見出し画像

ピッチを冷静に読み解くアルネ マイアー

トニ クロースに例えられるのも頷ける卓越したプレービジョンとそれを実行する為の能力

"逆サイドへの糸を引くサイドチェンジ"これがアルネ マイアーがピッチ上で見せるプレーの中で最も華があり、ストロングポイントとして語られるモノであるのは間違いないだろう。21歳ながらピッチ上の状況を冷静に判断し、的確にフリーの選手へとパスを送り届ける。この選手にボールが渡れば一気に状況を打開できそうだな、と我々が俯瞰の映像を見て頭に浮かべた瞬間、彼は既にボールを送り届けているのである。勿論、正確にボールを扱える卓越した技術力もさることながら、彼が凄いのはピッチ上に居ながら、我々が俯瞰で考えるのと同じタイミングでボールを引き出す事ができる天才的なセンスである。キックの精度が高い選手、ボールを散らす事を得意とする選手は数多く存在するが、マイアーの様に必要なタイミングでボールを引き出し、正確に展開できる選手は世界中を見渡してもそうそういない。何故、マイアーはこれができるのか。私は彼の持つプレッシングの切れ目を感じとる能力の高さがその理由ではないかと考えている。彼の所属するヘルタの試合を見ていると、彼は相手のプレッシングの波が落ち着いた瞬間を的確に感じとり、ボールを引き取る事ができるのだ。決してアジリティやフィジカルに長けている訳ではないマイアーが、ブンデスリーガの屈強な選手達のプレッシャーに動じずにゲームメイクできるのには、そもそもプレッシャーを受けないスペースとタイミングを見つけ出し、活用できるからなのだ。

ピッチ外でも冷静さを失わないメンタリティ

ピッチの外でもマイアーは非常に冷静だ。ドイツの世代別代表にはU15からU21までの全ての年代で名を連ねてきたエリートであり、バイエルンやマンチェスターU等複数のビッグクラブに獲得の噂がある程の選手にもかかわらず、そこに奢りは一切なく自らを一般の若者と何ら変わりはないと発言する。ドイツU21代表で共にプレーしたヨナタン ター(レバークーゼン)はマイアーのについて、歳上だと勘違いしてしまう程大人びていると評している。

順風満帆なキャリアを送っているように見えるマイアーだが、現在はキャリアの岐路に立っていることも事実だ。2018-19シーズンは24試合に出場し、特に前半戦はチームの絶対的なレギュラーとして君臨する等結果を残し、更なる飛躍の年として期待された19ー20シーズンは負傷に悩まされここまで13試合のみの出場(先発5)に留まり、冬には移籍希望を出しているといった報道がなされた様に振るわない結果となっている。また、ヘルタの経営に投資家であるラース ヴィントホルストの所有するテノール社が参加し、ビッグクラブ化を目指すという計画の下、高額でビッグネームを連れてくるという動きも強まっている。実際に冬には同ポジションのアルゼンチン代表 サンティアゴ アスカシバルがチームに加入し、2020年夏からはオリンピック リヨンから獲得した、これまた同ポジションのリュカ トゥザールがチームに加入する事が決定している。マイアーにとって厳しい状況がこれからも続く可能性は高いだろう。

しかし、このハイレベルなポジション争いにマイアーが勝利した時、彼のワールドクラスへの道は開けると言っても過言ではない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?