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【Jへの推薦状 #4】 DF 横山璃央(滋賀・延暦寺学園 比叡山)

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❐選手情報
横山璃央(よこやま りお)
延暦寺学園 比叡山高校3年(←SAGAWA SHIGA FA)
適正ポジション:CB(4バックの左右、3バックの中央)
特徴:一本で相手を裏返すことができる質の高いフィード、リーダーシップ
タイプ:坂圭祐(湘南)、堤俊輔(福岡、浦和など)


目当てではなかった選手


亀川諒史という選手が長崎にいる。

帝京第三高等学校から湘南へ入り、初年度はグロウインペインに悩まされて練習も満足にできなかったものの、チームがJ1に昇格したプロ入り2年目の2013年の開幕戦でJ1デビューを果たした。そしてそのシーズンにプロ初ゴールを決めると、世代別代表にも選ばれ、2016年のリオ五輪にも出場した。

ほぼ無名な状態から世代別代表とは日の丸を背負うまで進んだというシンデレラストーリーである。

ただ、当時の湘南の強化部は亀川をもともとリストアップしていた訳ではなく、帝京三高の別の選手を視察に行った際に偶然目に止まったのが亀川だった。

「あいつも練習に呼んでみよう」

当時、スカウトを担当していた田村雄三氏(現いわきFC)はこう決断し、結果として湘南は亀川を獲得した。高校を卒業したらサッカーを辞めて料理人になろうと思っていた18歳が、一転してJリーガーになったのだから驚きだ。

Jクラブや大学が選手獲得の過程でこういった“偶然の発見”は割と聞くのだが、今回紹介する横山璃央との出会いもそれに近い。

賢く、チームを引っ張れるCB


誰がスカウト注目なのか、というのがわからないまま比叡山高校の試合を観に行った。そして試合を見て(とはいえ事前にチームを率いる林監督からも聞いていたのだが)「この選手だな」と確信に変わったのが第3回で取り上げた吉永陸人だった。

前記事で書いた通り吉永はピッチ上で“雰囲気”を漂わせていたのだが、この試合もう1人、目を引いた選手が横山だった。


特徴は吉永よりもわかりやすい。とにかく最後尾からのキックのフォームと軌道が美しく「一発で裏返す」ことができるのだ。

近場のSBからボールを受ける前に逆サイドを確認し、トラップの次、2タッチ目のキックで事前に確認済みの選手へブレないボールを送る。この日、幾度もそういうシーンでチャンスを生み出した。本人から聞いても「今日はフィードの調子が良くて、背後を取れていた」と語る。


ただ、課題も続けて口にした。「自分たちはボランチに上手い選手がいて、FWも小さいけど足元がある選手だから、繋げたい。でも、縦パスを入れることが少なかった。例えば右からもらったとき、左に入るそぶりを見せながら右の内側に入れる、とか。体を開きながらボランチを飛ばして縦に出すというのはもっとできるかなと。ビルドアップはもっとできないといけないですね」

シンプルに「ビルドアップに課題がある」と口にする選手は多いのだが、ここまで具体的に語る選手は珍しいので驚いたものだ。その口ぶりには賢さが垣間見え、90分の試合の中ではほぼ途切れること無くコーチングの声を出していた。

「リーダーにふさわしいタイプの選手だ」

そう思った。


非エリートからの逆襲劇へ

この日にそういったシーンはなかったが、横山自身はもう1つ武器があるという。それが、空中戦の強さだ。身長は180cmに満たないが、「正直言うと、県内では負けないと思っているし、自分のところにきたら決められる自信はある。185cmある相手にも勝てるかなと」と、自信を持つ。

「バレーボールの選手だった母親譲りの身体能力かも?」と笑いながら口にしたが、次回はそれを見てみたいものだ。

中学は吉永と同じSAGAWA SHIGAに所属していたが、メンバー外でほぼ試合に出られなかったと当時を振り返る。その悔しさを持って進学した比叡山で、自身の武器であるフィードを磨き、苦手であった空中線の強さも身につけた。

底を知り、そこから“這い上がって”きたタイプと言えよう。そして、そういった挫折体験がある選手は強い。これからまだまだ伸びる可能性を秘めていると思う。

卒業後の進学先は岐阜聖徳大学だ。横浜FCやFC岐阜で活躍した難波宏明氏が監督を務めるこのチームで、憧れであるプロの舞台への道筋を辿る。

「FC岐阜と提携しているので見てもらえる機会もあると思いますし、自分としてはここで技術の部分を監督に指導してもらって、2年以内にはプロを決めたいなと」

無名の選手が表舞台に出ていく過程を、しっかりと見届けたい。

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