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人間が光合成して生きる世界を妄想してみた

自分が所属してる大学で「コロナ後の新しい「新しい生活様式」を提案(妄想)する」というワークショップが開催された。ご縁もあって自分も参加することになり、3ヶ月ほど取り組むことになった。
ワークショップのジャンル的には「スペキュラティブデザイン」「クリティカルデザイン」の領域であり、コロナ後の世界とその未来を妄想する。

人間が光合成して生きる世界

最終的に自分たちは「人間が光合成して生きる世界」を提案した。
動画で発表したので見てほしい(完全字幕)



ストーリー

この物語は「日本の食料自給率の低さ」を問題点として挙げ、コロナによって輸出入が困難になり、食料自給率の低さが問題視されたことを背景に、輸入に頼ってきた食料事情を解決すべく、人間が植物のように光合成をする技術が開発され、食事をしなくても生きていける世界が舞台となっている。
光合成人間は光合成カプセルを使ってエネルギーを補充し、身体的にも頭脳的にも強化された人間へ進化する。食事がなくなることで、健康管理が用意になり、人々はより豊かに生活をするようになるが、光合成人間第一号の主人公は優れた周りの光合成人間との差を感じて、ストレスのあまり、禁止されていた「食事」をしてしまい、命を失う。

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我々にとって食事は単純にエネルギーを補給するためだけのものではなく、生きる上や他人と共存する上でとても重要なツールである。食事が省略され、高度に効率化された世界で食事はどのように機能するのか?という問いかけがこの物語の裏側にあり、食事が大事な存在であるという共通認識を改めて示している。

映像制作秘話

この授業の一つの特徴として表現方法が自由であったことが挙げられる。自由というか...むしろ奇抜なプレゼン方法が求められた。自分たちはひょんなことから操り人形による人形劇をすることになった。もちろん、人形もすべて手作りで、3Dプリンターやレーザーカッターを駆使して仕上げた。緑色の肌を表現するには最適な方法だったと今は思う笑
独特な世界観に「ど○○つの森」の世界観を混ぜ合わせて、ちょっとポップに仕上げたつもりだ。このあたりのクオリティーはかなり満足している。

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未来を妄想するために

自分はデザインの領域で学びを重ねているが、未来を妄想しストーリーを作り上げるというのは経験がなかった。(海外の大学のデザイン教育では妄想や寸劇の授業は珍しくないらいしい...)
伝えたい事や大事にしたい内容と、話を面白くするネタなどの盛り込み具合が実に難しく、単純に物語を作るということの難しさを感じることになった。作り上げた物語を見返すと矛盾点がいくつもあり、その修正を加えるたびに本当に伝えたいことから離れてしまうというジレンマを感じた。本当にありもしない世界を想像するのは難しく、現実や理想とかの微妙な話の調整が大変だった。

自分たちが妄想した世界をどうやって表現するのか?

妄想した世界観をいかに表現するにあたって、私たちは人形を用いたが、他のチームではイラスト、実写、シルバニア、リカちゃん人形ななどなど...
前例のない様々なアプローチに各チームが挑戦した様子が感じられた。
決められたフォーマットに従った行儀の良いプレゼンではなくて、どうやって自分たちの世界観を面白く伝えるか?
これはモノづくりの根幹にあるような気がして、ある意味この授業で最も重要なことだったのではないかと思う。

総じて

このワークショップを通じてスペキュラティブデザインという分野について真剣に向き合う機会になったことは、非常に大きな達成感になった。
そして、他の分野のデザインをする時も
"どれだけポジティブな未来像や社会像を描きうるポテンシャルがあるだろうか?"
"スペキュラティブに未来を構想したとき、どれだけ良い影響を与えられそうか?"
という思考に繋げられることは新たな発見であった。

また、この授業はコロナを経て急遽設けられたワークショップだったが
正直、もっとこういうワークショップが普通の授業にあっても良いと思った。(単純にワークショップの設計がしっかりしていた)
大学の授業としてよくあるのは「新たな事業提案」や「企業のキーデバイスの新たな使用用途」など、新規提案系である。
これらはある程度現実性を考慮しているのでハマると面白いのだが、そうでないと似たりよったりのアイデアが集まるので面白みに欠ける。大学の授業としても大義は整っているが、会社に入ったら飽きるほどやるのだろうから、別に大学でやることでもないとも思う。
その点この授業では「面白さ」という面でどの授業にも勝っていると思う。皆が妄想した面白さ抜群の世界に対して皆で面白く評価するというのはとても気持ちの良いことだ。

最終発表でゲストが言っていたが、この時期にこの授業を受けたことは歴史的にもとても価値のあることだと思うし、妄想した世界がディストピア化したことに対してのオンラインワークショップの限界も感じた。

GALLERY

3Dプリンターで制作した操り人形たち

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クラスターを使ったオンライン発表会場

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LINKS

最終発表のアーカイブがYoutubeに公開されている

また、他の学生の作品がInstagramで展示されている。

https://www.instagram.com/kyotodesignlab/?hl=ja

最後に
このワークショップを企画設計してくださった、水野先生をはじめとするD-labのスタッフの皆様にお礼申し上げます。
そして、四苦八苦しながら一緒に3ヶ月を駆け抜けてくれたパートナーに感謝します。ありがとうございました。

© (Re)generating Japan, managed by KYOTO Design Lab of Kyoto Institute of Technology

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