罰金を払わないレンタルスペース利用者にどう対処する?オーナー視点の考えをまとめてみる
こんにちは。レンタルスペースを運営しているヒロセなです。
ほとんどのレンタルスペースでは、利用者の秩序を守るためにルールを設定し、違反行為に対して罰金などの罰則を設けています。罰則の対象となるのは、備品の破損、退室前のクリーニング放棄、予約人数以上での無断利用など。スペースによって、何をルール違反とするのか、どのような罰則にするのかは異なります。
僕の運営するレンタルスペースコミュニティでも、ルールを無視する利用者とのトラブル相談があとを立ちません。
・テレビを壊された
・壁にヒビが入っていた
・部屋を荒らした状態でクリーニングをせずに退出された
・無断で予約時間を超えた滞在をされていた など
このようなトラブルが起こったときは、スペースオーナーが事前に設定した規約に基づいて罰金を請求することができますが、中には請求に応じない利用者も。
今日は、罰金を払わない利用者の対応方法について、僕が日頃どのように対応しているかも含めてお話しをします。
レンタルスペースの罰金事情
スペースごとに少しづつ内容は異なりますが、僕が設定している主な禁止事項と罰則はこちらです。
(1)セルフクリーニング(清掃、原状回復、ゴミ持ち帰り)をせずに退室
罰則:罰金40,000円を請求
(2)匂いの強いものの持ち込み。たばこを吸うこと
罰則:罰金最大200,000円を請求(匂い移りした備品のクリーニング費用等として)
(3)騒音など近隣住民にとって迷惑となる行為を行うこと
罰則:場合により警察へ被害届を提出。ブラックリストへ追加
(4)スペース内の備品を持ち帰る
罰則:警察に被害届を提出。賠償金の請求
(5)スペース内の備品を汚損・破損した際に報告せずに退室
罰則:罰金最大200,000円を請求
(1)(2)のような禁止事項を破られてしまうと、他の利用者のクレームにつながり、スペースに悪いレビューが増えることで予約が入らなくなります。また(3)のような騒音被害が増えると、近隣からの苦情で立ち退きを余儀なくされ、事業の継続すらできなくなるリスクも。
管理人不在で運営をしている場合は、(4)(5)のようなトラブルもあり得ます。監視カメラを設置すれば、盗難や汚損・破損の証拠として使えるほか、遠隔で利用者を監視できるため牽制にもなります。
僕以外のレンスペ経営者でも基本的には同じような禁止事項を設定している人がほとんど。
撮影スタジオやキッチンスタジオなどの何かに特化したスペースの場合は、さらに具体的な禁止事項を儲け、罰則も厳しくしているようです。例えば、撮影スタジオではウィッグや髪の毛のカットを禁止、キッチンスタジオでは油の処分方法を指定するなどです。
罰金を請求する手順
レンタルスペースの罰金は「備品の汚損・破損による罰金」と「それ以外の罰金」に分けて考えます。それぞれ請求手順が異なります。
備品の汚損・破損による罰金→プラットフォームの補償を適用できる
利用者が備品を汚損・破損させてしまった場合、スペースマーケットなどのプラットフォーム経由の予約であれば、正しく申請することで補償を受けることができます。ただし、申請には利用者からの自己申告が必須です。
補償が降りるまでの大まかな流れはこちら。
< 補償申請フロー >
申請
保険会社から連絡がくる
破損・汚損の証拠画像や、領収書、口座情報を求められる
利用者側に保険会社から確認連絡が行く(ここで連絡取れないと保険が下りない)
確認が取れ次第、保険会社から補償金が振込まれる
プラットフォームによっても申請時に必要な情報が異なります。
< スペースマーケット >
予約ID
事故発生日時、住所
加害者情報(氏名、住所、昼間連絡が取れる電話番号、メールアドレス)
被害者情報(氏名、住所、昼間連絡が取れる電話番号、メールアドレス)
トラブルの詳細(損害品の名称、メーカー、型、購入時期、購入金額など)
保険金請求書
損害品・損害箇所の写真、損害品の値段がわかる書類(購入時の領収書やクレジットの明細書等)
修理可能であれば修理見積書等
示談書(示談書不添付に関する確認書)
< インスタベース >
予約ID
事故状況が確認できる画像や動画
事故内容の詳細
※申請後、追加情報が必要になる場合があります
仮に利用者から破損したという自己申告がない場合は、監視カメラの映像などの証拠を集め、事前に同意させた金額内で直接罰金を請求することも検討します。
プラットフォームを経由しない取引の場合も、利用者に直接罰金を請求することになります。トラブルが起こってから揉めないように、事前に禁止事項や罰金に合意を得てから予約を受けるように注意しましょう。(保険に加入している場合は、この限りではありません)
それ以外の罰金(セルフクリーニング放棄、盗難、無断延長など)→利用者に直接請求する
備品の汚損・破損以外のトラブルには、プラットフォームの保険の補償範囲外なので利用者に直接連絡をとり、協議のうえで支払いをしてもらいます。
基本的には、事前に提示していた罰金通りの金額を請求します。
セルフクリーニングを放棄している場合は、相手が開き直ってしまうことを抑制するためにも、散らかっている部屋の様子を撮影しておくと良いです。また盗難や無断延長は、監視カメラの映像を用意しておきましょう。
罰金を払わない利用者にはどうする?
僕が運営しているスペースでは、幸い罰金を請求するようなトラブルがほとんど起こっていません。備品の破損で請求をすることもありましたが、利用者がきちんと自己申告をしてくれたのでスムーズにプラットフォームから補償を受け取れました。
基本的に利用者は、プラットフォームに書いてある利用規約、禁止事項、罰金規定などに同意して予約したものとみなされます。そのため、利用規約にもとづき罰金が発生した場合、利用者は罰金を支払わなければならず、支払いを拒否された場合は、裁判などの法的措置を講じることも可能性としてあり得ます。
ただし、利用者に請求できる金額は裁判を起こす労力やコストに見合わない場合が多いため、今までそこまでの事例はみたことがありません。
法的措置も考えて徹底的に戦うか、落とし所を探して話し合うか、今回は苦い経験ととらえてこれ以上深追いしないか、レンスペ運用者の考え方次第だと思います。
僕は、ルールを守らない利用者はブロックして、今後予約を受け付けないことにしています。
罰金トラブルは全力で避ける主義!スムーズな運営のためにやれること
罰金は、請求する方もされる方も精神的に消耗するので極力避けたいところ。僕の考えとしては、お互い気持ち良くないことだから、相手が故意でないならば、モメないための工夫をするのが一番!
トラブルが起こったときに必ず罰金をとれるように頑張るのではなく、なるべくルール違反が起こらないような対策に力を入れています。
具体的な方法を紹介します。
(1)スペースのルールを利用前に伝える
予約時に配信する自動メールなどに、
禁止事項
罰則
セルフクリーニングの手順
延長利用する方法
人数を追加をする場合のガイド
などを盛り込むと良いです。予約後も丁寧にフォローをすることで、利用者がうっかりルール違反をしてしまうことを予防できます。
やむを得ず罰金を請求するときも、禁止事項や罰則を事前に確実に伝えていれば、トラブルに発展する危険性を下げることができます。
(2)監視カメラをつける
ルールを理解していながら違反をするような悪質な利用者には、監視カメラの存在がある程度の牽制になります。
(3)汚損・破損の自己申告を促す
備品の汚破損については、スペース内に「利用者が自己申告をすることで保険が下りる」ことが分かるような張り紙をするのがおすすめ。罰金を免れると分かってもらえれば、スムーズに自己申告してくれることが多いです。
(4)高額すぎる罰金もトラブルの元に
利用者を牽制するために高額な罰金を設定する運営者もいますが、あまりに納得感のない金額だと支払いを渋られスムーズに話し合いが進まない場合も多いと思います。僕は、「最大〇〇円」のように最大金額を明示して、損害状況や悪質さなどに応じて金額を設定しています。
リスクやトラブルは他のレンスペ経営者に相談するのがおすすめ
利用者とのトラブルは、時間も気持ちも消耗します。ですが実際に場数を踏んでみると、効果的な予防方法があったり、はっとするような考え方があったりするものです。
同じレンタルスペース運営者同士でトラブルや対応方法を共有するコミュニティがあると良いなと考え、LINEのオープンチャットを作りました。(2024年11月時点で69人の参加者がいます)
実際にトラブルに直面して困ったときは、コミュニティーでの情報収集が断然おすすめです
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