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長く苦しい前奏に寄せて〜ゲーム【ぱりん、フラクタル 春】1周目感想※ネタバレがあります!!!!!

昨日は「ぱりん、フラクタル」を遊びました。ボリュームのあるゲームのようでおそらくまだ折り返しの少し手前までしか進めていないように思っていますが、今日からしばらく予定があり続きを遊ぶことができないので、現時点での感想をまとめておこうと思います。

Q. このゲームはどこからどうやって遊べる?
A.このゲームは以下のURLからDL、またはブラウザでそのまま遊ぶことができます。嬉しいね。

SNSの公式アカウントはこちら。略称は「ぱりフラ」らしい。ぱりふら、かわいい響きだ。



このゲームを遊ぶことに決めたきっかけ

SNSでたまたま流れてきた投稿で見たのがきっかけでした。

最近インディーゲームをぽちぽち遊び始めた私は「というかインディーゲームの情報をどうやって集めたらいいのか分からんな〜」とSNSを巡回するのが日課になっていました。それで目に入ったのがこれ。このサイト……このサイトにあるゲーム全部やりたい。

最初はサムネイルの絵に、次にタイトルに惹かれました。「ぱりん」ですって、ぱりん! 何かが壊れる・割れる時以外にこの擬音語が使われますか? 使われないね。そう思うと不穏さしか感じられない音なのに、字面と発音だけ見るとなんと爽やかなことでしょう。サムネを見るに主人公格の登場人物は女子中学生(または高校生)がふたりの様子。中高生が主人公のノベルゲームなら、確実に思春期の複雑で、学校という閉じた空間で試行錯誤されるコミュニケーションの妙が主題になっているはず。それが「ぱりん」ですって。きっと楽しいに違いないね。楽しいに違いないゲームを見つけたら遊ぶしかないね。

一言を発するたびに割れる音が聞こえる主人公の心を全部見せてくれる親切仕様

高校一年生の時、自分がなにを考えていたか覚えていますか? 私はまったく覚えていません。中高一貫校で人間関係そのまま持ち上がりなおかげで新しいコミュニティに飛び込むリスクがなかったし、なによりマジでなんも考えてないちゃらんぽらん高校生でしたので。だから創作内に登場する彼ら彼女らの会話にたくさんの意味が込められていることにいつだって驚きます。このゲームももちろんそう。え、みんなそんな色々考えてたの!? 考えてたのかもしれねえ。Oh……

左がプレイヤーが操作する(というか唯一内心を地の文として読むことができる)林檎ちゃん。今振り返ってみると林檎ちゃんの外見的な特徴は全部「無難」で構成されているように思います。
右はクール系文学少女の夏美ちゃん。「文学少女」という言葉に付属する様々なイメージを華麗に回収していく王道ヒロイン。

細かい内容は置いといて、彼女たちはいつだって綱渡りのコミュニケーションを取っているように私には見えました。短い一言で関係が壊れたり、逆にたった一言のおかげでギリギリ保たれたり。お互いにそもそも関係を続ける気があるのかを見えないところで探り合ったり、逆に正面から「で、あんたは今後うちらとどうしたいの?」とぶつかったり。

主人公の林檎ちゃんは家庭でも学校でも「誰かと誰かを繋ぐ役」「誰かを見守り、(一般的な、あるいは林檎ちゃんが思うような)正す役」を引き受けがちです。いたよね、同い年なのにやたら面倒見のいい子。彼女の発言ひとつひとつの裏に存在するたくさんの思考を読むと、その思慮深さに驚きます。そして、彼女がどれだけ他人のために心を砕いているのかを実感します。
このゲームのタイトルは「ぱりん、フラクタル」ですが、林檎ちゃんの心は誰かといる間、毎秒ものすごい音を立てて割れ続けています。林檎ちゃんの思うコミュニケーションはたぶんそれが正解で、おそらくそれ以外の方法を、知っていても選択できないんだろうなと思いました。

林檎ちゃんとは対照的な行動を取るのが夏美ちゃんですが、彼女のことはまあちょっと横に置いといて。私は今のところ林檎ちゃんの妹である花梨ちゃんが一番好きです。同じ家庭環境の問題を抱えながら、林檎ちゃんとはまったく異なる方法で自分を守っている花梨ちゃん。他人を第一にして内面から目を逸らし続けることで自分を守ろうとしている姉とは対照的に、自分を第一にすることで自分を守っています。

この妹が姉に寄り添う場面がありまして、それは「なにもせず、ただそばにいる」という方法によって行われました。「一人にして」と言われても「やだよ、今お姉ちゃん一人にしたら死ぬじゃん」と頑固さを見せ、自分のわがままとしてそばにいることを宣言していました。泣いたりうめいたり、苦しさを全身で表現する人間の近くにいること、近くにいる以外はなにもしないことはたぶんめちゃくちゃ難しいことで、まさかこの妹がそれをやるとは思っていなかったので、かなり驚いたことを記憶しています。

苦しさを抱えていることは他人を振り回す言い訳にならないと私は思うよ、夏美ちゃん。

正直に言うと、私は夏美ちゃんのことがめちゃくちゃ苦手です。他人への刺々しい言動、それを咎められた時に苛立つ幼稚さ、それを自覚せず「周りのみんな全員バカに見える」と見下しそれを他人に伝えてしまう愚かさ。私の目には彼女はめちゃくちゃ愚かに見えます。
物事を正しく捉えて考える力を持っているはずなのに誤った方向に固定された思考を信じ込み、周りの人間を雑に扱っていることにも気づかない(気づいているのかもしれないけれどそれを自罰の材料としてのみ扱い実際の言動を修正しようとしない)点で彼女は信じられないほど愚かで、そして、そこが魅力でもあります。たぶん。

林檎ちゃんがどうして夏美ちゃんのことをあんなにも大事な友達だって思うのかについてはこれまた正直全然わかんない。林檎ちゃんの心痛を使い捨てる夏美ちゃんの振る舞いを見るたびに早く切り捨てるべき関係だと思います。「儚い女の子はほっとけない、ってコト?」と思うんだけどたぶんもっとちゃんと繊細な理由があるはずで、私はまだそれを読み取ることができていません。だからそもそもこの夏美ちゃんってキャラクターは、1周目を終えただけの状態で評価していい人ではないのかもしれない。でもごめん、私は現状苦手だ……そして今後の展開の中でそうではなくなることを期待しています。頼んだよ夏美ちゃん、あなたの内面を信じさせてくれ。


まとめる

このゲームは途中までしか遊んでいないので私の中ではまだ、じりじりと出方を伺っているところです。何度か出てきた男子生徒や、新情報「天文部」周り、1周目では最悪な言動ばかりしていた大人たちがどうなるのかが気になっています。1周目は誰の目にも明らかなバッドエンドだったけど、それが2周目でどう変わるんだろう。変わるとしたら、どうやって変わるんだろう。失敗を見届けた林檎ちゃんは、一体どうやって他人を、それから自分を、救うんだろう。「バッドエンド2、トゥルー1」と書いてあったんでこれからもう一回バッドを迎えて最後には幸せになるもんだと思っているけどトゥルーも不幸じゃない保証はないよね。

続きがとても気になります。来週末までおあずけですが……。ソワソワしながら予定が終わるのを待ちます。

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