運営者が語る、レンタルスペース運営が「危ない」と言われる理由
こんにちは。レンタルスペースを運営しているヒロセなです。
最近、レンタルスペース経営を始めたばかりの方や興味を持っている方から、「レンタルスペース事業は危ないって本当ですか?どんなリスクがありますか?」といった質問をよく受けます。
確かに、レンタルスペースならではのリスクやトラブルがあるのは事実です。しかし、それはどんな事業でも同じこと。漠然と不安を持ったまま運営を始めたり、「なんとなく危なそうだから手を出さない」と判断をするよりも、レンタルスペース運営のリスクを正しく認識し、回避できるような賢く努力することが大切だと考えています。
今回は、僕が考えるレンタルスペース運営が危ないと言われる理由について、僕の考えをお話しします。
1. レンタルスペース運営の危ないところ
スペース運営を行うにあたって回避すべきリスクは、大家さんとの契約トラブル、利用者が起こすトラブル、赤字が続くことによる撤退です。
物件探しが難航する
住居スペースとして借りた部屋を、契約者が許可無く第三者に貸し出しすることは、法律で禁止されています。
国土交通省が公表している賃貸住宅標準契約書においても又貸しは禁止されているので、賃貸借契約書にも明記されている場合がほとんど。大家さんに無許可で又貸しを行った場合は、違約金が発生したり、賃貸借契約そのものを即時解除される可能性があります。
となると、大家さんに又貸しの許可を得なければなりませんが、なかなかOKしてくれる方はいません。事業を開始してすぐに売上が上がると見込んだり、多店舗展開を見込んだりする方もいるかもしれませんが、賃貸物件でのスペース運営だと厳しい面もあります。
利用者トラブルが多い
レンタルスペースを貸し出すときは、その場に管理者が不在で、清掃を利用者自身にお願いする場合がほとんど。モラルや常識が欠如している利用者がいる場合は、トラブルが起こりやすくなります。
レンタルスペースを始めるには、物件の内装工事や備品の調達、賃貸契約にあたって発生する敷金、礼金、仲介手数料など、ある程度まとまった初期費用が必要。さらに運営を始めたら家賃や清掃費、消耗品購入費など維持管理していくためのコストもかかります。
スペースへの集客が上手くいかず予約の空き時間が増えてしまうと、初期費用を回収することはおろか運営を維持していくことも難しくなります。またレンタルスペースが多い地域では、価格競争に陥り想定していたより利益が薄くなってしまうことも。
2. レンタルスペース運営で必要な準備・対策
又貸し可能な物件を見つける
スペース運営のための部屋を見つけるためには、不動産屋に協力してもらいながら大家さんの懸念点を解消し交渉するか、M&Aをして既存のレンタルスペースを買い取るかどちらか。
実際に物件探しをすると分かりますが、又貸しOKの賃貸を探すのはとても難しいです。
僕が運営する中で一番有効だった方法は、こちらにまとめました↓
利用規約を作成して禁止事項やペナルティを明示
利用者との取り決めや責任範囲、キャンセルポリシーなどを具体的に明示しましょう。予約前に同意してもらうことにより、トラブルが起きたときに対処しやすくなります。
利用者にルールを遵守させる工夫を凝らす
またトラブルを未然に防ぐ対策として、利用者用にスペースでの過ごし方や機材の使い方などのマニュアルを作成して設置したり、清掃時のチェックリストを作るなどといった対策も有効です。
例えば下記は、僕が実際にセルフクリーニングを徹底させるために行っていること。
こちらの工夫次第で利用者とのトラブルを回避できるケースも多いので、トラブルに発展しやすい懸念事項は、先回りで潰しましょう。
利用者を監視するシステムの設置
「見られている」という意識を持たせることにより、利用者が羽目を外してしまうことを防げます。
最も有効なのは、レンタルスペース内に監視カメラを設置すること。常に利用者へ緊張感を持たせることができますし、監視カメラを通してリアルタイムの様子を観察することで何かトラブルが起きたときにすぐに対応できます。備品の破損や盗難があったときの証拠映像にもなりますので、管理者が現場にいない無人のスペースを運営する場合は、必ず設置することをおすすめします。
その他にも、入退室した履歴がわかるような管理システムを導入する、利用者と口頭で連絡を取る、入退出時にオーナーへ連絡を入れるよう義務付けるなどの対策も有効です。
過去に問題を起こした利用者はブロックする
一部のレンタルスペース予約プラットフォーム(スペースマーケット、インスタベース)では、ルールやマナーを守らない利用者を管理者がブロックできます。再度迷惑な利用者の予約を受けてしまわないように対策をしましょう。
3. 【実例】レンタルスペース運営で起きたトラブル
騒音による近隣トラブル
近隣住民の方が、スペース利用者の騒ぎ声、音楽などの音漏れがうるさいと警察に苦情を伝えていました。これまでも苦情はあったようですが、管理会社が対応してくれていたようで、僕には知らされていませんでした。警察に通報が入ったことで初めて騒音被害があったことを知り、すぐに対策をしました。
まず、最もトラブルが起きやすい深夜の運営をやめました。スペースを運営できる時間が減ってしまうので売上としてはマイナスになる選択肢でしたが、やめることで明らかにトラブルが起きにくくなり、精神的な負担も減ったので思い切って決断してよかったです。
更に騒音リスクを減らすため、パーティー中は窓を開けないことを呼びかけると共に、スペース内外に張り紙を貼ることで対策をしました。
備品の破損トラブル
利用者の不注意でプロジェクターのリモコンが破損してしまいました。一般的にスペース利用時の事故・物損であれば、プラットフォームの保険で補填されます。
基本的には、食器やキッチン用品などの低価格な物の破損が多いのですが、リモコンの場合、補填額が1.5万円と高価格帯のため、細かい情報を保険会社に提出しなければならず、苦戦をしました。
保険を申請するためには、利用者が破損を認めている必要があるため、利用者から管理者への申告が欠かせません。「利用中に備品が壊れたら保証会社が補償するので連絡してください」といった旨の張り紙をしておくと安心。僕のスペースでは、破損トラブルのあるほとんどの利用者から報告をいただけています。
4. リスクやトラブルは他のレンスペ経営者に相談するのがおすすめ
レンタルスペース事業をこれから始めるにあたりリスク面の不安を抱えていたり、実際にトラブルに直面して困ったときは、情報交換できるコミュニティーでの情報収集が効果的。
自分の中やネットの情報だけで考えず、他のレンタルスペース経営者のリアルな意見や生きた情報を常に拾ってアップデートしている人は、レンタルスペースの運営を次々に成功させています。スペース運営をしている人に出会う機会がない…という方は、僕が運営しているコミュニティ「レンスペ民の集い」へ参加してみてください。
ここは、レンタルスペースの経営者だけでなく、これからスペース運営を始めたい人もたくさん参加しています。もちろん誰でも無料で参加できますし、課金などは一切発生しません。不動産探しはもちろん、レンタルスペースに関するさまざまな情報収集の場として使えますよ。
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