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【Jへの推薦状 #3】 MF 吉永陸人(滋賀・延暦寺学園 比叡山)

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❐選手情報
吉永陸人(よしなが りくと)
延暦寺学園 比叡山高校3年(←SAGAWA SHIGA FA)
適正ポジション:DMF(ダブルボランチの一角、アンカー)
特徴:予測とキック精度。三手先まで観えているようなプレーを披露。
タイプ:三幸秀稔(湘南)、庄司悦大(京都)、山本悠樹(G大阪)


7月だっただろうか。関東大学サッカーの取材でRKUフットボールフィールドへ行って試合を見ていたときだった。

基本的に毎度、観客席は数少ないメディア(自分のみ、ということも多い)とJクラブのスカウト達で埋め尽くされている。幸い毎週同じ面々が同じ場所(前期の関東大学サッカーは龍ケ崎でのセントラル開催だった)に集まることで仲も深くなり、自分も様々なクラブのスカウトの方と会話をさせてもらうようになった。その日も例に漏れず試合の合間に談笑していたのだが、一つ離れた席からこんな声が聞こえてきた。

「比叡山に…」

聞き取れたのはこの4文字のみだ。ただ、恥ずかしながらそれまで全く聴いたことのない高校名だったため脳裏に強く刻まれた。

ちなみにどこのJクラブのスカウトが口にしたかの確証はないが、目星はついている。

際立ってはいなかったが…

少し時期が空きこの10月、日程を調べ関西サッカー協会へ電話をし、比叡山高校にも連絡して取材の許可を得た。そして向かったビッグレイクでの滋賀県1部リーグの試合、守山北高校との対峙は0-0に終わった。

その中で1人異なる空気をまとっていたのが、ボランチの吉永陸人である。

中盤での異様な落ち着きがあり、常にフリーの状態でボールを受けられる。“1つ先”に飛ばす配球力もあった。そして、なによりもボール扱いに余裕があり、良い意味で100%を出しているようには見えなかった。

キック精度も高かった。ただ、ビッグチャンスを生む鋭いスルーパスや何枚も相手を剥がしてゴールに気迫もって迫るというシーンはなく、際立っていたとは言えない。それでも、「このチームの中で彼ひとりが見えている先や予測のレベルが高すぎるのでは」と感じさせてくれたものである。

決して比叡山の他の選手の能力が低いと言っているわけではない。彼だけが少し異なる次元にあり、味方が付ききれてない。そんな印象を持った。

本人としてもより高い要求を味方にはしたいと語るものの(筆者がむりやり言わせようとした感は若干ある)、至って謙虚に「今ある状況でどれが1番の正解かを考えてやるしかない」と言う。

中学時代に在籍したSAGAWA SHIGAではCBも務めており「守備はバチッとやるよりはポジショニングで1対1を遅らせる選手だった」ようだが、上述した予測の部分はこの経験も大きいと察する。また、フリーで受ける際には「相手の走っている矢印を見て、“止まる”こともしている」と話すが、かなり思考力を働かせてプレーをしているようだった。これもまた、彼の魅力である。

変化の契機はJユースとの対峙

全国大会の出場経験がなかった“無名”の彼を変えたのは、国体選抜入りであった。県内の高いレベルの選手たちとプレーをする中で、「1枚剥がして裏へスルーパスを出す」という自身の武器を存分に発揮できたのである。

「国体メンバーで今までなかったJのチーム、名古屋と湘南と試合ができて、思ったよりも通用して意識は変わりましたね。全国大会は初戦で負けてしまいましたけど、そこでも通用するところはたくさんあった。ボールキープと縦パスをいれるところですね。ノールック気味で入れることが多かったのですが、相手のCBにもバレなかったので。」

もちろん課題もあった。「ドリブルやパスにスピード感を出していかないと。そこは追求していかなければいけない」と語るが、手応えと課題の両方を収穫できたという意味で、この活動は彼にとって非常に意味があったことは間違いない。

似ているのは、G大阪のあの選手

冒頭に記したようにすでにいくつかのクラブが彼を気にかけているが、卒業後は関西大へ進む予定だ。恐らく多くのクラブが「4年後に期待をかける」枠に入れているのでは、と思う。

大学の4年間で飛躍する可能性はおおいにあると思うし、卒業時にはJ1でも戦える力が備わっているだろう。

そして、SAGAWA SHIGAから滋賀の高体連を歴て関西学生リーグの舞台へ進むMFということで、筆者の脳にはG大阪の山本悠樹が浮かんだ。経歴だけではなくプレースタイルも近いものがあるし、彼のような道筋をたどるような気がしている。

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