(最低でも8人+神レベルに強いプレイヤー1人)に対抗できる幹部級が足りなかった。戦力差によって普通に負けた。

テクノロジーで圧勝しているんだから撤退するとか引き打ち・兵糧攻めなどの搦め手で行けばいいじゃん?と思うのだが、創生の力不足なので魔眼砲を撃つまで耐える以外の選択肢が無かった。その魔眼砲は本当にチャージというか準備が長すぎて撃てなかった。

あとゲノスのビームで誰でもワンパンできると思って本気でナメてた説もあるが、本当にそれが通るならとこしえのゆりかごで苦戦しないと思うし、そこから逃げたルティアナがいるアストルティアにも同じ耐性持ちの奴がいるかも?と警戒するのが普通だと思うので、ゲノスビーム万能説はジアクト側があまりにもガバガバすぎてNG。

うーん、つまりジアクトは設定的に弱体化していたから思ったより弱くて、あと普通にアストルティア側が強かったので勝てたことになる。ver4はキュルルすごい、ver5は絆パワーすごい、ver6は神パワーすごいという結論だった。

もちろん俺たちジアクトは実は弱ってるから神に対抗とかできないぞおおお!というシナリオ的なアピールは全くなかったので、プレイヤーからは何だこいつら何がしたかったんだ!?という反応が返ってきたわけだ。

ゲノスが急に創生の力がないですとか訴えてきた唐突さを鑑みるに、ジアクトの敵役として不満というのは、設定の不備というより、話を書いた人がプレイヤーに伝える気が全くないから伝わってないという部分が大きいのかもしれない。

なおジアクトが結構弱っていたというのは私の勝手な推測なので、シナリオの人はそこまで考えて無い可能性も当然ある。そっちだった場合は考えていたけど描写できませんでした、という上記の結論よりも酷いと思う。

さて、魅力の無い敵であるジアクトについて、
その不人気とは不釣り合いなほど長々と語ってしまった。

私は別にジアクトが好きなわけではない。しかし最強宇宙人なんて言う摩訶不思議な存在について気にならない訳が無いと思う。人はなんだかんだ強い存在が好きだ。たとえそれが敵であっても。

宇宙から来た敵という異質さをアピールするジアクトを単なる敵として扱い続けて、最後はメタ的にめんどくさいからと雑に全滅させるのは、シナリオが酷いと言われてもしょうがないのでは?

中世ファンタジーの世界に宇宙人を呼ぶ覚悟


ジアクトがファンタジー世界に乱入してきた宇宙人だということは、ジアクトに対する苦情でメジャーな物だろう。一応触れておくことにする。

ジアクトが宇宙から来ているのは、アストルティアにもう未知の場所が無いせいで、宇宙から敵を呼ぶしかなかったから、という制作上の都合だという説はさっき述べた。

私自身の感想としては、まあ実際アストルティアの敵は全部倒しちゃったわけだから仕方ないし、宇宙人が敵でもおもしろければOKです。まあ面白くなかったから苦情を書いてるんだが…

敵が宇宙から来たとしても、ファンタジーを偽装して宇宙っぽさを隠す工夫はいくらでもできるはずなのに、それをしなかったのが運営の落ち度かもしれない。

ジアクトが物語と致命的なズレを生み出してしまった点は二つあると思う。

一つ目は、宇宙船なんていう超テクノロジーすぎる乗り物で来てしまったことだ。敵は宇宙を征服しつくした邪悪な勢力で、それが宇宙船に乗って一瞬でアストルティアに到着した。普通に考えてアストルティア側に勝ち目があるはずないのに、何となくたおしてしまった。もう本当に何となくとしか言いようがない。

これが、宇宙船だけど天の箱舟みたいなファンタジーメカですとか、ジアクトが宇宙船ではなく単一生命体として宇宙を移動しているとか、別の文明から奪った宇宙船が便利だから使ってるだけで自分たちで作れるわけではないとか、そういう無敵の科学力をもってなさそうな説明があればまだ納得できたけど、例によって展開を納得させてくれるフォローは全くなかった。ジアクトつよそう!って盛りたいだけで、物語が全くついてきていなかった。

二つ目は、破壊と殺戮しか考えていません!と自称させてしまったことだ。最初の頃に考察した内容と被っているが、宇宙人のくせに本当に侵略以外何も考えて無いですと言われたせいで、敵との間にドラマが全くなくなってしまった。

そして運営はもしかしたら知らなかったのかもしれないが、こういうただただ邪悪なだけの侵略者キャラは、うまく描写できないと全く魅力が無い。知名度があまりなさそうだが、FEHのスルトがこんな感じの邪悪なだけの侵略者キャラで、プレイヤーから嫌われまくっていたことを思いだした。さらに致命的だったのは、ゲノスがストーリーの最後ではなく途中に出てきてしまったこと。破壊だ侵略だと同じような事しか言わないので、出てくるたびに威厳が下がって間が持たなくなっていた。ゾーマ等他の大魔王のように出番を最後まで温存して、邪悪さを見せつけたらすぐ退場させるべきだった。

個人的には、ジアクトは100%の絶対悪という点が、敵としてそこそこ出番があるにもかかわらず対話を不可能にてしまい、ドラマが無くなったのが良くなかったと思う。

100%ではなく80~90%位の悪にして、こいつらカスだけどそこそこ理解できなくもないとか、ルティアナ滅茶苦茶嫌われてるけどなにしたんだとか、実はジアクトは宇宙のすごい循環システムが生み出した何かだったとか、人格的な取っ掛かりのある悪役にした方が良かったのでは?

ただ、ドラクエシリーズのラスボスが本当に悪な奴がほとんどなことを考えると、制作上の縛りとしてボスは絶対悪にするという約束事があるのでは?という気がしてくる。

逆に考えると、ver5はラスボスのジャゴヌバ以外は絶対悪ではなかったので、かなり好評な話が作れたのではないだろうか。

総じて、ファンタジー世界の宇宙人なんてめんどくさい存在、突貫作業でストーリーをくっつけているこのゲームで扱い切れるはずがないのに、そのことを深く考えずに出してしまったのが悪いと思う。案の定、最終決戦という肝心の場面を過ぎてもどうにもならなかったので、プレイヤーがきっと面白くなると我慢していた分のツケが爆発してしまい、過去最大の悪評を稼ぐことになった。

話が設定の都合に振り回されすぎている


この項からはver6のもう一つの問題点である、『話がゲームの都合と制作者の都合に振り回されすぎている』について述べていく。

私が6.5後期の話で一番違和感を感じた部分は、魔眼の月突入作戦の説明会だ。

ついにラスダンに乗り込んでラスボスとの最終決戦。普通に考えたら正面から乗り込んでいってゲノスを打ち倒して終わり!というシンプルな展開になると思う。だが作戦の説明を聞いてもなぜか頭に入ってこないのだ。おそらくは突入作戦の会議が『◯◯は出来ないから◯◯するしかない』という説明ばかりで、かなりまどろっこしい内容の言い訳みたいに聞こえたからだと思う。

そしてこの突入作戦、はっきりいって話として面白くない。ここからは物語としての統合性がどうとかではなく、メタ的に面白くないという観点で語っていこうと思う。どうも私は話の統合性について自分で勝手に納得している気がするのでね。

ちなみに私は天使たちのことは正直どうでもいい。この人達役人体質だから仕方ねえよなあとしか思っていない。一般天使が役に立たないけど突撃しました!全員乗り込んでいって皆殺し!とかされても、そんなめんどくさいシーン見たくないし。

ただ天使は足手まといだから作戦に参加できないとかジアクトと戦える神化した英雄だけ送り出すとか言ってるのに、クリュトス1人が運転手役なのはえっ?と思ったりはしました。

あと天使は行かないってあれだけ言ったのにユーライザが付いてくる展開が不自然すぎると思う。志願者は一緒に行ってもいいよ止めないよという展開にした方が無理やりついてくるよりプレイヤーの心証は良くなったのでは。それはそれでユーライザ以外誰も来ねえのかよってなるからだめか。まあ後で実は神化してました!という分かり切った展開のためのフリでしかなかったから、わざとらしすぎて盛り下がったのはある。

長くてよく分からない作戦会議の結果ついに始まった魔眼の月潜入作戦。これは素直に面白くない。プレイヤーが作戦を進行させると味方キャラがよくある展開で死ぬのを面白いと感じるのは無理だ。

さらに謎だったのは、魔眼砲をぶっ壊す作戦が

(実は魔眼砲は二本ありました!いかがでしたか?とか言われても、物資の搬入とかどうやって誤魔化したんだよ?ネブラ以外には隠しててネブラに建設を委託したにしても、ネブラが業務的に重要になりすぎるしさっきやっこさん爆死したから魔眼の月の事よくわからなくなりそうだけどいいの?と唸らざるを得ない、都合よすぎな設定が生えてきたせいで)

実質的に失敗して、じゃあこのままゲノスを倒しに行きましょう!と全ての前提を無視した提案を天の箱舟より早い女ユーライザがして、そのあと特に問題もなく倒しちゃったことだ。

めんどくさい作戦会議した意味あった?

ちなみにユーライザが神化してなかったら普通にゲノスビームで終わりなので魔眼砲を2本壊す方がまだ無難な気がする。

ここら辺の展開は作中であれこれと言い訳されているが、私が不満に思っているのは話の良し悪しや設定の統合性ではなく、制作側の都合が物語に貫通しすぎていることだ。

完全に私の感想というか感覚になってしまうので率直に書いていく。まずver6.5後期の話自体が、いくつか決まっていて動ごかせない展開の辻褄合わせに終始している。

その展開とは、ラスダンはNPCを操作するギミックダンジョンにすること、魔眼の月を神剣でぶった斬って終わること、英雄はこの後の話の邪魔になるから全員消すこと、ラストの三つのイベントにつなげることだ。

完全なギミックダンジョンと化したラスダン


ラスダンをnpc操作で進むダンジョンにするというのは、おそらくver5のラスダンが好評だったから続投した仕組みなのだと思う。突入作戦がやたら回りくどかったのはギミックダンジョンの言い訳ということだ。NPCそれぞれに見せ場を作るために仕方なかったのだろう。私もこの方式でNPCを操作できること自体は嫌いではないが、英雄をシナリオの都合上全員始末する必要がある、という命題とNPC操作との相性が最悪すぎる。なんだかよくわからない知育の結果、どこかで見たような展開で英雄たちが死ぬ、しかもあからさまに全員殺す気満々でわざとらしいというのは、プレイヤーに悪印象を強く植え付ける結果にしかならなかったと思う。

そしてラスダンがギミック用のステージと化した結果でもあるのか、このマップは最終的に爆破されて二度と入れなくなるという、前の項目で述べたラスダン不在問題にもつながっていく。NPCが活躍(?)してるのを見られたのはいいけど、このラスダンはプレイヤーが自分の意思で冒険するものでは一切なかったと感じるのが不満なのかもしれない。魔眼の月はぶっ壊したけどゲノスの住居だけ分離して逃げたので改めて乗り込んで最終決戦とかそういうのでもよかったのでは…

天の箱舟の超性能でこっそり突入したはずなのにバレバレだとか、バレてるのに大群のはずのジアクトがほぼネブラしか出てこないのが謎だとか、魔眼砲の発射作業が地道過ぎるだろとか、その地道な作業のために今大忙しそうな魔眼砲操作室に一般ジアクトが1人もいないのはおかしいだろとか、ドルタムが小さなことも見逃さない!とか言ってたのにカブの毒の症状を盛大に見逃すの何なんだよとか、ナンナの死に方が邪魔な壁をどける為って…とか、そこらへんのシナリオ都合についてはもう何も言うまい。

フォステイルのカッスなジョークとそれをすぐ切り返したリナーシェのやり取りだけは好きです。

魔眼の月を絶対に神剣でぶった切らなければいけない理由


魔眼の月を神剣でぶった斬って終わるのが最初から決まっていた展開、というのは、該当シーンがムービーだったことからの推測だ。

通常のイベントシーンがゲームエンジンの範囲で行われる劇場とするなら、ムービーとはレンダリング済みの動画を流すことを指している。ムービーは動画なのでホイホイ作ったり後から変えたりできるものではない。制作にも時間がかかるので、ver6の初期からラストシーンの展開を決めてムービーを発注済みだろう。通常のイベントシーンで行われるストーリー自体も長期の製作期間が必要なので、アプデの1年以上は前に最後のシーンのムービーが出来上がっていたことだろう。通常のイベントシーンでも直前にホイホイいじるのは無理だろうけど、最後のシーンがずっと前に決まっているから、そこに繋がるシーンは無理矢理にでも辻褄を合わせないといけなくなる。

魔眼の月に素直に乗り込んでゲノスを倒して終わりだと、魔眼の月をぶった斬るシーンに繋げられないから、よくわからない突入作戦をしないといけなくなくなったのでは?

ムービーシーンそのものは見たらおーっとなる部分ではあるけど、ムービーが原因で話が滅茶苦茶になったのでは?と思い始めるとヘイトの対象になってしまう程度には、そこまで重要とは感じない要素だ。

一つ疑問なのは、制作の人は魔眼の月を剣でぶった切る展開にそこまで情熱があったのだろうか?

神剣というレクタリスとの絆でゲノスを打ち倒す、という意味合いがあったとしても、ゲノスを切れば十分だと思う。魔眼の月はたとえばパドレを閉じ込めていた異次元にでも追放して機能を停止しました!とか、そんな理由で再利用できないけど再訪はできるラスダンにすればよかったのでは。

プレイヤー的にはラスボスを倒してシナリオが終わったという結果があればいいと思うし、冥王の心臓等のラスダンも特に破壊されずに残っているから、魔眼の月が残ってても別に気にしないと思う。

ver5の女神VS邪神とか、ver6途中の英雄vsジアクト軍勢とかは、満を持して登場した女神や勢ぞろいした英雄のキャラ立て、盛り上がりを表現するムービーとして楽しめたし、単に戦ってるだけだから話に不都合も起こりにくかった。魔眼の月破壊ムービーはそれまでの展開が無理やりすぎるし、破壊しないと困る物だとしても、プレイしていてその事情がよくわからなかったので、話を書いた人がやりたかっただけじゃないの?と思ってしまう。

英雄皆殺し展開、プレイヤーと運営の温度差


英雄が全員死んだのはプレイヤーから一番批判が出ていた部分だと思う。

他の人の感想(ほとんどは批判)はこの怪文書を書くにあたって、他の人に自分の意見を引っ張られたくなかったからあまり読んでいないが、それでも漏れ聞こえるほどに多い問題点だ。

この展開も当然最初から決まっていたものだろう。ver6.4あたりから英雄たちがすごい勢いで死亡フラグを立て始めたこと、回生堂がエリアチェンジを挟む建物だったことから、薄々全員消すつもりなのはわかっていたが、まさかこんな愚直に死亡シーンを入れるとは…

メタ的になぜ英雄を消す必要があったのかといえば、強すぎるキャラは話の邪魔なのである。例えばアンルシアが6.3で石化したのは過去のヒロインであり個人の話がとっくに終わっている彼女が出しゃばると、新キャラである英雄や天使の話ができなくなってしまうからだ。

この旧キャラでしゃばり問題は英雄たちにも当てはまってしまう。英雄たちは神化しており設定上はとんでもなく強いはずで、そんな奴らが生きていると、この後の話は彼らがしゃしゃってこない理由を際限なく説明し続けないといけなくなる。

英雄を消すのは100歩譲ってしょうがないにしても、もっとやり方があったのでは?

へったくそな脂肪シーンを順番に流すより、神剣でぶった斬るシーンで全員力使いすぎて消えたとか、キュルルと同じように世界と一体化して見守っている展開で良かったんじゃない?と思うのだが、ラダおじの最後のシーンで話を締めるつもりだったからそれもできなかったのだろう。

ちなみにフォステイルだけは死んでいないが、これはフォステイルが誰かを庇って死ぬような展開は、彼のカッスで不思議なキャラと合っていないから人知れず消えるという最期にしただけで、フォステイルがまだ生きていることは今後の話に深く関わってこないだろう。

英雄皆殺し展開の問題点をさらに指摘するなら、英雄というメイン格のキャラを9人も用意してしまったせいで話が回らなくなった、というどうしようもない事情もあると思う。仮に出てくる英雄が1人なら、最後に死んでも納得できる展開を用意できたと思うし、浮いた尺で天使やジアクトの掘り下げも出来るようになっただろう。

シンプルにシナリオライターが下手で沢山のキャラを扱い切れてないだけとか、身もふたもない罵倒は今後の希望が無いのでしたくない。でもシナリオは分業制だとか言ってた気もするし、リナーシェ関係だけ妙に話の出来がいい気もするので、やっぱりシナリオ班のどこかに趣味が出すぎる人とか、まとめるのが下手な人とか、そういうのがいるのかもしれない。

このドラクエ10は5種族が表題になるゲームなわけで、それぞれの種族の象徴的なキャラクターが出てきて雄々しく華々しく活躍する、という展開自体はver6の良かった点に入ると思う。だからその後始末が酷くても、扱い切れていなかったとしても、英雄が沢山出てきたこと自体は仕方なかった、と評価せざるを得ない。

私は英雄たちが最終的に全滅すること自体はそういう物語だから、で済むことだと思っている。不満なのは、ここは話の都合上仕方なくこうしますねーというわざとらしさが、ありとあらゆる部分で隠しきれていなかったことだ。プレイしていてそこが気になってしらけてしまった。

それと単純に心配になるのは、シナリオ部門の内部事情だ。人気のために英雄を出して最後に消すとどうなるのか、表にしてみよう。

  1. キャラ人気出したいので各種族の英雄を出します!

  2. 英雄に尺を取られるので天使とジアクトは描写不足で人気が出ません!

  3. 英雄人気出ました好評です!他は不評です!予想通り!

  4. 殆ど唯一の好評要素の人気キャラである英雄を最後に全員消します!

  5. ver6超不評でした!いかがでしたか?

不評までの因果関係がver6の話よりもしっかり繋がっている。流石に強引すぎることに話を考えてる段階で気がつきそうなんだけど、誰か止める人は開発の中にいなかったんですか?

言い訳祭りの天使たち


ver6でおなじみの苦情と言えば、『天使がムカつく』というものだ。私自身は天使の仕打ちをそこまで気にしていない事を先に述べたが、シナリオを進めるにつれて天使たちがカスなこと以外の、別のことが気になり始めた。

天使が概ね何もしてないように感じるのは公務員体質だからだろうと勝手に納得し、やたらヘイトをむけてくる天使がいるのも、悪評を流してる奴のせいならしょうがないと納得した。

大魔王だからヘイトを向けられている部分もあった気がしたけど、今考えると『天使と大魔王って仲悪そうだよなぁ!』位のノリでライターの人が決めてたりしないだろうか?

ver6の記憶があいまいなのでそんなに主人公が大魔王ネタで罵倒されてたっけ?と思い検索してみた所……天使の民度が某SNSばりに低い。

大魔王ごときに天使がヘイトを燃やしているのは、よく考えるとおかしい気がする。天使がアレなのはアストルティアを長く存続させるためには天使個人が下界に干渉すると結果的に災いを招くので、仕方なくお役所ばりのガチガチのルールで縛っているから、と解釈した。しかし大魔王というのは、はるか昔にアストルティアの一部が分離してできた世界である魔界から、ジャゴヌバ側のシステムによって生み出される侵略者だ。天使がその仕組みを知っているなら、ジャゴヌバはもういないから別にいいか、となりそうなものだし、アストルティアから見捨てられた人々である魔族にルティアナのような申し訳なさを天使も見せた方がいいのではなかろうか?

そもそも天使たちは歴代の大魔王がアストルティアに進出した際にも特段の干渉をしていないはずだ。自分たちが今まで傍観していた存在にここまで反応するものなのだろうか?ここまで書いたけど、ver6初期の時点で散々指摘されていそうな苦情かもしれない。

まあ、ほとんどの天使は魔界の事をよく知らなかった、ヘルヴェルに騙されていた、ということで設定の統合性が取れなくもない。

ちなみに天使が下界に干渉した結果どういう問題が発生したか、という天使側の事情は当然のように描写されていないので、じゃあこんなクソお役所でも仕方ねえな、という納得は得られていない。

ここら辺の天使からの扱いについて書くと話が進まないのでカットする。問題にしたいのはver6後半になると天使たちがやたら謝罪してくるようになったことだ。

ぞんざいに扱って済まなかった、というのが会話にやたら入り込んでくるようになるのである。最後には天使側からの謝罪そのものがストーリーみたいになっている。ハッキリ言って面白くない。

主人公と天使と共闘して絆を深め合い認め合う、みたいな展開が理想であって、加害者からの謝罪が見たいわけではない。

ずっと謝られていると、相手の事を大して悪く思っていなかったはずなのに、謝っているということはこいつは悪いことをしたんだろうと、だんだん腹が立ってくる。そういう経験、身に覚えがないだろうか?

ゴッドイーターというゲームで、味方から誤射された場合に最初はNPCに謝らせていたものを、『射線上に入るなって、私言わなかったっけ?』と逆に怒らせるようにしたら苦情が減ったという話を聞いたことがある。NPCが謝っているとこいつが悪い!と感じてイライラするが、逆に怒られると自分が悪かったように感じてイライラしない、ということらしい。残念ながら検索してもこの話の元情報は見つけられなかった。

天使が最初カスなことは開発段階から決まっていたそうだが、天使が謝罪しまくるようになるのも決まっていたのだろうか?

私にはどうにも、プレイヤーからの評判が悪すぎたから天使からの謝罪を多めに入れました!みたいな制作のドタバタがあったんじゃないかと思えてしまう。

天使をカス種族として描写したのは何の意図があったの?


何故天使が運営の手でカスの設定をされてしまったのかは、作劇上の理由として理解できないこともない。

今までのドラクエ10の話では、主人公が冒険する新たな舞台の人々は主人公のことをほとんど知らなかった。5大陸、レンダーシア、ナドラガンド、過去世界、魔界、そのどれも、主人公のうなぎ上りに高まっていく名声を絶妙に知らない人たちがいる世界だった。だからこれまでの話は見知らぬ人々の困りごとを主人公が解決して打ち解けるという、物語の導入が自然に行えた。

ところが天星郷は設定的に主人公の事を知らないはずがない。普通に考えたら、世界を救ったヒーローとして天使たちに祭り上げられる導入になるだろう。主人公が全肯定される状況だとどうして物語的に都合が悪いかというのはすごく説明しにくい。
例を挙げるとすれば、なろう系のストーリーには、異世界の現地人の民度がやたらと高く、チート主人公を持ち上げ続ける話がたまにある。それだと直接的な不快さはないが、こいつら何なんだよ…と割と気味が悪い話になりがちだ。ただ褒められ続けることを不気味に感じないなら、不快要素が無いお陰で見ていて苦痛ではないという利点はある。

とにかく、天使の民度が高すぎると、ストーリーでプレイヤーがカタルシスを得る流れに困ったのだろう。だから天使をカスにして、それを見返す、認めさせるという手段で盛り上がりを作ろうとしたと考えられる。だけど特に天使に協力する必要が無い主人公に対してカス対応した結果思ったより心象が悪化し、天使のシナリオ的なフォローに失敗して汚名を返上する機会が無くなった、ということかもしれない。

じゃあマイナス描写を最初から省けばよかったのでは?と思わなくもないが、人物として目立った欠点のないユーライザに余り魅力を感じなかったわけで、必ずしもカス描写が不正解だったわけではないと思う。

しかしよくよく考えてみると、話の導入のために主人公の評判を下げるのと、天使が実際にカスなのは別の問題だ。主人公の評判下げはヘルヴェルが原因ということにして、噂を払拭すれば解決できるし、そうする必要があったメタ的な理由も理解できる範囲だ。

普通は誤解が説けたら天使は素直でいい奴らだったとなりそうなものだが、ver6が終わった後に全体を見返したところ、天使は一貫してカスとして描写されていたという驚愕の事実に気が付いてしまった。

天使の印象を最初は悪く書いたというのはディレクターの弁だ。そう言われたら予想する展開と言えば

『主人公が最初は疎まれるものの、問題を解決して人々に受け入れられるというよくある導入の為』

『天使達は長い年月で使命が歪んでしまったが、主人公やレクタリスの影響が強くなったユーライザの活躍で人を助けるという本来の使命を思い出し、改心する』

みたいなのが普通だと思う。実際の描写はどうだったかというと、主人公が活躍して悪い噂は払拭され、ヘタレた天使長が人の為に戦う決意の元に復活し、レクタリスが天使の使命について語った。ここまでは一応、天使が改心する王道の流れを意識した前フリに見える。

それをぶち壊した
のは、突入作戦会議の終わり際に、ハクオウに『天使は戦わないんですか?』と言わせたことだ。

キャラクターに直接的に『天使はカス』と指摘させるのは、ギスギス×な展開と言わざるを得ない。野良PTを組んでる時にこの人下手だな~と思っていたら、PTメンバーがそれを口に出してしまった位のまずい状況だ。

ハクオウはソロで災厄に戦いを挑んで敗北し世界を滅亡させちゃうという究極のコミュ障エピソードがあるキャラだから普通のPTならKYな言動をさせたといういらんキャラ理解による描写というひねくれ考察もできるが、もちろんハクオウがどうのこうのという問題ではない。この指摘は単に天使がカスな状況に対するシナリオ的な補足の意味合いでしかない。『天使は役立たず』とわざわざ言わせた制作者に問題があるということだ。

物語というのはテーマに沿って描かれている。『天使は見てるだけ』という意図のあるセリフが重要なイベント中に発せられたということは、制作者は『天使は他力本願で何もしない奴』と意図して描いているということになる。

いや、天使をカスに描くのを開き直っちゃダメでしょ?

更にまずかったのは、天使側の二番手キャラであるミトラーが、『はいそうです』という意図の返事をしてしまったことだ。

馬鹿正直に我々天使は無能ですなんて言っちゃ、というか言わせちゃダメでしょ?

別に天使を魔眼の月に突入させない理由付けなんて、どうとでもなるはずだ。例えば、念晶巨人出現の余波でアストルティアが大変なことになっていて、天使は総出でそれの対応に当たらないといけないとか(ついでに念晶巨人とか言う訳の分からない物が出たメタ的な理由にもなる)、魔眼の月突入作戦を素直に正面から乗り込む内容にして、天使は雑魚を担当してることにするとか、とにかく理由なんていくらでもでっち上げられる。

それなのに、丁寧な説明を避けてこんな無駄にマイナスイメージの付く理想の展開と真逆のセリフをわざわざ言わせたせいで、『天使は英雄を見殺しにしたカス』というレッテルを一生剥がせなくなってしまった。どうして天使へのシナリオ上のフォローがこんなにおろそかなのか、もはや理解できないレベルに達している。

ただ、天使は本当に何もしないつもりだったわけではない。作中では魔眼砲破壊後に天星郷で乗り込み大攻勢を仕掛ける、というプランが説明されていた。魔眼の月突入後の展開がガバガバすぎてすっかり記憶から抜け落ちていただけで。そして後から俯瞰して見ると、天使は結局何もしてないという事実と、ハクオウのギスギス発言、そして宴から始まる天使達の謝罪ムーブによって、こいつらは何もしてないという印象がプレイヤー達に強く刻まれてしまったのだ。

制作者は天星郷で大攻勢する展開を本当にやろうと思っていたのか、なんか凄そうな事を言わせてみただけなのか、どういうつもりなのは謎だが、制作上の都合で最初から出来ないことを理由にして結局何もさせなかったのはやらかしていると思う。

魔眼の月破壊後にドルタムのアクシズ落としパロが挿入されるが、ここで天使が連邦の一般ジェガン並みに協力するとかそういうこともなく、天使はクリュトスとユーライザ以外本当に見ていただけで終わってしまった。

そして天使が汚名を返上できる最後のチャンスをスルーしたことで、天使が改心する展開はお蔵入りとなり、単に最初から最後までカスとして描かれた天使というフィナーレを迎えた。ぱちぱち。

どうも皆殺しから宴までの展開を見るに『英雄は全員死んじゃったけど、彼らのおかげで天使たちの命は守られた。ありがとう英雄たち!』『天使は実際ジアクトと戦っても足手まといだから何もしないけどしょうがないよね!』という、制作者は英雄の自己犠牲のイイ話として描いているっぽい雰囲気がある。なおプレイヤーからの反応は真逆で、『天使が無能なせいで英雄が死んだ』『英雄が死んだのに宴なんてやっててドン引き』と大不評を食らっていた。

そりゃそうだ、まず天使を助ける価値のある尊い存在だとか、英雄たちと深い絆を結んでいるとか、そういう人物面の積み上げが全くなかったわけだし。そうでなくても『あなたたちは戦わないんですか?』なんて無能を決定的に印象付けるセリフをいれたら、そう思わない方が無理だ。

天使が一貫してカスなのはいっそ構わないのだが、問題なのはカス描写が一貫していないことだ。現代にも普通に人助けをしたがる良い天使がいるとか、ミトラーを語るのにストーリー1枠を割いたとか、まともな種族を目指した痕跡が散見される。ストレートに言うと、最初は天使をまともに描くつもりだったはずなのに、最後には放り投げたから全部がちぐはぐになっている。

たとえば審判の天使という幹部クラスで考えると、クリュトスとフェデーラは割と普通なのに、カンティスだけ最初から露骨にヘイトを稼ぐ役回りをさせられている。

カンティスは導きの天使なのにリナーシェに嫌がらせをするカスだが、クソ真面目だとかホーリーキングには懐かれているだとか、実はリナーシェが好き…?だとか、ばっくれたミトラーの代わりに雑務をこなしている苦労人とかのフォローがあったので、最終的には印象に残ったキャラだと思う。私はそんなに嫌いではないが、彼の世間からの評判はすこぶる悪いようだ。それは置いておいて、天使本来の使命に割と忠実なクリュトスと、カス役を担当させられてしまったカンティスの描写の差が凄すぎると言いたいのだ。

クリュトスは黄金の試練というトルネコの店番オマージュの良イベから始まり、ショタ天使という恵まれた属性で言動は特に不快感が無く、技術担当だからストーリーではミトラーの次くらいに出番が多い。しかも他の天使と違い最終決戦に同行して主人公たちを助けてくれる(皮肉)。

他にカス天使で思いつくものと言えば、ver6で神化の儀式を流れで受けさせられそうな主人公を足止めした門番のピュトス君だろう。結果的にここで足止めされたおかげで主人公は悪神にならずに済んだファインプレーだったわけだが、プレイヤーからはカス門番として大不評を食らっていた。

そりゃあただの嫌がらせが偶然にも黒幕にとって都合が悪かっただけで、ピュトスがありがたいわけではないのだから当然だろう。ここも足止めしたことにカス以外の理由をつけるとかのフォローをうまくして、こいつのおかげで助かった的な説明をきちんとして、プレイヤーにいい印象を与えておけば、そこまで不評にはならなかったのでは?と思う。

おそらく運営の中では、嫌がらせのおかげで主人公が助かったら面白くね?そこから、最後あの門番がしんじゃった!かなしい!みたいな絵を作りたくてこうしたのかもしれない。思い付きだけで話を作ったからフォローが足りなかったのではないだろうか。

そしてピュトス君は最終的にゲノスに刺されて死んでしまう。異常なまでに印象的に描かれたピュトス脂肪シーン、これは話の最初とラストだけは開発段階で大枠決まっていたから、最初と最後しか出番が無いピュトスが不釣り合いなほどに盛られたのでは?と邪推に走ってしまう。まあ天使の肉付けに失敗したから、大半のプレイヤーからはルーベをちゃんと始末しておかないから門番がしんだ、くらいにしか思っていないのではないだろうか。

そういえば、ユーライザ以外で一番目立っていた天使と言えば天使長ミトラーだが、変わり者な彼女が何故天使長に選ばれたのか?という彼女に対する一番の疑問が全く説明されないで終わってしまった。

ミトラーは天使長だけあって様々な事情に詳しく、カスという描写もあまりされていない恵まれた天使だ。

私が一つ疑問なのは、ver6の時は確かに天使のカス描写が多かったものの、それ以降はまあまあ普通の性格レベルで書かれている気がするのに、ずっと天使がカスとプレイヤーに言われ続けたことだ。それだけ初対面の印象は大事ということかもしれない。もしかしたら話の制作者は私と同じように描写だけを認識していて、描写が読み手に与える印象には無頓着だったから、心理的なフォローが全然無い話になってしまったのかもしれない。最後に普通っぽくすることをやめてカスに全振りしちゃったのはさすがに理解不能だが。

フレンドに天使ってどうしてカスなのー?的な質問をしてみたら、印象の9割くらいはピュトスから足止めされた時の印象が悪すぎたせいという返答が返ってきた。確かに、ヘルヴェルの悪い噂程度なら、カスの原因が噂だとプレイヤーにきちんと説明されているので、ヘルヴェルを逮捕した上でSNS民度な天使たちに誤解してましたサーセンとでも謝罪させれば割と払拭できる気もするが、直接罵倒されて行動を邪魔されるのはそれよりもはるかに印象が悪いのかもしれない。カンティスお前もだぞ。リナーシェは汚名返上できたのにカンティスかわいそう……

話をミトラーに戻そう。彼女はver6.3で見せ場をもらい、天使として人間を守る決意を固めるストーリーが描かれたのだが、天使全般がアレだしミトラーもジアクトに対抗できる特殊能力をもっていないので、ミトラーは1シーズンを割いて掘り下げるほど重要な存在だったのか?という点が地味に疑問だ。よく考えると最終決戦にもついてこない程度のサブキャラの説明にこれだけ尺を使って、まだよくわからないままなのはどうかしていると思う。

彼女の仕事の成果を評価してみよう。英雄を悪神化させちゃったのはまあ仕方がない。アストルティアの盾を破壊されるという大チョンボ、まあまあ強いけど普通に負けてヘタレる程度のメンタル、いじけている間の仕事はカンティスが処理、神剣と盾の再製造という無理ゲーな任務は主人公に丸投げ、突入作戦での天使は無能です宣言。天使長の役職通り終始天使たちの陣頭指揮を行う立場のキャラで、結果的には怨敵ジアクトの絶滅という結末に至っているものの、敵の思惑にははまり続けていたし、流れに身を任せていただけというイメージが強い。やたらもったいぶってるけど意味あるの?という印象がぬぐえなかった。

もしver7で天使関連の話をまだ広げるつもりがあったとして、過去のバージョンのキャラであるミトラーに尺を割けるとも思えない。ミトラーに重要な設定があるならver6のメインストーリー中で全部開示しておくべきだったと思う。

一応、とんでもないラッキーガールという設定は最後のクエストで開示された。もしかしたらミトラーはなんとなく正解の選択ができるという裏設定が制作者の頭の中にあって、そのせいでもったいぶっているように見えていた可能性もあるが、ミトラーがラッキーなおかげでジアクトを退けられたような説明は一切なかったので意味がある設定とは思えない。

ついでに言うとミトラーがいればラッキーで勝てるなんて設定がもしあったとして、真面目に描写したら大変なことになるので、設定として意味を持ちようがないとおもう。漫画のラッキーマンじゃねえんだぞ。

天使たちは大してキャラを掘り下げられず、困っている彼らを主人公が助けて仲良くなるという王道パターンも少なく、最後はひたすら謝罪。これで天使の印象が良くなるわけがない。

ちなみに天使が主人公やアストルティア民を見下しているのは、天使が自分たちを下界人に対する上位存在だと思っているかららしいが、この理由には何かデジャヴを感じる。

そうだ、ジアクトや魔神族といった敵役も、自分たちは上位存在でこちら側を下等種族と見下していた。天使もジアクトも魔神族も同じ理由で同じような態度を取ってきて、それが全員ver6中に出てきているとか、あまりにもカス種族の表現に対する制作者のボキャブラリーが貧困ではなかろうか?

天使というのはドラクエ的に9のメイン種族で重要な存在のはずだ。どうしてそれがこんなひどい扱いになってしまったんだろう?

変な描写でカスにさせずとも、セオリー通りに主人公と助け合ってジアクトに立ち向かうような物語にはできなかったんだろうか?

ちぐはぐな描写の数々、イメージ先行で画を作ってフォローが全然出来ない粗末な作り、天使関連は純粋に制作者がおかしいからこうなったという結論にしかならないのが悲しい。

まあ英雄を9人も入れたから天使に割く尺が無くなっただけで、本当に深く考えて無かったんだろうなと思う。英雄をほぼカットしてその代わりに魅力的な天使でも出して話を回したほうが良かったのか?と問われても、そうだとは言い切れないし。

演出や展開に製作者の趣味が出過ぎている


気になったのは話の都合だけではない。話の展開とか設定とか演出とかにどっかで見たやつが多すぎる。私はドラクエが見たいのであって、パロディが見たいわけではない。どっか別の作品で見たパロディをしこたま詰め込まれると、作者の趣味という言葉が脳裏にチラついて話に集中できなくなってしまう。

特に気になったどっかで見たやつを箇条書きにしてみる。ほとんど難癖に近いものもあると思う。

  • 死んだ英雄を蘇らせて使役するってFateだよね?これはまあ面白ければそこまで気にならない。

  • ジアクトがぶっちゃけていうと昔の戦隊モノの悪役みたい。対話不可能な宇宙人で大将がやばいって典型的なそれだと思う。戦っててつまらなかった理由を真面目に考察したけど、作者が戦隊モノの悪役が好きだから面白いと思ってこうしただけという最悪のパターンもありうる。私は別に戦隊もののファンではないので、それっぽい敵組織が出てきても面白いとは感じない。

  • ゲノスが出てきたあたりで思ったけど、光り輝いていて胸にタイマーみたいなものがある奴が、空を覆うほどの巨大なイメージとなって現れる姿はウルトラマンを連想するかもしれない。もしかしてジアクトは戦隊ものだけではなくウルトラマンもモチーフだったりするのだろうか?もちろんウルトラマンは正義の存在であって悪のジアクトとは似つかないのだが、設定のモチーフ程度なら矛盾はしない。

    ウルトラマンは宇宙人というより超常の存在だから(私はウルトラマンには全く詳しくないので違うと言われたらごめんなさい)、ジアクトの文明が全く描写されなかったのも、作者がジアクトを文明として意識して書いていなかったと説明がつく。やたらアストルティア民を見下してくるのも、悪の超常存在だったら当然かもしれない。

  • ジアルミナのキャラ付けって完全に特撮モノの悪の女幹部ですよね?

  • ゲノス最終形態ってこれジオング…

  • ジアクトからの罵倒のバリエーションが下等種族一点張りでしょぼいしうっとおしい。その上、ガデクエに出てきた上位存在系の敵であるストレサーデと罵倒のセンスが被っている。ライターの語彙が貧弱なのでは?マップの名前をよくわからない造語にする暇があるのなら、敵側の描写のセンスを磨いてほしい。

  • 念晶巨人とか創生巨神とかダイダルモスとか、急に巨大ロボットが出てきたり主人公が巨大化したりするの、これ完全に特撮やアニメの趣味が出てますよね?ドラクエ4の魔人像ネタなら巨大ロボが出てもまだ受け入れられたけど、そういう意図は一切感じなかった。

  • ルーベとサフィルの合体形態がフレイザードなのはドラクエネタなのでセーフ。これはドラクエネタは特撮ネタと違ってプレイヤーにドラクエシリーズを併修している人が多くて受け手に通じるし、シリーズファンへのファンサービスという目線で見られれて許容されやすいと思うから。逆に特撮ネタはドラクエシリーズとのつながりも突拍子もないし、ついでファンタジーという大枠からも外れているので、得意げに披露されても受け手に伝わらず滑ってしまっていると思う。

  • 神剣レクタリスでなにかしらぶった斬って終わろうとするの、アニメとかでよくあるお約束に見えてしょうがなかった。制作的には定番ネタなんだろうけど、私ははいはいアニメでよく見る奴ね、となってしまったので演出への温度差を感じる。もしかしたらこの神剣自体がグランゼニスの武器などにもつながる今後への設定的な伏線だったりするのかもしれないけど、剣も盾も便利アイテムすぎるせいか最後の閉店セールで英雄のついでに消えちゃったしなあ。

  • 主人公が神化という便利パワーアップを頑なに避けるのを不自然に感じた。自分のキャラが人間をやめるのは気持ちのいい展開ではないので、神化を避けさせたこと自体は正解だと思う。でも特にデメリットがなさそうなのに避けられ続けると、神化ってなんなの?都合がいいだけじゃないの?と怪しく思えてくる。最後にユーライザが神化したり、ゲノスまで神化しようとしてたり、この世界における神ってどうゆう存在なの?という説明が必要な段階に入っていると思うのだが、例によってスルーされてしまった。幸いこのゲームは日本でしか展開していないので、神の現実的な解釈については深く考えない選択が可能ではある。でもゲーム的な説明は必要。

  • そもそも神ってなんなの問題を深堀するとver6シナリオの致命的な運営都合に気が付いてしまった。神設定は新しいマップを出すためのメタ的な都合でしかなかったんだろうけど、色々とおかしな食い違いを生んでいる。英雄は神になったのが設定的に都合が良すぎるから消さないといけなくなった一方で、ユーライザは特に理由も説明されず神になったのに、最後神化が解けて運営からおとがめなしで済んでいる。神化が解けましたで許されるなら、英雄も神パワーを使い切って神化前の状態に戻りましたとか、アス盾また消えたしジアクト残党から世界を守る障壁になって世界を見守っていますよとか、そういう終わり方じゃだめだったの?

    この扱いの差の原因はなんなんだろう?ver6大不評の英雄皆殺しをしてまで英雄を始末した一方で、激重不人気ストーカー女を助ける意味は運営の贔屓以外にあるのか?ヒロインだから助けたというなら、同じくヒロインであるラダガードとレクタリスも助けるべき。

  • 特に三闘士の死に方がどっかで見たことあるやつばっかり。カブとナンナはどこで見たのか忘れたけどどこかで見たことある。ドルタムの死に方でアクシズ落としを連想しない人おる?あと宇宙からの落下物を逸らすのはいいけど、あれだけの大きさのものを着水させたら津波で結局大変なことにならない?

  • 私は全編ソロでクリアしたので不満として書かなかったが、ラスダンがソロ強制なのはとてつもなく評判が悪かったようだ。ver5の時点で苦情は届いていたはずなのに、ver6ではラスダンで最後までPTを組めない仕様にしたのは開発者の判断がユーザーのニーズを無視した致命的な物と言えるかもしれない。

一番不満なのは、どうもシナリオを描いている人に特撮が大好きな人がいそうで、しかもその趣味が思いっきりドラクエという物語のヴェールを貫通して主張していることだ。

この制作者の趣味が貫通しすぎという不満は今に始まった事ではない。最初に目立って不評だったのはパクレ警部のキャラクターズファイルだと思う。あれも主に説明不足のせいで酷い評価を受けたクエストだが、パクレ警部の妄想が昔の特撮であるギャバンにそっくりらしいとか、特撮ネタが話に貫通してしまっているというver6ストーリーに共通した問題がある。

ver6が特撮ネタまみれというのは私の妄想の可能性もあるのに、こうして不満を長文で述べているのは、パクレ警部という前科があるからだ。パクレを書いた人が成長していないから、また同じように特撮ネタをこすっているのだろう、と思ってしまっている。

ドラクエプレイヤーは高齢化しているので、もしかしたら特撮が鉄板のネタである可能性もあるが、私は特撮ファンではないのでやたら擦られても寒いだけだ。特撮を創作のモチーフにするのはいっそ仕方ないけど、もっと見れるものになるようにブラッシュアップしてほしい。

ヒロインがラダガード問題


最初の方にネタでヒロインはラダガードと言ったけど、これは結構深刻な問題だと思う。だって結局ユーライザに魅力がなかったんだもん。それにラダガードの最後があまりにもヒロインムーブとして満点すぎたのもこっちがヒロインのほうが良かったという感想に拍車をかけた。

ラダガードは主人公と最初に出会った英雄で、一緒に白灰の試練場を突破した仲で、天使がクソという共通の思いがあり、悪神化しても他の英雄と違ってズっ友ダヨ…!的な理由でその場に残ってくれた。ver6開始時点でもヒロインはラダガードでは?

そしてver6.5では英雄のメイン格として魔祖と戦い抜いた圧倒的なパワーを存分に発揮、その強さで主人公とともに激戦を戦い抜いて生き残る。

設定的にはラダガード並に強そうなハクオウはよくある展開で始末されてて可哀想……

しかし復活したゲノスの卑劣な魔の手にかかってしまう。最期にはCV堀内賢雄による迫真の演技で主人公を激励しつつ果てる。

ver6のヒロインはラダガード。

なおラダガードの最期それ自体は良かったものの、これをするために様々な展開がねじ曲がっていそうだ。特にルーベの最期とか。

そしてラダガードの最期の言葉から真のエンディングまで大量のクエストと写真撮影をこなさないといけないせいで、先を見る前に勢いでクソ!と言いに来る人が提案広場に大量発生したのは、運営にとってもプレイヤーにとっても不幸だったのではないだろうか。

真エンディングまでめんどくさいすぎて、後からシナリオを進める人にとってスタンプクエばりに厄介な障害になりそう。別に天使を助けるのとか後回しでイベント見せてよくない?

さて本題に移ろう。なぜユーライザに魅力が無いのか。

まず口調が丁寧すぎる。突然現れたよくわからないストーカーみたいな女に半ば無理やり天星郷に連行されているのに、当の本人はずっと丁寧語。そのあと一緒にどれだけ冒険しても丁寧語。これでは、中が深まった感じがしない。レクタリスとの対比でこうなったのかもしれないけど、初対面の印象と中が深まる描写はとっても大事だなあと思いました。

後から追記しているが、他にもユーライザが何となくむかつくという感想は多かった。どうも丁寧な口調でこちらの気持ちをあることないこと代弁するのが気に障るのではという気がしてきた。つまり語り部役をしている時のユーライザのテキストに問題があるのかもしれない。どこがどう問題なのかは改めてストーリーを読み返さないと語れそうにない。

ユーライザは性格も普通にいい奴ではある。誰にも嫌われないということは、誰にも好かれないということ。そんなどこかで聞いた格言が脳裏をよぎる。

あっでもよく思い出してみると、神域カウンセリングフェーズでユーライザの言動が結構アレだった気がする。当時はユーライザ妙に人気ないけどどうしてだろう?とボケていた私でも、悲しい過去を告白する患者たち『そんなことで?!』という意図の、心ある人間なら普通言わないセリフがけっこうあった。キャラクターにそこまで好き嫌いを感じないにぶちんの私でも流石に引いた覚えがある。ハクオウと三闘士の話のノリを考えるとある種の熱血描写のつもりだったのかもしれないが、ライター間の統合が取れていないってことなんだろうか?

次にダメなのは特に欠点がない所。ユーライザには特別困っていることがない。主人公がいなくても別に困ってなさそうなのだ。

アンルシアは自分を見失っていて、主人公という盟友の助けが必要だった。勇者がいくら強くても、一人では大魔王は倒せなかっただろう。

エステラは…あんまり個人的な助けは必要なさそうだけど竜族の代表と考えよう、竜族全体が主人公の助け無しではどうにもならないほどひっ迫していた。

メレアーデは主人公のいとこだし、日常パートがあったのは今思うと恵まれていた気がする。チェス盤の後ろのでかいメレアーデとか猫女とかやべえ設定が多いけど、印象には残る。

イルーシャは初手から記憶喪失で困りまくり。魔界という物騒な場所で、守ってくれる人間が必要だった。

他のヒロインはそれなりに主人公と関わる設定が充実している気がする。ユーライザはどうだろうか。

まず彼女は主人公を天使とかいう厄介集団に関わらせた張本人だ。もちろん彼女が主人公を連れてこなければアストルティアは滅亡していただろうけど、流れでそうなっただけだ。別にユーライザが原因でエラいことになるわけではない。いろいろ考えてみても、主人公が個人的にユーライザを助けないといけない事情が全然ない。普通に強いし、記憶喪失でもないし、ストーカーする事情とか知らんし、そもそも天使全員が別に困ってそうな感じではないし。

彼女と一緒に色々な冒険はしたけど、二人で苦難を乗り越えたって感じのイベントがちっともなかった気がする。ユーライザを助ける過程でその人のことを深く知る、みたいなステップがなかったから、感情移入する余地が生まれなかったのではないだろうか?

例えば英雄たちは心域の中で自分の弱みを見せたし、主人公がそれを救うという流れがあったから感情移入できた。ユーライザにも同じ流れがあったらもっと馴染めたと思うけど、ユーライザ自身が心の弱みを見せたことはなかったと思う。そしてユーライザの弱み担当であるレクタリスには人気が出た。

結果として、レクタリスの事を知るまでユーライザは主人公の付き人として派遣されてるそこそこ強い天使その1くらいの印象がずっとぬぐえなかった。

ユーライザのキャラ付けが弱かった原因はもう一つある。主人公以外の他のキャラとの交流が少ないのだ。彼女は罪付きだから他の天使と余り交流が無かったのかもしれないが、そもそも罪付きという設定がプレイヤーから見てなんだかよくわからなさ過ぎたので、必要だったのか疑問が残る。

この交流の少なさは、天使たちの社会が階級社会なせいで、天使同士のやり取りが仕事じみていてあんまりおもしろくないとか、そういう問題もあるかもしれない。

天使以外の登場人物といえば英雄だが、彼らがストーリーに登場したシーンを思い返すと、試練を受けていた時、悪神化して敵対していた時、主人公と死亡フラグクエストをしている時だったか。英雄と主人公が組んで行動していることが多い一方で、ユーライザが英雄と絡んでいたイメージが余り無い。というか絡むにしてもそれぞれの担当になった導きの天使と絆を深めるのが自然じゃないのだろうか。選定で強制連行した後担当からは放置プレイって、そりゃ英雄側もキレるよな。

ユーライザにとって主人公以外に唯一目立って交流のあったキャラといえばヘルヴェルだが、彼女は登場時からジアクトに精神を侵されておかしくなっている裏切り者で、しかもルミナがやばいから私に任せろ!みたいなことを言ってサクっと気軽に退場してしまう。ヘルヴェルの早すぎる退場でユーライザが人間性を見せる相手が主人公の他にいなくなったから、重い女がずっと付きまとってくる状況が改善されなかったのではないだろうか。

そしてユーライザの話をする上で必ずついて回るのが、レクタリスとかいう開幕ヘビィチャージしてそうな重い女だ。ユーライザはともかく、レクタリスは好きという人は多いと思う。彼女は欠点開示から主人公に助けられて即デレ、そして退場するまでをフルスロットルで駆け抜けていった。

2人の評価の差を見ると、天使が主人公にクソ対応するプロットになったのも、デレる工程、受け入れられる工程を入れないと面白くないからなんだろうなと思う。

ただレクタリスはあまりにもキャラ付けがキマりすぎていたために、ユーライザが一つのキャラではなく、レクタリスの転生体にしか見えなくなるという劇薬として機能してしまった。ユーライザに何か魅力を感じようとしても、全てレクタリスありきになってしまったのだ。この形式はメインヒロインのキャラ付けとしては失敗な気がしてしまう。素直にレクタリスがヒロインでよかったじゃんと言われていそう。まあレクタリスも主人公が大好き!という重さ全振りの女なのはユーライザと同じなので、現代でヒロインになっても話が盛り上がるか怪しい気もする。

製作者もこのことを気にしてはいたのか、サブクエ後のラストシナリオでレクタリスを成仏させ、完全に2人は別のキャラです、というアピールを入れてきた。

最後のクエスト自体はレクタリスもユーライザも非常に良かった。レクタリスの重すぎる思いをおおぞらに乗せるランデブー。ドラクエ6のラストを彷彿とさせる、新しい命の誕生と天使の使命の輪廻、ユーライザとヘルヴェルの絆。ラストは非常に良かっただけに、それで許すにはちょっと苦しい途中の展開が悔やまれる。

ただこの最後のクエスト中、ユーライザに実はレクタリスの記憶あります!と言われた時、ユーライザを見る目にどこか虚無感を覚えてしまった。この後完全にユーライザとして独立した彼女には改めてキャラを掘り下げる展開が必要な気がするが、もう尺がない。ヴェルを抱き天使の使命に燃える明るいユーライザは、ようやく主人公に依存する人物ではなくなったように見える。その姿は今までよりずっと魅力的に感じたので、少し残念だ。

ちなみにユーライザの写真撮影という苦行をやっていた時に初めて認識したのだが、ユーライザも十分すぎるほど重い女だ。

天使は同じ魂がフォーリオンという狭い範囲で転生し続けているわけで、輪廻がテーマ性として描かれているように感じるが、ハッキリ言って重くないかこの設定…?

うん万年単位で同じ人間を思い続けるって、たかだか数十年しか寿命のないリアル人間が理解できる事象には思えない。

まとめ


最後にまとめとしてver6のストーリーを1バージョン毎に区切って評価してみる。

  • ver6~ver6.2 良
    特に問題ではなかった頃。英雄のストーリーはきちんと描けていたと思う。

  • ver6.3 雲行きが怪しい
    アラモンド鉱山は冒険の舞台としては良かったものの、私はここで何をしているんだろう?感は否めなかった。ミトラーとアラモンド住民の絆は上手く描けていたとおもう。しかし天使が人の為に働くというテーマはver6を通して描写不足というか、天使をクソ野郎にしてしまったせいでまともに語れなくなってしまったのではないだろうか。ミトラーはずっともったいぶって何かすごい事でも隠しているの?という疑問は最後まで晴れることが無かった。  

    レオーネのお気持ち表明が二回あったのはver6最大の謎かもしれない。もしかしてver6.3もver6.5後期と同じように、ムービーの都合でよくわからない流れを詰め込んで無理やり尺をつないでいたのだろうか?ムービーやめたほうがいいのでは?

  • ver6.4 最良
    最重要アイテムである神剣レクタリスとアストルティアの盾(なお盾の方は性能の割に最後雑に消えたので役に立っていたか不明)を作り直すというわかりやすい目的から始まり、ver4の後日談とも言える充実した序盤(何気にver4もエテーネが現代に突然出てきたのに各国の反応とか特に無くずっと放置ってアフターフォローがやばい)を経てその後は神代という、これ以上ないほど神秘に満ち溢れた世界での冒険。エルドナやナドラガ、レクタリスという魅力的なキャラが登場し、主人公が過去の人々を助けるという王道展開に大満足。過去世界を通じてアストルティアの世界観の説明があったのもよい。ルーベやサフィルという今までとは違う展開になりそうなジアクトが出たのも、ジアクト関連の描写としてはマシな方だったかも。まあ放り投げたからプラスになっていないのだが。

  • ver6.5前期 これ面白くなるの…?
    今思うと、中身の無い箱の前でひたすら足止めを食らうような話だった。本来ならここでジアクトの説明をもっと入れるべきだったのでは?と思う。悪役過ぎるジアクトの描写を避けたかったのか、それとも念晶巨人のシーンを見せたいだけだったのか、ゲーム的な都合でルティアナが作った謎マップを探検させる必要があったのか、とにかくドラマというものがほとんどないストーリーだった。
    一応、英雄の遺言状作成のクエストはあったけど、正直いって辛気臭すぎるし、まさか本気で英雄全員消すつもりなの…?と思うとあまり楽しめる内容ではなかった気がする。

    そういえばフォステイルのクエストだけ全然なかったけど、こいつは死なないからクエスト用意しなくていいやとか、そういう理由で話が少なかったりするんだろうか。あまり私の記憶に残っていないだけでフォステイルの出番はver6.1にそれなりにあったらしい。

  • ver6.5後期 どうにもならないまま終わった
    何がダメかというのはこの怪文書に散々綴ったのでもはや語りません。しいて言うならやはりジアクトをどうにかするべきだったし、ゲームの都合で意味不明な展開になっているなら、ギミックダンジョンでNPCに出番を与えようとせず、ラスダンに乗り込んでラスボス倒して終わりの単純な展開にして、道中にジアクト大図鑑を放り込んでプレイヤーに読ませる方式のほうがマシなのでは。
    ただ、英雄皆殺し展開をとにかく誤魔化せていればここまで不評ではなかった気がする。それだけにこの一番ダメな展開を止める人がいなかったのか?という点が今後にまで不信感を募らせている。

総評すると、ver6はとにかく説明不足、描写不足、必要な解説が全くされないのが問題だった。

ジアクトってなんなのかを皮切りに、気になる設定は教えてくれない。ユーライザを魅力的にする描写は全然足りない。一事が万事こうなので、プレイヤーが物語から置いてけぼりになってしまったと思う。

ダメな要素が盛り沢山なver6だったが、話を勝手に脳内保管していると、多少はマシになったように錯覚する。なのでどうしてこうなるのか、という説明をもっと丁寧に物語に組み込めていれば、ここまでの悪評にはならなかったのでは?と開発者に対岸から石を投げつけてみる。

ジアクト図鑑を皮切りに、統合性を取るために用意されたであろう設定はぽつぽつと点在しているが、それを物語に盛り込めていない、繋がっていない事が描写不足として現れたわけなので、それを丁寧に拾い上げるべきだったのでは?と思う。

ver7でいろいろ説明するつもりだから設定を開示できなかったと考えたいところだが、ただライターが下手なだけじゃないかと思うと次の話まで期待できなくなってくる。

物語に必要な描写はしないくせに、明らかに開発の趣味としか思えない要素は盛ってくる。ここでこういうシーンを入れたら面白いだろうなという引きを優先しすぎている。巨人モチーフがやたら出てくるのは開発者の特撮趣味以外になにか重要な理由はあったのだろうか?説明するべきシーンで、もったいぶりたい、隠したい、そういう意図が先行し過ぎてしまったのではないだろうか。

なので次のストーリーではプレイヤーを納得させることに尺を割いてほしいが、突入作戦説明会のように出来ない理由の羅列になりそうという不安もある。

ver6のダメなところについて考えれば考えるほど、話についてじゃなくライターと制作体制について不満を言いたくなる。英雄が多すぎて扱いきれないだろとか、宇宙人をファンタジーに出すなとか、当然考慮するべきところを止める人はいなかったんだろうか?

あとがき


引退解除してまでプレイしたストーリーがこの有様で、本当に残念です。大方の予想を裏切らない英雄一斉処分、大方の予想を裏切って何もわからないままだったジアクト。最後のラダガード、レクタリス、ユーライザの3ヒロインのシーンだけは良かったですが、終わりよければ全てよしとするには全体的に厳しすぎる出来です。

最初は1万文字以内にしようと思ったんですけどできませんでした。書くのも一ヶ月近くかかってしまいました。さっさと仕上げて楽になりたいといつも思ってるのになあ。

感想文って、あれが好きとかこれが嫌いとか、もっと感情に溢れた文章になると思うんですが、自分の文章には感情がない気がしています。自分は感情が無いとか突然の中二病を告白しましたが、イキリたいわけではなく、物語を読む時の視点が他の人と違うと感じているのです。どう違うのか具体的に上手く説明できませんが、私は『〇〇が〇〇をした』という行動と結果でしか話を認識していない気がします。事実として、私が感想として出した文書と、他の方が感想として気にするところは、毛色が違うように思えます。つまり、他の方は感情で物語を読んでいるけれど、私は感情で物語を読んでいないのかもしれない。そう思うようになりました。たまに物語の設定の話しかしないオタク会話がありますが、それと原理としては似ているかもしれません。

結果的に感想文と評してネチネチとした難癖を考える怪文書となり、文中のふわっとした表現を改める事に情熱を発揮し、やる気がなくて放置。他人の書く苦情を読みたいがためにふたたび筆を取る。そんなことを繰り返す執筆作業でした。

ver6のストーリーに3.4万字も費やす価値があったかは疑問ですが、負の感情の原動力はすごいですしね。ユーライザは負の側面がわかりにくすぎて人気がなかったわけですし、人は問題が無ければ動かない。

私が怪文書を書く時は、よっぽどおもん無い何かがあった時です。文章を書く事はやぶさかではないけれど、願わくばこれ以上、ヤバいことがドラクエ10に起こりませんように。

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