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私はあなたに幸せになってほしいだけだった~ゲーム【狂気より愛をこめて】アオルタ先輩ルート感想※ネタバレ注意


今日は「狂気より愛をこめて」のアオルタ先輩ルートを遊びました。二周目です。本当はこの記事と連動して見返せるように配信アーカイブを残す予定だったのですが、いかんせん今回が初めての配信でしたので、大ポカをやらかしてアーカイブが残りませんでした。ま、そういう時もあるでしょう!

長くなりそうなので目次をつけておきます。好きなところからお読みください。


このゲームを買った理由と私の趣味(感想の前提知識として)

「狂気より愛をこめて」については

・ドット絵がきれいであること
・ノベルゲームであること

の2点を理由に購入を決めました。プレスリリースか何かを初めて見たのは半年以上前だった気がします。かわいくて丁寧なドット絵による立ち姿と何を言っているのか分からないテキストボックスの文面によって生まれるマリアージュが私の好み直撃魅力爆弾でしたのですぐにSteamのページに飛んでウィッシュリストに入れた……のだと思います。
忘れたころに「あんたがウィッシュリストに入れてたあれ、リリースされたで」ってメールを受け取ったので正直よく覚えていません。忘れても教えてくれるなんて! ウィッシュリスト、たいへんよい機能ですね。

ただちょっとこのゲームを遊ぶことに抵抗もありました。
というのもこのゲームは恋愛シミュレーションゲームなので当然登場人物たちと恋愛を前提としたコミュニケーションをしなくちゃいけないんですよね。それにどうも成人向け指定が入っているとのこと。性的なコンテンツが嫌いなわけじゃないんですけどゲームにその要素を求めたことがなく、Steamのディスカバリーキューでおすすめされるゲームのうち成人向けのものはその都度スルーリストに入れる程度にゲームの性的な表現が苦手でした。いや、今も苦手です。

なので正直主人公のテンションについていけないこともままありました。そういえば恋愛シミュレーションゲームを真剣に遊んだのはこれが初めてかもしれません。今ぱっとSteamのライブラリを見てきた限りでは「ドキドキ文芸部」や「NEEDY GIRL OVERDOSE」あたりがこれまで遊んだ中で恋愛シミュレーションゲームに当てはまるのでしょうが、これらのゲームは恋愛ではない部分に主眼があるように思うのでまあ……そうだな、複数の攻略対象から一人を選んで交際を目標にするゲームは初めてです。
あと女性向け(攻略対象が男性である)である点は明確に初めて触れる要素でした、けどまあ私自身はあまり性別を気にしないというか「ハハッ股間にゾウがついてるかついてないかの違いしかないや」というか現実の恋愛において性別を重視しないので「振りかえってみればそういえば」というかんじでした。

一周目(攻略対象:田村マシュマロ)

「狂気より愛をこめて」を購入してすぐ起動し、タイトルコールの「せーのっ、ぷるぷるヒヨコ摩擦熱~! ウルサイ」で爆笑し「こんな楽しいゲームを一人でひっそり楽しむなんてもったいない、配信すればアーカイブ残るじゃん!」と思い立ち、アカウントを作りOBSなるものをインストールして……と準備をしたのですが(配信に至るまでの経緯は別記事にまとめておきます)、どうしてもマイクの入力がうまくいかず、とりあえず一周目は一人で遊びました。攻略対象に選んだのはプレスリリース時から外見にほれ込んでいた田村マシュマロ君。画像は上記公式HPより。

田村マシュマロ。ふわふわ以外の擬音語があてはまる余地のないふわふわのピンク髪、口元に手を当てるポーズによって強調される萌え袖、全体的に線の細いおからだ、くりんとしたおめめによる最強の上目遣い、植物の芽型のアホ毛、まんまるの輪郭。これらの「かわいさ」という記号が当てはまるべき先は一般的に少女であるが、田村マシュマロは、男だ。「豚がよ」というセリフから察せられるのは冷たさ、鋭さであるのに、外見を構成するのはかわいさというこのギャップ。
これを好きにならない人間がいるか? いやいない。田村マシュマロ、恐ろしい少年。

田村マシュマロによる強すぎる言葉遣いに対し、主人公は「友達にはなれなさそう」「都会的ってことなのかな? かっこいい~~~!!!」と受け流す。ので、プレイヤーである私も「そういうもの」と受け流しつつ進めました。あまりときめきとかは感じなかったな。マシュマロ君に「オカルト研究部へ行け」と言われれば唯々諾々ほかの攻略対象の誘いを断りオカルト研究部へ行き「以降オカ研にはかかわるな」と言われれば行かない。ほかの男性キャラ3名とのフラグを力強くへし折り続けてマシュマロ君のいそうな場所へ行き、マシュマロ君となるべく過ごすよう選択肢を選び続けました。

その結果クリスマスデートはすっぽかされ、それでもなんとかと突撃したバレンタインの告白の返事は罵倒のみ。「色気づくな、変態」みたいなことを言われた気がします。黒い画面とともに「ゲームオーバー」と表示され、「はーーー、恋愛シミュレーションゲームにもゲームオーバーってあるんだなあ」と思いました。

全体を振り返ってみると、「基本のワードセットが罵倒」という天邪鬼な性格の攻略対象に「まっすぐに好意をぶつける」選択をし続けたのがそもそも間違いだったのかもしれません。コミュニケーションの方法としてはんたいごっこ(発言内容を意思とは反対にする)を選択しているマシュマロ君のルールに合わせなかったってことだもんな。接触回数を増やせばいいってもんじゃあないんだな恋愛シミュレーションってやつはヨォ!

というわけで二周目はもうちょっと慎重に進めることに。

二周目(攻略対象:アオルタ先輩)※ネタバレ注意

丸眼鏡に青白い肌、三白眼のアオルタ先輩。画像の通り、発言内容は主人公にとって謎の言語だけで構成されている。音声もたぶん、なにかの逆再生になっている。よくよく聞いてみると一度誰かが発言した固有名詞は同じ発音ができるようだった。真面目にゼラチンを混ぜて冷蔵庫で冷やすとこうなるんだろうなという感じのデザイン。かわいい。ふんわりした髪型、かわいい。現実の人間はやらないであろう数々のポーズ(口やあごに人差し指を添える、片手で眼鏡の端をクイッと持ち上げる)が本当にかわいい。途中主人公が「アオルタ先輩ってお坊ちゃんて感じだもんな」と発言した際には、この外見から「いいとこの坊ちゃん」という要素を読み取れなかった自分のふがいなさを反省しました。私服から読み取れただろうがよ。アンポンタン! それはまあとにかく。
フィクションだから生まれる「真面目な」かわいさの魅力、ここにあり。

えー、あー、結論から言うとアオルタ先輩とはその、両想いになったんですけど交際には至りませんでした。あーーーーーー、なんかゲームだと分かっていてもショックなんですよね。ショックはちょっと違うな、そう、その、心臓がギュッとなる感覚。が、まだ残っています。これでよかったのだろうかという迷いといいやこれでよかったんだという結論、そこに至ってもまた「これでよかったんだろうか」に戻ってしまう、まさに逡巡。私は二周目にして初めて、恋愛シミュレーションゲームというものをとても正しく楽しめたのかもしれません。

二周目としてアオルタ先輩を選んだことに特にこれといって理由はなかったんです。まあとりあえずマシュマロ君以外ということで。ああ、なんでアオルタ先輩にしたんでしょうね。配信アーカイブが残っていれば理由を振り返ることもできたんでしょうけど残ってないんだからしょうがない。

アオルタ先輩は画像の通り何をしゃべってるのか全然わかんないんです。確か10月くらいまでわからないまま、主人公による「まあ何言ってるか全然わかんないんだけど、嬉しそうだからいっか!」等のコメントと立ち絵の表情から内容を察する程度。恋愛もくそもないんだ何を言っているかわかんないんだから。サービスシーンの数々も「でも何言ってっかわかんねえからな~」とこれといって感情も湧かず眺めていました。

あれはいつだっただろう。主人公のクラスメイトである佐伯にアオルタ先輩が何かを注意する場面があるんです。佐伯も佐伯でタイトルコールを「ぷるぷるヒヨコ摩擦熱~!」と発音している張本人ですから何を言っているかわからない。逆再生と意味不明単語羅列人間の会話が理解できるわけがない。ここでふと、これまでの会話ログを表示したんです。たしか佐伯の発言を見直したかったんですよね。
そしたら、アオルタ先輩が、喋ってる内容があの、書いてあって。日本語で。なぜか全部ひらがななんですけど、それでもとにかく日本語なんですよ。「君、制服は正しく着なさい」「ピアスも開けてそんな明るい髪色で(でも先輩、あれはイヤーカフだと思います)」」って意味の発言をしている。これまで一方的にこちらが察して合ってるか間違ってるかもわからないコミュニケーションとも言えないやり取りを続けていたのが、一瞬で「意味を持ったコミュニケーション」に反転したんです。会話ログを見ればなんて言っているか理解できるなんて仕掛け、たぶんもっと早くに気づく人の方が多いのかもしれないんですけど、私にとってはこのタイミングで気づくのが早すぎも遅すぎもない、最高のタイミングでした。クリスマスデートイベントも無事すっぽかされることなく待ち合わせに成功し、アオルタ先輩が選んでくれた高級おフランスrestaurantでごはん食べて。バレンタイン前に好みのチョコの味を聞いて、とにかく素朴で素材の味を生かすシンプルなチョコを用意して。

あああああああああああああなんで、なんで両想いだったんだろう。あそこで振られていた方がまだダメージを負わずに済んだ。アオルタ先輩もそれまでずっと謎言語だったのに「好きです」は日本語で、理解できる発音で言うんだ。言うんだよ! 言うんだ……言ってくれたんだよ本当だよ……でもそのあと、「ダメ」って。泣きながら「ダメ」って言って、図書館から出て行っちゃって。出て行っちゃった。両想いだったのに。なんで、なんで……。

マシュマロ君の時とは違ってここでゲームオーバーにはならず、話が続きました。配信してたんで、それまでは主人公の発言を読み上げてたんですけど、正直「ダメ」以降読めませんでした。しかし話が続くので読むしかない。しょんぼりする主人公と私の前に女の子が現れて、その発音はアオルタ先輩の発音にちょっと似てて、

あー、この人、アオルタ先輩と同じところから留学に来てるのかな。
「アオルタがどうしてあなたを振ったのか、事情を説明するから中央ホールに行きましょう」
あーーーーーー、
「私はアオルタと同じ国から、この国を侵略するためにこの学校へやってきました」
あーーーーーー、、、あー、アオルタ先輩の許嫁ってかんじかな?
「私はアオルタの許嫁です。私がアオルタのパートナーです。あなたはアオルタのパートナーではありません」
あーーーーーー当たったァ、ハハ、なんも嬉しくねえや。
「アオルタは劣等生なのでこの国の言葉も覚えられない」
だから発音やばかったし、ログもひらがなだったのかぁ。うまいなあ。うまいや、仕組みがうまいなあ。ハハ……。

事情を知ったうえでもう一度アオルタ先輩との関係をどうするか決める選択肢が出るんですけど、私は「告白を取り消す」方を選びました。生まれ故郷では劣等生で家族から失望されているアオルタ先輩。許嫁なら、もとの国に戻って、家族とも縁を切った場所で、居場所を確保できるんだって。もちろん主人公はそんなことできなくて、あ~~~~~~私はアオルタ先輩に、一緒に不幸になるよりも知らない場所で幸せになってほしくて、まあ「他人の幸せをお前が決めるな」って言われたらそれはそうなんですけどそれをわかったうえで、でもやっぱ主人公と一緒にいない方がアオルタ先輩は(私の思う)幸せになれる可能性が段違いに高くて、そしたら告白を取り消す方を選択するのが正しかったんです、私の中で。だからそうして、そしたら主人公は「だったらあのとき好きなんて言ってくれない方がよかった! バカ!」って飛び出しちゃって、お前それは違うよそのあとに「ダメ」と言わなくちゃいけないことをわかった上であの時アオルタ先輩は発音も難しい私に分かる言語で「すき」って言ってくれたんだぞお前お前なあ……と思ったけど、二周目感想の冒頭で主人公と同じことを書いていますね。うわーん!

エンディング……エンディング曲よかった。です。どうも結末に合わせて2曲あるようで、今回聞いたのはエンディングA「片想い」という曲でした。勢いよく飛び出したはいいものの帰り道学校から離れるその一歩ごとに足が重く重くなっていき、とうとう歩けなくなってしまって、頭に浮かぶのは「これでよかったんだろうか、これでよかったんだ、それでもこれでよかったんだろうか」のループ再生で、うまく焦点も合わなくて見慣れた道なのに何を見ているのかよくわからなくて、帰らなくちゃと思ってもやっぱり足が動かなくて……となっているであろう主人公の、猫背で小さく丸まった肩にそっとやさしさの毛布を掛けてくれるような、大変よい曲でした。YouTubeに動画が上がっているので、誰でも聞けます。ちなみにこの記事はこの曲をエンドレス再生しながら書いています。

まだこの曲のサムネになってる「荒川先生」のルートは全くやってないんですよね。でもこの曲のサムネが先生ってことは、そうか、先生ともこんな感じの結末にたどり着くってことですか……? そっか、そっか……。


まとめ

恋愛シミュレーションゲームの楽しさが理解できた気がします。アオルタ先輩……いや理解……したくなかったなこの形で……。現実で「両思いだけどどうしようもない事情があってどうしようもない、そんな時に感じる心臓の痛さ」はたぶんそうそう味わえないですもんねいやほかの人がどうかはわからんけど少なくとも私はそう。アオルタ先輩のルートでエンディングに至るまでの時間は4時間でした。4時間かあ。あぁ……どうするのが正解だったんだろうなあ。

と、少し落ち込んでいるこの状態を味わうことができているので、このゲームはとてもいいゲームだったと思います。どうもエンディングは8種類あるそうなので、まだまだ先は長い。マシュマロ君の各種意味深な発言も気になるしどうもゲームの舞台になっている世界は主人公の精神的な逃避先っぽいことも気になるしまたはじめからこのゲームをやり直したいんですけど、その前に一晩ほど、アオルタ先輩の「ダメ」から立ち直る時間をおこうと思います。いいゲームでした。

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