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二度と来なかった春


行きたいところがある。
暖かくなったら行こう。

これが最後に送られてきたメッセージでした。

忘れた事は無いけど
忘れないように残しておきたい





恩師が亡くなったあのときの事です




高校で軽音部に所属してた私は
先輩とも特別仲良くなることもなく、後輩ができてもコミュニケーションをとらず、黙々とギターの練習をする日々でした

3年の先輩が引退した後、何故か部長になってしまって50人以上の部員に目を配らなくてはいけなくなって

そのタイミングで、はじめて顧問とまともに話すようになりました



適当で、めんどくさがりで、
とても音楽を愛しているおじいちゃん先生


当日、私は歌はやってなかったんです
ギタリストとしてバンドに出ていました
「お前は歌うべきだ」と言ってくれたのは先生でした



エリック・クラプトンが大好きで
イベントの下見とか機材の調達に行く時、
絶対に先生の車で流れてた曲


1番好きなのは『Tears in Heaven』
俺が死んだら、曲と一緒に思い出してくれ!



当日先生は笑いながらそう言ってましたが
私は笑えませんでした


先生は子供の頃から心臓に持病をもっていたので
部活に顔を出す事のほうが少なかったんです


副部長みたいな人もいなかったので
1人でまとめていかなきゃいけないことが多すぎて
たまに耐えられなくなって
廊下でひとり しくしく泣いちゃったり。


そんな時は体調が優れなくても慰めに来てくれたり、ギターを弾いてくれたり

本当に音楽と、生徒皆に愛のある先生でした


この子達ね、私のギターなんですけど
どちらも先生に付いてきてもらってお迎えしたんです🎸



そんなこんなで月日が過ぎて、
卒業して、就職してからも
たまに先生に会いに学校へ行ってみたり



でも、社会人2年目になってからはだんだんとできなくなっていきました


残業が増えて 土日も仕事、仕事、仕事の毎日で
次第に先生からの連絡も返さないことが増えていってしまいました


だんだんと先生からの連絡もなくなっていきました。






数ヶ月後、『LINEをつくった』と連絡がありました


LINEを交換したら早速、
お孫さんの写真、生徒のライブの写真、
そしてカフェのお店の写真がたくさん送られてきた後



今、心臓の手術をして入院している
行きたいところがたくさんある
暖かくなったら行こう。




これが、最後のメッセージでした。
その日の夜から意識がなく、数日後亡くなったそうです。


当時の担任の先生が、卒業して数年経っていたにも関わらず私に連絡してくれました。




時間は有限だって事は
今気付いても遅いんです


なんであの時、もっとはやく連絡してればとか

行きたいところにも連れてってあげれなかったとか

社会人になったから、お金も余裕が出来てこれから恩返し出来たはずなのにとか



仕事に追われて限界が来てたあの時
連絡するのがめんどうだと思ってしまったところもあったと思うんです


たくさん与えてもらったのに
なにもできなかった



音楽は楽しいよって、教えてくれた先生です
アコギやれよ!って、言ってくれた先生です
歌が好きなんだなって、気付いてくれた先生です


できる事は忘れない事です
それしかないです

そして、私もみんなに与えたいです
なんでもいいので、何か感じて貰えたら


そんな気持ちでこれからも音楽に挑みます



『Tears in Heaven』を聴くと
いろんなこと思い出します

エリック・クラプトンが息子の死を乗り越えるために書き下ろした
素敵な曲です。聴いてみてね。


Would you know my name
If I saw you in heaven?
Would it be the same
If I saw you in heaven?

I must be strong
And carry on
‘Cause I know I don’t belong
Here in heaven

【和訳】
覚えてるかな? もし会えたなら
変わらないかな? もし会えたなら
強くなりたい
まだ僕は会いに行けないから


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