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決断科学と虚離

今、直面してつまずいてしまっていると思われる事柄を世界一分かりやすい「医療政策」の教科書、第4章決断科学(費用効果分析)を参照していきたいと思います。
上記の書籍は日本での中学校卒業程度の数学の理解力があれば十分に分かる内容で記述されている事が前提になっています。どの職種にも応用として当てはまる事だと思われますのでザックリとではありますが、少し概要を
お伝えできればと思います。

【医療従事者向け仕様】

まず一般の方に知っておいて頂かない事として、医療従事者の方は、保険証から患者様の住所や連絡先が分かっているにも関わらず、病院の敷地を一旦、出てしまったら、治療費の未払いがある場合は、医療事務のスタッフ様からの何かしらの通達はあるかもしれませんが、まだ懸念材料が残る継続的な治療が必要な患者様でどんなに心配をしていたとしても、何らかの理由で来院を辞めてしまった患者様に対して自ら患者様が来院しない限り、医療従事者側から医療行為にあたる追跡連絡を入れてはいけないと言う厳粛な決まりがあります。

まず結論として、
決断科学には大きく分けて費用効果分析と倫理観と優先順位と言う3つの課題があります。


1
)医療政策と決断科学(費用効果分析)
まずどんなに、より良い新薬が開発されたとしても、適切な使用と治療がなされなければ意味がなされない為、費用効果=CEA(cost-effectiveness analysisの略)は効果があるか、副作用がないかと言う観点に加えて費用の視点を加味した事で価値(value)を評価する手法と医療技術評価=
HTA (health technology assessment)とが
課題解決策の一つになるのではないかとされています。

1-1)費用効果分析とは
費用に見合った効果が得られたかを評価する方法でCEAを算出しても生活の質(Quality of life)と質調整生存年(Quality adjusted life year以下QALY)とによって変わって来てしまう事を考慮する事です。
完全な健康状態の人を1として、何かしらの基準値から持病や障害をもった人を1と0の間に置いたとしても、安定した一定の状態を保っている場合と不安定な場合とでは状況が異なってきます。
この時に起こるのが、費用分析効果と費用便益分析がVSになってしまう事です。

1-2)費用効果分析の分類
①費用最小化分析(cost-minizatimn analysis)
  2つの医療技術の効果が同じであると分かっ
 いる状態で費用がより少なく方を選ぶ方法
②費用効果分析(CEA)
   生存年数やQALYなど効果の指標を設定し
 それとそれに要する費用との比を評価する 
 方法
③費用効用分析(cost utility analysis)
 CEAの中でも特に効果の指標としてQALY
 を用いる方法
④費用便益分析(cost benefit analysis)
 効果を金銭換算した便益を算出し費用と便益
 との比較をする方法
CEAは狭義としは②の事をさしますが、場合によっては①〜③を広義のCEAとする事もあります。

2)費用効果分析の基本的考え方
CEAは様態や病状によって算出方法が複雑な方法ゆえに、従来の薬と新薬(version upされた)を用いて比較した時に、新薬の方が費用対効果が優れている事が明らかになったという論文が出た時に、鵜呑みしてしまっていないか?正しく方法論で解析が行われたのかなどの疑念や批判的吟味をしているか?と言う考え方をもつ事が必要になります。

2-1)増分費用効果比(ICER)
2つ以上あるオプションに対して、どちらがより費用対効果に優れているのか、それによって追加で支払わなくてはならない費用によって得られる効果が見合っているかを検証する方法です。
算出方法としては
A既存技術 B新技術
①Cost Effectiveness Ratio(CER)
 費用効果比=費用(B)/効果(B)
②Incremental Cost Effectiveness Ratio
 (ICER)
 増分費用効果比=
  費用(B)ー費用(A)/効果(B)ー効果(A)

例えば、今まで既存のA薬で治療していた患者様に、新薬Bが開発されて、新薬Bで治療を始めると多少の改善となる変化は見られるものの決めてとなる改善となる変化が見られない時にICERを用いる事で比較検討する事が出来ます。
そこにA薬と新薬Bを使った場合のそれぞれのQOLの期待値を算出し、費用の観点も含めて
移行するかしないかの判断基準にしていきます。

かなりザックリとではありますが、ここまでが費用効果分析としての大枠になるかと思います。
そして、費用対効果分析をするにあたっての注意点として、方法論的な注意点と倫理的注意の2つがあります。

【方法論的注意点】としては
①価格を下げていけば何処かでいずれ「費用
 対効果に優れる」と言う結果になる。
②導き出される結論(推定値)が不安定である。
 合併状を伴う病気の場合は特に
③複雑なモデルはブラックボックス化してし
 してしまう。
大多数がかかる軽症の病気と、少人数が
 かかる重大な病気のどちらを優先するべき
 なのかを考慮されない。

⑤費用効果分析では財政への影響は考慮され
 ない。
⑥費用対効果分析を行うにもコストがかかる
 
各項目の詳細は、ここでは省略させて頂きますが、④の大多数がかかる軽症の病気と、少人数がかかる重大な病気のどちらを優先するべきなのかを考慮されない。と言う部分に関しては医療従事者側と受診者様側として真っ先に争点となる事と思われますので、著書の文面より引用させて頂くと、虫垂炎は治療を行わないと必ず死んでしまうものの、適切な治療を行えは100%助かる疾患なのに、命にかかわるような事のない虫歯による歯痛の方が優先治療事項とされてしまう事が起きてしまうと言うという点に置いては最新の注意が必要かと思います。

【倫理的注意点】
①CEAは功利主義をベースにしており、公平
 性は問わない。
②障がい者の価値を健常者より低く計算して
 しまう。
③子供の1年と高齢者の1年にも同じ価値を
 与える。
④障がい者の価値観と健常者の価値観の
 違い。
各項目の詳細は、ここでは省略させて頂きますが身近な事として顕著に表てしまうのは、③と④かと思われます。
④の場合は先天性のものか、後天性のものかによっても違いがあると思われますますが、
障がいを患ってしまった直後には一度QOLが大きく下がったとしても、色々な事に順応して行く事でQOLが再びあがるからであると考えてられています。
例えば全盲になってしまったとしても、聴力や触角が研ぎ澄まされて、誰よりも空間把握能力や聴力による人の機微を感じとる能力が長けて来る事により不便ではないと感じる様になってくるからです。
人の持つ適応力は凄いですね。

ここまでが、かなりザックリとではありますが決断科学(費用対効果分析)の大枠となります

多分、医療従事者の方ならば、詳細までは難しくとも、大枠としては掴みはOKと言った感じになるのではないでしょうか。

しかしながら…
いくら中学卒業程度の数学の知識があれば理解できる内容だとしても、すでに理解に追いつかない方がいらっしゃるのもたしかで、
と言うよりは、医療従事者ならイメージングが追いつくのですが、一般の方には、全くイメージングが追いついていかないと表現した方がしっくり来るかもしれません。

なので、一般の方向けに説明を
改めてさせて頂くと…

【一般者向け】
今では通年を通して、スーパーマーケットに行けば、どの野菜でも用意に購入する事が出来ますが、野菜は植物の為、基本的には旬と言われる季節がある為、収穫できる時期と出来ない時期があるのが通常です。
また、その年によって豊作の年もあれば、台風や寒暖の影響などによって不作の年もあります。
食材を直接、自分で買いに行っている人ならば身近な事として感じられるかと思いますが、収穫量や旬と言われる季節によって、
野菜の値段に差が生まれます。
同じ野菜だったとしても、いわゆる最高値の時と最安値の時が出て来てしまいます。
今日はサラダが食べたいなと思って買い物に出かけたましたが、レタスが1日当たりかけられる予算より高値だっので、今日はレタスを買う事ができませんでした。でも何か野菜が食べたいなぁと思って売り場を見て回ったら水菜が安かったので今日のサラダは水菜のサラダにしよう予定を変更しました。

もしこれが、飲食店様だとしたら…
FL対比と言うものがありますが、野菜や使用する食材には旬の時期やその年の収穫量、もしくは貿易によって仕入れ価格に変動が出て来てしまいます。だからと言ってお客様に提供している商品価格は時価販売しているお店ではない限り、無闇に変更する訳には行きません。ですが、最高値の時期の仕入れ値でメニュー価格を設定してしまうと、お客様に負担を強いらせてしまいますし、だからと言って最安値の仕入れ価格で商品価格を設定してしまうと、お店として継続していけるだけの利益が見込めなくなってしまう為に、最安値での商品価格設定も頂けません。
勿論、方法としては先入先出し法、後入れ先出し法、平均法といった方法から1番、自社にとっていい法方で算出しなければなりません。その為には常に原材料費の相場と時価についてリサーチをしていかなければなりません。商品価格を下げる事は簡単ですが、あげるとなると、それ相応の理由や提供内容の充実や知識力や対応力が求められて来ます。
でなければお客様は商品価格をあげる事は基本的に快くは思わないものです。
商品価格を直ぐに上げる事ができない実情があるからには、使用している原材料の見直しや、代用できる材料があるかないかなども
加味して考え方る必要性が出て来ると思われます。お客様をがっかりさせたくてやっている所などないはずですから。
勿論、商品価格に反映されるのは原材料費の価格だけではありません。スタッフの育成度合いによってもお客様からの評価は変わって来てしまいます。勿論、新しいスタッフが入社したばかりは、対応や商品の提供の仕方などの質は一旦、下がりますが、業務に慣れくればまたスタッフの対応の質も上がって来る事もたしかです。でも対応の質を下げてしまっているのは、入社したての新人さんとは限りません。自社に慣れ過ぎてしまったベテランスタッフによる怠惰や惰性と言った事も見過ごす訳にはいかない要因の1つに挙げられると思われます。
確かに人件費は帳簿上は費用としての扱いにはなりますが、入社したての頃は右も左もわからず、手のかかる人罪の時期もあるかと思われますが人材から人財へと成長や上達が見込める事を思えば、費用とみなして扱い続けるのは人として如何なものかとも思います。

これが工学系ならば自動車のエンジンの構造などから、排気量やトルクや燃費と言った事を各バーツ毎に説明していかなくてはなりません。ですがそこはやはり専門性が必要になって来てしまいますので、一般公開している
文章として、ここでは控えてたいと思います。

少し長くなりましたが、
以上、決断科学(費用対効果分析)による
機能性と倫理観でした。

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