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東京地獄

東京が故郷で誇りをもつ人も多いだろうし、東京に移住して気に入っている人も多いだろう。
そういう人はきっと気分を害すると思うので読まないでください。


若い頃は東京に対して憧れというか、見栄のようなものがあって、少し無理をしてでも都会に住むのが割と普通だと思っていた。
遊ぶ場所も多いし、人も集まるし、退屈をしない刺激があった。
今もあまり変わらないのかもしれないけど、ドラマや映画もほとんどは東京の真ん中みたいな設定だった。

加齢のせいかもしれないが、中年になった今は東京に住みたいなんて全く思わない。むしろ、もっと距離をおきたいと思っている。
東京には多くの地獄があると気がついたから。
わかっていることばかりだろうけど、敢えて少しあげてみよう。

消費の地獄

東京はとにかく広告が大量だ。街全体が買え!買え!買え!と叫んでいるように感じる。どこに移動するのにも金が必要だし、どこで過ごすのにも金が必要だし、誰と会うのにも金が必要だ。身なりの綺麗な人が多いから、服にも金が必要だ。東京は確かにいろいろなものが集まっているけど、金がないと何もできない場所だ。

子供の地獄

東京には子供が元気に自然で遊べる場所が少ない。
エアコンの効いた部屋でゲームばかりで、メガネの子供が多く、もやしっ子ばかりだ。子供なのに元気がなく、生命力が低い。
小学校も高学年になると、多くの子どもたちは塾に通い、お受験の世界に放り込まれることになる。大して役に立たないお勉強の競争ごっこが大学に入る成人まで続くというのは異常ではないだろうか。

労働の地獄

東京を往復する通勤電車は地獄絵図だ。超満員の通勤電車に乗り込むには、人間としての尊厳を放棄して、家畜扱いされなくてはならない。
電車に身を投げる自殺者も多いし、痴漢などの犯罪者・異常者も多い。
人間は狭い場所に大量に集まるとストレスを感じる生き物で、酷いストレスを抱えた人間たちが集まれば、人間関係も良いわけがない。
会社は出世競争というより、足の引っ張り合いのような醜い世界になる。
地方より給料は高いかもしれないが、外食、飲み屋、ショッピングなどの誘惑が多いから、ストレス解消で散財してほとんど残らない。

土地の地獄

言うまでもないが、東京の不動産は日本で一番高い。
東京だけでなく、シンガポール、香港なども同様だが、狭い土地に多くの人が集まると、供給できる土地が少ないわけだから、必然的に高層ビルばかりになるし、価格は高騰する。
土や緑の少ない東京の夏はアスファルトジャングルの名の通り、不快極まりないし、人口密集地は感染症や災害のリスクが非常に高い。
東京の都心で先日の能登半島レベルの震災が起きたら、想像を絶する地獄の地となるだろう。埋立地や海抜の低い地域はどうにもならない。
自然は強く、都市は弱い。

貧困の地獄

最近の東京を見て思うのは、金持ちと貧乏人の二極化がすごいことだ。
一昔前まではそこまで感じなかったけど、今は明らかに違う。
都心の人気マンションが1億円を超える価格でも売れるということは、それだけ金持ちが集まっているのだろう。貧乏人は手が出るわけがない。
家賃もすごい。ワンルームの狭いマンションと地方郊外の3LDKのマンションの家賃が同じくらいだったりする。
しかし、東京と地方で労働者にそれだけの収入格差があるかと言えば、決してそうでもないだろう。
せいぜい1.x倍程度で、2倍も3倍も高いということなんてないはずだ。
東京で働いて東京で暮らすということは、それだけでハードモードになる。

少し書いてみただけで、改めてゲンナリしてしまった。
東京の利点ももちろんあるだろうけど、自分にはそれを遥かに上回る欠点の方が多い。

東京になんでも集まる時代は東京にいる利点があったけど、テクノロジーのおかげで、東京に依存しない生き方ができるようになってきた。
東京にいないと不可能なことはどんどん減ってきている時代だ。
それどころか、普通の人でも難なく海外で生きていけるようになってきた。
心も体も、場所に縛られず、もっともっと身軽になって自由になっていいのではないだろうか。

日本は伝統的な中央集権体制の国家だが、一極集中は国家としても非常に脆弱な形態だ。東京に大震災が起きたり、富士山の噴火が及んだりしたら、未曾有の大惨事で日本という国家は大きく傾くことだろう。
最近は文化庁が京都に移転するなどしているけど、気配はまだまだ感じない。災害が起きてからでは遅い。

長い間お世話になった東京をさんざん酷評してしまったけど、東京を全否定するつもりはない。ただ、明らかに飽和状態で、時代に合わなくなっているし、バランスを欠いた状態だと思う。
今の自分にとって、東京は生活する場所ではなく、たまに観光で遊びに行くのがちょうどいい。
何より東京の呪縛から解放されて自由を感じる。