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「実験」と「学習」ー人間もAIも基本は同じ。

先日、4月から受講している東大の講義「近未来金融創造講座」の授業に参加してきた。隔週火曜日、東大の本郷キャンパスで行われるコースで、毎回のテーマにおいて一線で活躍している方が、ゲストスピーカーとして講義を行う。その講座名にふさわしく、今回の授業のテーマは「Aiとビジネス」。日立製作所のフェローである矢野氏による講義だった。人工知能関連の授業だったので、科学的な議論が展開されるのかと身構えていたが、僕が学んだのは「哲学的なこと」だった。

それは、人間も結局は「実験と学習」の連続であるということ。

これは、矢野氏が人工知能の基礎を説明した際に使った言葉だ。人工知能の基本は、「実験と学習」。人間が何かを学ぼうとするとき、まずは、試行錯誤試した上で、これから得られる経験を教訓として学習する。人工知能がやっていることも全く同じだというう。ただ、そのスケールがより大きくなるのが人工知能。人工知能は、より効果的にリアルな実験を可能にする。人間が、実験の結果から何かを学ぼうとした場合、分析できるデータ量は限られてしまう。しかし、AIを使えばその量は格段に増える。大量データから学習できるようになったことで、「実験と学習」の精度が上がったのが人工知能だという。ここで見せられたのが、人工知能を搭載したHitachiのロボットがブランコを漕ぐことを学習する動画だ。
(AI × (Swing & Horizontal Bar) : https://youtu.be/uimyyGFwv2M)

初めの1分で、ロボットはやみくもに動いている。まずは、動いてみてどうすればうまくブランコを漕げるか試行錯誤している。これが「実験」段階だ。そのあと、1分後にはこぎ方が少しうまくなっている。3分後には人の漕ぎ方に似てくる。5分後、人よりもうまく漕げるようになっている。次に、同じプラグラムで同じAIを搭載したロボットに鉄棒を漕がせようとする。できるのか?答えはYesだ。鉄棒でも同様、最初の数分間はぎこちない動きをする。同じく試行錯誤の「実験」段階だ。しかし、これも数分後には人間並み、またその数分後には体操選手並みの鉄棒運動ができるようになる。ポイントは、ブランコも鉄棒も同じコード書かれたロボットが、何もできない状態から、試行錯誤の「実験」を繰り返せば、どちらの動作も「学習」できたということだ。人間も結局は同じだと矢野氏はいう。人間も人工知能と同じように「実験と学習」を繰り返すことで一つの動作を学ぶ。しかし、実験の段階は「ぎこちなかったり、他の人が見たら”ださい"ことをしなくてはいけない。失敗する恐れもあるのでこれは、勇気のいる行為だ。」確かにと思った。実際に「実験」は、なかなか簡単にできない。矢野氏曰く、「部下の前や、友人の前で、ださいことや失敗はできない」からだ。しかし、逆に言えば実験と学習をすれば人間も目標を達成できる。周囲の目を恐れず、試行錯誤することで、生物本来の「実験」と「学習」を有効活用し、目標を達成していきたい。



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