サタデー・ナイト・クエスチョン

ワオワオ、RepliCaです。

約2年間に渡りクラブ関係者を悩ませ続けたコロナの影響でほぼ丸々1年間活動を休止しておりまして、その間元のアカウントが職場バレしたこともあり、今年の4月に新名義で転生しました。もしかしたら旧アカウントの名義を知ってる方もいるかもしれませんね。

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今回DJのテクニックや自分なりの選曲法など、ある意味DJ論にも掛かる内容のため名の知れぬ誰かに言われても誰だお前はみたいな感じになってしまうかと思いますので、まずはDJの経歴も含めて自己紹介させてください。

高校時代までを北海道で過ごし、大分県の大学に進学したのを機にバンド、やるぜ!と意気込んでいたものの周囲との音楽性、モチベーションの違い(メタルがやりたかった)に頓挫し、ある日ふらっと遊びに行ったアニソンバンドのイベントの転換でプレイしていたアニソンDJを見て活動を始めました。年数的には今年で10年目になります。

アニソン原曲CD魂のフルがけDJとしてスタートしましたが、DJの勉強のためにジャンルの節操なくクラブに通うようになり、アニソン原曲のほかヒップホップ、ハウス系のイベントお呼ばれしたり、大学最後の2年間はEDMイベントのレジデントを務めていたりもしました。

アニソンDJとしての活動はプロ歌手、声優を招いたイベント、市町村主催のものや某女児向けアニメのDJツアーの地方公演など、アニクラからオフィシャルな舞台、台湾での海外出演等様々な舞台を経験させて頂きました。

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アニソン以外でも80kidzの大分公演やmaltine labelの札幌ツアー、ほか来年2月にファイナルを迎えるMusic UnityのMU2020など幅広く出演させて頂いております。

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現在はmoleのアニソンRemixイベント「Ximer NosinA」にレジデントとして所属するほか、こちらもmoleにて隔月で開催しております原曲アニソンイベント「Shooting Star!!」にて主催の片割れを担当しています。こちら現在次回出演&新レギュラー選考公募企画最終回の審査受付中ですので応募お待ちしております...!

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DJセッティング周りはCD,USB → Vertual DJ → Serato(DDJ-SX) → RANE Scratch Live SL4(DVS) → Traktor(S4) → Rekordbox(LAN) → Rekordbox DJとCD,アナログ,DVS,コントローラー,LAN,HIDと触って来ました。

さて、現在札幌では、というか各地でそういう流れみたいですが自分が活動休止していた間に配信等のイベント出身の若手DJがすごく増えました。

そういった子たちだったり、数年前に北海道アニクラ感謝祭というイベントで審査員をさせて頂いた後からちょいちょい頂いていた質問について今回は自分なりの解釈と根拠を持って文章で答えていきたいと思います。

とはいえあくまでもこれは大勢いるアニソンDJのうちの一人の観点にしか過ぎないことを念頭に置いた上で、数ある意見の1つとして読んでいただけると幸いです。なお、記事を引用してお気持ち表明されてもレスバに応じかねますので悪しからず...。

※こちらアニソン原曲でのプレイについて書いたものです

それでは本日のお品書きです

1.音圧差のケア方法

2.五度圏表の沼からの脱却

3.クイックルーチンの発想方法

次の段落から早速見ていきましょう

1.音圧差のケア方法

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「音圧差って音量差のことですか?」※画像はあまり関係ありません

と、いうのは間違って...いないわけでもない。間違えているというかそれだけに収まらない、というのが正しいのかもしれないですね。

音圧差とはつまり感覚的に言えば「なんか前の曲より音小さくない?」という現象に加えて、さらには「前の曲よりスカスカな感じがするな」と感じるもののことだと自分は捉えています。

感覚じゃ納得出来ないわね...。というあなたのために「アナライザー」というもので見た波形を引用してみます。

(...アナライザーって何ですの?)

楽曲の音域や定位を分析し、グラフで表してくれるソフト(プラグイン)。耳では捉えにくいサウンドを視覚的に把握できる。このアナライザーの波形を参考に音域を調整して曲のMixやマスタリングが行われている。

(Ex1) 

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(Ex2) 

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...おわかりいただけただろうか。(厳密には某EQソフトのアナライザー表示ですが突っ込まないでください)

Ex1の曲は低音域よりも高音域が右肩上がりになっているので抜けてくる音になっているのですがEx2の方は低音域よりも高音域が低く、平坦なため篭った感じがする出音になります。なのでEx1の後にEQが12時のままEx2を流すと「あれ?なんか出音が寂しくない?」といった現象が起こります。

最近のアニソンのが出音がクリアな印象を受けるので、自分も逐一アナライザーで確認したりしているわけではありませんが、2010年代前半の曲とここ数年の曲をmixするときは自分もEQの使い方、音の差し込み方には注意を払っています。

この差を解決するための手段として手元のEQを弄ってイコライジングをするわけですが、皆さん自分が触っているイコライザーがどういった作用をするか把握していますか?

1-1 「EQ」の落とし穴

(...EQ,イコライザーって何ですの?)

高音、中音、低音に分けて音質を調節する部分です。さらに細分化されているミキサーもあります。

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恥ずかしながら自分も去年気付いたのですが「なんかEQって昔よりキレ良くなってない?」と思いRekordbox DJの設定を見てびっくり。

EQ設定、「イコライザー」じゃなくて「アイソレーター」だったんです...。

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(...アイソレーターって何ですの?)

視覚化した方がわかりやすいです

①イコライザーで弄れる帯域

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②アイソレーターで弄れる帯域

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アイソレーターの方が大きく作用するのが一目瞭然かと思います。これの何がまずいかというとEQを弄ってる感覚で帯域を全切りしてしまうと削れすぎてしまうんですね。ちなみにアイソレーターでEQ全部切ると完全に無音になります。(試してみてね)

帯域を完全に切れるのは悪いことではないので、どちらのタイプを使うかは完全に好みだと思いますが、自分が触っているツマミがどの程度出音に作用するのかということはプレイする上で頭にあっても損はないのではないでしょうか。

あとこれは音圧の話でありませんが皆さんミキサーにHID接続した際にソフト側のサンプルレートは確認していますか?

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恐らく使っている人も多いであろう家庭用を想定したDDJ-400や1000での最高は48000ですが、DJM900以降のミキサーは96000まで対応しています。(画像はサボったので内蔵出力になっております)

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サンプルレートは「1秒間に実行する標本化処理の回数」を表す値です。つまりこの数が多ければ多いほど音が滑らかになるため音質が良くなります

たまに確認してあげないとミキサー接続した際48000になっている時があります。ちなみに途中で気づいてもこれを弄ると一瞬音が止まるのでプレイが始まる前にチェックしておかないと事故ります。

意識して聴いてみると48000だとBPM±2〜3くらいから少し音が歪んでくるかなという印象です。上に当てはめて考えると1秒あたりの処理数が倍違うわけですから納得ですよね。まあ単純に音が良くなるので出力サンプルレートは可能な限り最高に設定してあげましょう!

これまで視覚的に楽曲のマスタリングの違いによる音圧差とEQについて見てきましたが、逐一先のようなこんな理屈っぽいことなんてやってられないので、やはり一番早い解決方法はやはり「聴いて備えること」だと思います。

1-2 モニター環境を整えて事前に楽曲の音量・音圧差を把握しよう

散々音量差が、EQが、と宣ってきた僕が今使っているヘッドホンこれです。

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「片耳かよ!」と侮るなかれ。取り回しも楽だしちゃんとモニターも出来るので結構優秀です。ただそれでも2,30秒で曲を入れ替えている時はモニターを取る時間がないことも多々あります。

ではどのように音圧差をケアしているのか

それはつまり事前にその楽曲がどういう鳴り方をするのか把握しているということです。

(自宅の練習スペースです)

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ちゃんとスピーカーで鳴らして外音で聴いておけば「この繋ぎ次の曲のが大きい(小さい)んだな」というのが練習や選曲の段階で事前に把握出来ます。

例えばこの曲

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この曲の赤い部分はベースと三味線とボーカルのみのパートで、スピーカーで聴くと滅茶苦茶鳴りますがPCの内臓スピーカーやあまり良くないスピーカーで聴いても実際にクラブで鳴らした時どういう出音になるかイメージがつきづらいです。トラップっぽいアニソンも増えたのでそのあたりはPCのスピーカーだけだと中々サブベースを感じるのは難しいですね。

最近は他にもクラブミュージックを基調としたアニソンが多いですし、例を挙げると電音部なんかは割とマスタリングも容赦せずにトラックメイカー元来の音に近い一方で、D4DJはアニソン感が抜けないような曲も多いので安易に混ぜると出音が事故ります。(ごめんなさいどっちも好きです)

以前どこかのインタビューでリリリリの曲はみんなまだ初心者だからわざとシンプルにちょっと垢抜けない感じで作ってるみたいな記事見てへぇ〜となりました。尊いですね

出先で使うイヤホン、ヘッドホンについても同じ考えです。オーディオ的には良くも悪くも味付けが派手で賛否両論のbeatsですが、個人的にはリスニングする時に下が派手になってくれるおかげでベースが聴き取りやすかったり、選曲時には音が派手なおかげで箱で鳴らした時のイメージがつきやすいので愛用しています。

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本当はRadiusというメーカーのイヤホンが一番好みのサウンドなのですが購入1年で2回修理行き。後継機も購入しましたが半年で故障、と安定しないので今はbeats sounds butsを使っています。(あまり満足していないけれど)

脱線しましたが要点をまとめると

現場でのモニターは大前提として、曲を集めたら出音は事前にイメージをつけておく。そのためにスピーカーは最低1万円以上はするものを用意したい。そして出音をケアするEQの特性を理解し、この曲はこの辺を持ち上げる(削る)というのを把握しておく。

ということである程度解決できるのではないでしょうか!

あと現在はWeb上のマスタリングサービスに放流してマスタリングし直してもらうという手段もあるっちゃあります。

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自分もインストから同じボーカル入りの曲に繋ごうと思った時にインストの音源のキックが後者よりも小さく、全体的にも鳴りが控えめだったのでこれに突っ込んで諸々調整していたら劇的に改善したことがあります。

一方でボーカル入りの音源でトライしてみるとモコモコして出てきたり、ボーカルが一部潰れていたりと曲によってハマるものとそうでないものがあります。インストとボーカルを分離してマスタリングしているわけではないのでこれはもうどうしようもないですね。

2.五度圏表で迷子or没個性

そもそも五度圏表ってナンスか?という方に簡単に説明させて頂きますとこちらこの音とその音の相性が良いよというのを示した表でございます。(近親調、裏コードとか色んな見方があるからさらに興味あったらググってね)

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これに沿って曲を選んでいくのをDJ的には「ハーモニックミキシング」と言います。とりあえず適当にハーモニックに沿って曲を繋ぐと簡単にきれいなmixになったりするので知らなかった人はとりあえず一回は試しても損はないと思います。

あなたが「これ相性いい!」と思った繋ぎももしかしたらハーモニックになってるかもしれません。こういうのナチュラルに出来てる人、音感というかセンスあると思うので頑張ってください。(本当に憎らしい)

CDJ2000nexus以降(2000にもついてたっけ)諸々の機材にキーが合う曲をソートしてくれる機能が付いてるので即興でやる際にはとても便利です。

けれども使いやすい曲はみんな使うし自分が思い付いた繋ぎは誰かも大抵思い付いていると考えた方が良いです。(これは俺の繋ぎ!とか言っちゃうの本当にヤバいわよ)そして五度圏に縛られすぎると更に被ります。ここが1つDJとしての壁だと個人的には考えています。

ハーモニックで固めたmixは一見きれいな繋ぎ...ですがストーリー性や歌詞解釈、世界観など技術以外の力量も問われるアニソン原曲DJ的に上手いか?と聞かれたら、...アハハ。

きれいな繋ぎが出来ても誰でも思いつくような選曲しか出来ないと他のDJと差がつかないんですよね。

しかしながらきれいなmixをするための手段として五度圏表は絶対正義。それを裏切るために自分は

1.フィル、キックパート

2.カットインを舐めるな

3.己の浅さを噛み締めてdigに立ち返る

というのを意識しています。

2-1.フィル、キックパート

チャンス!

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チャンス!!

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チャンス!!!

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とっくに活用してる方も多いと思いますが改めて。

ハーモニックになっていない曲同士のメロディを無理に被せると音楽的には不協和音なので自分は無理せずにこの手法をよく使います。

ちょっと曲調変えたいなという時にメロディがないキックパートなんかがあったりすると地獄に仏です。そこからキーが違う曲のメロを噛ませてまた違う展開のハーモニックな繋ぎへ移行するというパターンもアリですね。

これの弱点としては使いすぎるとぶつ切りになってプレイ全体のグルーヴ感を失ってしまうので注意が必要です。やはり基本はmixだと思うのでそこから逃げると成長できないのかなとも思います。

2.カットインを舐めるな

「カットインを舐めるな」→ △

補足すると

「カットインの最初の一音を舐めるな」

ここでも音圧、音量差です。

タイミングも重要ですが最初の一音が前の曲より小さいとカットインはすごくカッコ悪いです。

大きくても冷えるのでカットインをきれいに聴かせるためには音圧、音量差をしっかりとケアしてあげることが重要です。頭切れも聴いててかっこよくないのでやはりカットインはとても繊細なテクニックです。

カットインに限らずアニソンDJ(主語が大きくてごめんなさい)は特にフェーダーの使い方が優しすぎる人が多いように見受けられます。

機材は女性を扱うように、つまりはCUEボタンを全力で殴るみたいな話ではありませんが、フェーダーの切り替えにモタついて後ろの曲が二番入ってたりキーの合ってない曲が後ろで延々と鳴っていて不協和音になっていたりというのが多々見受けられるのでそのあたりの処理も初心者の壁の1つかなと思います。

3.己の浅さを噛み締めてdigに立ち返る

今とてもDJが楽しいんですよ。

昨年1年間アニソンDJをしていなかった間に女性声優楽曲を掘り始めたのもそうなのですが、自分のライブラリを分析する中で「この年代が弱いな」とか「この曲持ってなかったのか」という気付きがあり、そこを補填すべくdigと曲集めとアニメ視聴に勤しんだ結果、休止前に「ここまでは考えたけどこの先の展開どうしよう...」と詰まっていた所に複数のパターンが見えてくるなどやはりdigは基本だなと改めて痛感した次第です。

(いつの時代にも存在する「俺は何万曲(僕の倍)持ってるぜ!」とマウントを取ってくる人たちに限っていつも他とあまり差異のない無難なプレイをする率が高いのは何故なのでしょう...。)

digとは曲を集めることは勿論、それを聴き込んで自分の引き出しを増やすまでがゴールではないでしょうか。

今は友人たちにおすすめされながらVtuber楽曲を掘っています。天地神明に誓って絶対にコンテンツ自体には堕ちませんが。

ところでみなさんもう買いました?

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https://booth.pm/ja/items/3472715


3.クイック、ルーチンの発想方法

クイックというのは曲を2,30秒、もしくはキックパートのみを拝借したりしながら入れ替えて5分で10曲とか使ったりする「早繋ぎ」と呼ばれたりするもの。ルーチンというのは曲のパートを用いて新たな展開やリズムを生み出すものです。

3年くらい前からプレイに取り入れていたのですが、嬉しいことに「どうやってそんなの思いつくんだ?」とか「やってみたいけど精度が上がらない」というような相談を受けましたので恐れながら自分のやり方を紹介させて頂きます。

とはいえつまるところ滅茶苦茶シンプルです

知識をインプットする(dig,他人のプレイを見る,様々なジャンルの手法を学ぶ)

・アイデアが降りてくるまで練習する

やはり経験値の蓄積と普段からの曲の聴き方から生まれるもの、とは言っても漠然としすぎているので自分がよく参考にしている(いた)動画やDJを例に挙げ、最後に自分がそれらを取り入れながらどういった考えを持って選曲し、ルーチンを思いついたのかmixを載せて解説したいと思います。

【自分がよく参考にしていた(いる)動画】

・カミヤマクルー

https://twitter.com/kamiyamacrew/status/1071782696005726208?s=21

DMC日本チャンピオン14さんとくぬぎさんのユニット。動画が回ってくる度にチェックしてますが、テクニックもさることながらやはりアイデアが異次元ですね。原曲だけのユニットではありませんがアニソンでこれだけ遊べるんだという可能性を見せてくれるというか勝手に眺めて勝手に刺激を受けています。

アニソンネタでこういう系統のDJをする人といえば長崎のtom the s.c.さんの動画もよくチェックしています。

https://www.youtube.com/watch?v=19tN-T3V4dI

・Laidback Luke

大体のDJってちょっとトリッキーなことやってても何となくこうやってるんだなーというのがわかるのですが今も昔もLaidback Lukeは訳がわかりません。トラックメイカーとしてかなり有名な人ですが、DJでも4デッキをフルに使う変態プレイヤーです。音を重ねていく手法としてテクノがルーツにあるらしいのは納得なのですが曲を入れ替えるスピードと展開の速さがその比じゃありません。自分が曲の一部パートだけをクイックの材料として使うようになったのは彼のプレイからヒントを得てのものです。ある意味一番影響を受けたかもしれません。

・DMC本編とその出演者たちの動画

https://m.youtube.com/watch?v=VOUxCNFhRfs

https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=UMv0sU_Rxn0

ジャンルは違えどやっぱりテクニカルなプレイはワクワクしますね。同じBPM帯が続く時に流れが単調にならないようキックがハーフテンポの曲を入れたり、クイックの合間に変拍子な曲を入れて強弱をつけたりするよう意識しているのですがそれもビートジャグリングの手法である「リズムを崩す」というテクニックから発想を得たものです。

大変恐縮ですがそんな錚々たる面々のプレイに影響を受けてクイックやループを用いてアニソン原曲をトリッキーに使ってみたmixの例がこちらになります。

https://www.dropbox.com/s/yan4xzlm7s86ks0/01%20REC-2021-12-23.wav?dl=0

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↑トラックリストはこちら。以下何を考えてこれらをセレクトしたのかを解説します。

1.じょいふる メロディを聴かせた後にドラムソロパートをループして「何が始まるんです?」という期待感を持たせる &「あぁ、この曲か」感を裏切る。BPMを158→156に落とす。

2.Re:Re:  幅広く知られた大アンセムでライト層も拾う。最初の一音以降は前の曲のパートを8小節のループからドラムパート単体の4小節パートに飛ばしてギターを聴かせる。32小節後はEQを入れ替えてこの曲が前面に出るようにする。前の曲のキックパターンの似通っていてスネアもこの曲と同じタイミングで入るので違和感がない。BPMを156→154に落とす。

3.エイリアンエイリアン 前の曲からのハーモニックなので一気に曲を入れ替える。2番終わりのパートは一部ループすることで16小節に持ち直す&フェードで終わるので繋ぎチャンス。

4.ピコピコIIKO!インベーダー 変拍子で先の動画にもあった「リズムを崩す」ことを意識してノリを作る。宇宙人→宇宙人繋ぎでアニソンとしてのストーリー性を持たせる。変拍子の間の音数も多いので次の曲に向けてBPMを155→152まで落とす。

5.なだめスカしNegotiation  前の曲のスネアに合わせてカットイン。これについては特に考えず前後の相性で選んでしまった。曲の冒頭でフィルがふわっとしている間にBPMを152→150まで落とす。

6.アンチテーゼ お前が大好き夏川椎菜。前の曲からのカットインが格好良く決まる。間奏を途中一番終わりに飛ばして変拍子をもう一回入れる。そこから前奏に再度飛ばして原曲を聴きこんでる勢を良い意味で裏切る。最終的に3分間でBPMは158→148まで落ちるのでこのあと展開も変えられる。

(良い意味で)「裏切る」という言葉が二回出てきましたがこれはルーチンに限らず自分がアニソン原曲DJをする上で1枠を通じて心がけていることでもあります。

クイックはフロアの注目を集めて盛り上げるために有効な手段ではありますが、どうしても避けて通れないのが「なんでそれそこで切るの!?」という声です。

そういったことに配慮するためになるべくアニクラに通ったり、行けなかったイベントのセットリスト、会場の反応をみて「この曲はみんな聴きたいだろうからネタには使えないな」とか「これはもう流れ切ったな」などトレンドは常に押さえられるよう心がけています。ほか地元でやる上ではやっぱり常連のお客さんがいるので「この曲はこの人めっちゃ好きだしクイックはやめとこう...」なども把握しています。

(僕ならこれクイックされたらキレるので気持ちはわかります)

そんなわけでクイックは一気にフロアを加速させることも出来れば4枚スクショお気持ち表明の原因にもなる諸刃の剣です。自分のやっていることについて注目してもらえるのは嬉しいですが、出演するイベントの趣旨を理解した上でオタクの感情に配慮した上でかましましょう!

終わりに

楽しんでいただけたかな?

最後に自分がなぜこの記事を書こうと思ったかについてお話しさせて頂いて結びにしたいと思います。

自分が札幌のアニソンイベントに初めて遊びに行ったのが約10年前、その頃はダンパが主流だったりアニソンイベントという程ではありますがテクノなんかが流れていて今のような雰囲気の「アニクラ」はなく、2013年に初開催された「きゃらそに」をきっかけに自分の同年代がDJを始めたりイベントを立ち上げたりして徐々に今の形態が出来上がってきたものと記憶しております。(みんな僕を残して他界しましたが)

九州でDJを始めて他地域のイベントにも数多く出演させていただく中で札幌が少し特殊だなと思うのが「ほとんどがアニクラからDJを始めた人なので他のジャンルのバックグラウンドを持ったDJがほぼいない」という点です。

福岡、東京、大阪などいずれの地域にも何故かヒップホップにルーツを持つDJが多く、北海道にもいていいのかなとは思うのですが自分が見てきた約10年間そういった人は現れませんでした。

先ほどのクイックの話でも少し触れましたが、DJのスキルアップのために他のジャンルを知ることはアニソンDJにとってもプラスになることだと思います。ましてやアニソンは様々な形態の曲が混在する究極のオールジャンルなのでそれぞれの手法を知ることはmixのアイディアに直結します。

札幌のアニクラはまだ歴史が浅く、ライフイベントを機に身を引く人も多いため、30代後半になってバリバリ現役のDJも少ないことからシーン全体の経験値が不足しています。これによって何が起きるかというとテクニックやクラブの遊び方の規範となる人間がいなくなるのでシーンが成熟してこないというものです。

そして自分も少なくともあと2年くらいは大丈夫そうですが、家業というか家庭の事情でそのあとどれだけ活動できるかは不透明な状態です。

そうなる前に地元のシーンに何か残しておきたい。嬉しいことに自分のスタイルを参考にしていると言ってくれる子たちにとって、少なくとも現在の札幌では自分以外にない手札を見せることで何か今後の参考になればと思い、今回こういった内容の記事を投稿させて頂きました。

この記事を目にする方の中には自分よりももっと大きな舞台で活躍されていたり、レベルの高いプレイができる方もいるかと思いますが、そういった意図で筆を取ったことをご理解の上、ご容赦いただけますと幸いです。

なんか固くなってしまいましたがそんな感じです。

というか結構手の内を見せてしまった感があるので軒を貸して母屋を取られないよう(階のスターエレメンツが好き)自分も成長していくためにこれからもまだまだ練習します!

今いる場所が大好きなので自分から去るまで譲る気はありません。

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それでは皆さんメリークリスマス!お相手がいる方はお幸せに!!

僕は練習しますけどね。

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