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20代でスポーツ組織で働くということ


2月18日に開講するレオナゼミ。これは、マルチコンテンツメーカー・竹中玲央奈が中心となり開催する、「スポーツ業界を突破する」ためのゼミです。

競技や職種を超えたスポーツ業界の若手メンバーが運営メンバーとなり10人ほど集い、外部からの“ゼミ生”を20人集めて開催されるものです。

竹中の告知文を皮切りに、運営メンバーがその思いを綴ってきました。今回はその第5回目になります。


国公立大在学時にRed Bull JapanでStudent Brand ManagerとしてArt・Culture・Sports領域のマーケティング活動に従事。卒業後は三井物産株式会社に就職。社会人4年目の25歳のタイミングでスポーツ業界に飛び込んだ運営メンバーの思いです。

主催者の竹中が「運営メンバーの中で最も“頭がキレる”可能性がある」と賛辞を送る彼の思いをお届けします。

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「大変心苦しいのですが、3月末に退職したいと思っています。」
 

2年前の冬、新卒で入社した会社の上司に辞職願を提出した。そして、スポーツ業界への転職の意を伝えた。
 

上司は驚きを隠せず、一瞬目を大きく開き、そして少し考え込んでから返した。
「びっくりした。そしてチームにとっても正直痛い。けれど、君の人生だ。ここで身に付けた力はきっと次でも活きると思う。もし上手くいかないようであればまた戻ってきていいから頑張れ。応援する。」
 
 
人生で初めて退職を伝えるというのは凄く緊張する。自分の場合は会社に鍛えてもらった恩義もあったし、ある種の罪悪感を背負っての告白みたいなものだった。
 
だからこそ、何一つ責める事なく、快く送り出してくれた寛大な上司の返事に心を打たれたのを今でも覚えている。
 
 
 
その後、退職に伴う人事面談や手続きを進め、退職日を確定させ、社内イントラに退職の発表が流れた。
 
お世話になっている先輩や同期からは送別会や昼メシにも誘ってくれる人もいて、寮生活のバカ話から新卒時代の今だから笑える話もした。
 
そして、キャリアの話になると皆一様に「好きなことを仕事にするって偉いね」と、少し寂しそうな顔で話し始めた。
 
皆それぞれ事情はあるのだが、総じて今のままで自分はいいのかという漠然とした焦燥感を抱えていたり、好きなことを仕事にすることへの憧れや、キャリアを捨ててまで好きなことに振り切ることへの葛藤、
そもそもキャリアをかけてまで好きなことなんて自分にはない、といった悩みを皆持っていた。
 

これらの悩みにはもちろん共感する。だけどその一方で、当時なんとなく感じていて、転職してから2年経った今、より強く思うことがある。
 
 

スポーツ産業への転職は、やりがいを求めての転職と一括りにしてないだろうか?
この転職はキャリアにおける沢山のものを犠牲にしてやりがいを手に入れるというトレードオフの関係なのだろうか?
 
 
 
転職してより一層思う。答えはノーだ。
 
 
 
 
あくまで主観だが、スポーツ組織で働くということは社会的ステータスを捨ててしまい、やりがいに振り切るという話だけではないと思う。
 
 
転職して自分は何を得たのか?
一言で言えば、キャリアにおけるバッターボックスに立つ機会だ。
 


バッターボックス、それは仕事においての真剣勝負の場、だと捉えてもらっても良い。

僕の場合はスポーツ組織の中でのビジネスサイドでの転職だったが、幸いなことにこれまで沢山のバッターボックスに立つ機会を頂いた。
 
 
職域だけでもBtoBセールス、商品・イベントPR、イベントオペレーション、マーケティングリサーチの調査設計、知財管理、マーケティングキャンペーンの企画立案等が挙げられ、これらを実行するにあたり社内外のステークホルダーとの交渉・協働が求められた。

どの仕事も社会的なインパクトがある貴重な経験を早くから沢山詰める環境だと思う。
 
良くも悪くも自身の仕事がスポーツという媒体を通じて世の中に発信されるため、ファンの反応がダイレクトに見える。結果によってはSNS通じてもっと出来たなと感じ、悔しさを感じたり凹むことだってある。
ただ、良い仕事や取り組みはファンや顧客は評価してくれる。
 
これらの打席はバッティングセンターでの打席なんかじゃない、公式戦での打席が溢れているのだ。
 
 
沢山バッターボックスに立つと得られるもの。 
それは、仕事を通じたやりがいだけではない。(もちろんやりがいはめちゃくちゃある)
キャリアにおける業務経験の蓄積やスキル開発の機会が溢れているということである。
 
 
確かに転職して所謂ステータスとしての年収は下がった。(恐らく前職が良すぎた。)
けれど、自分自身のビジネスマンとしての成長(スキル開発、視点の向上等)とキャリアとしてチャレンジした足跡は着実に増えている。
新しい仕事が出てくるたびに、必要な知識が何かを考え・求め・必要であれば自分で習得して仕事に応用する。丁寧な指導はないかもしれないが、たくさんの仕事をこなす中で、できることが増えていく感覚はやりがいもあるし、何より自身の成長と仕事の質が徐々に上がっていることを実感できる。
 
 
 
少しマクロな視点でこの業界とキャリアについて考えよう。
ラグビーW杯、東京五輪といったメガイベントの開催やスポーツ庁の設立に伴うスポーツの本格的な産業化、SDGs×スポーツといった社会課題解決のツールとしての可能性、働き方改革の先の可処分時間・所得の増大というトレンドは今後もスポーツ産業を強く後押しし続ける。
 
スポーツビジネスに関心を持つ人や企業は激増し、スポーツという比較的様々な産業とも繋がりやすい特性上、スポーツを通じた事業機会は今後も増えてくるだろう。
 
あとはスポーツ産業の内側から、外部との協業を実現させ、スポーツの価値を高めつつ経済を回していく担い手が出てくるだけだ。
 
 
ピッチ上に立ってプレーするサッカーとテレビの前から観てるサッカーには大きな差があるように、外から見るスポーツビジネスと中から見るスポーツビジネスには大きな違いがある。
 
 
巷にはたくさんのスポーツビジネスのセミナーが開催され、様々な論点が有識者によって提示されている。確かにどれも間違っていないと思う。
 
じゃあなぜ現実はあるべき姿になっていないのか?
 
予算が〜とか、関係者との調整が〜とか、理由は挙げればキリはないが、ボトルネックは人材だ。
 
スポーツ業界のリアルを理解しつつ、事業機会を見極め、机上の空論で終わらない実行力を持った人材が必要だ。

20代でスポーツ組織に飛び込んで見えたものがあるからこそ、声を大にして言いたい。

このマーケットは20代のキャリアにおけるブルーオーシャンだ。
 
 

キャリアにおいて、経験は有限な資産であり、複利効果が働く資産でもある。
 
スポーツビジネスが拡大していくこれからの時代に、20代でバッターボックスに立つこと。
それはこれからスポーツ産業が大きくなるにあたり、また新しい事業機会(=バッターボックス)に立つチャンスを与えてくれ、それがキャリアとしての価値を高めてくれるだろう。
 
 
もちろん、目的や課題が見えないチャレンジは意味がない。(やりがいの搾取、という悲惨な言葉も囁かれる業界でもある。)
どこに入るか、どのように入るかは別の問題だがキャリアを考える上では重要な問いだ。
 
 
ただ、これらの大局観をもって正しいチャレンジを続ければ、仕事におけるやりがいだけではない、スキル開発やキャリアにおける経験というリターンが返ってくると信じている。

 
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ここまで長文を読んで、スポーツビジネスをキャリアとして考えてみようと思ったあなたへ。

この春、レオナゼミというサロン形式のゼミが開講される。

詳細や開講の思いは主催者の記事を参照していただきたいが、ここには既に20代でスポーツ界に飛び込み、バッターボックスに立ち続けている同志が集っている。少しだけ先にこの業界に入った分、働き方や現場のリアルを吸い続けた奴らだ。


こんな偉そうなことを言っているが、僕だってまだまだチャレンジャーだ。
もちろん最低限の知識やお作法のインプットはするが、大きな目的はスポーツ産業のアップデートだ。

だからこの産業をより良くするために共に知恵を出し合う、インプットだけではないチャレンジの場でもありたいと思うし、そのような場の設計を心掛ける。

このゼミから将来スポーツ組織に入る者がいれば、仕事上のパートナーとしても付き合っていきたい。

僕は、スポーツ組織に優秀な20代が飛び込み、新しい時代を作っていく仲間を心の底から欲している。

レオナゼミはスポーツ界で価値を生み、世の中をスポーツでより良くしたいと願う挑戦者にこの業界で生きていくための地図と道具を与える。


挑戦者であり実践者よ、来たれ。



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