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花束みたいな恋をした

見てきました。久しぶりにレビューが書きたくなる映画に出会えた喜びをつらつら書いていこうと思います。

2人のような恋愛を経験したわけでもないのに、共感してしまうのは何故だろうか。恋愛という枠を超えて人としての生き方に突き刺さるものがあった。誰しもが感じる刹那がそこにはあった。

特に2人の進路の流れは、大学生なら感じる葛藤、迷いが散りばめられていた。そして仕事に対する価値観のずれをきっかけに生き方さえもすれ違っていった。

ともあれ、2人が同じような価値観で同棲しようとなったからできた生活だったよね。麦なんて親から仕送りもらってたし。1人だと不安でお先真っ暗だけど、2人だったら大丈夫。みたいなところはあった。だからこそ、2人はその変化の中で出会うべき人だったのだと思う。

学生から社会人になる変化がリアルすぎて。特に麦の変わり方は典型的な変わり方。

最初は麦も夢を追って頑張ってた。でもお金がないと始まらないと言う現実から就職をする。そこから段々と「普通の価値観」になっていく。

かつてなりたくない人物に麦はなっていたし、それを絹に押し付けてた。もう最悪だった。でも本人は絹のためだと思っている。会社の人間関係がすべてだし、結婚に固執するところや、パズドラにしかハマれない麦。

でもそれって私たちなんだよね。だから突き刺さるんだ。

もちろん、社会人でも充実している人はたくさんいる。正社員が悪だなんて思ってない。でも学生の時に夢を持っていたのにも関わらず、それでは稼げないと気付き妥協して仕事を選んだ時になんとなく大事な何かが折れるんだ。それを埋めるよに、気づかないように、どんどん会社に社会に流されていく。

仕事をがんばっていれば、評価もされるし、お金は入るし誰も文句は言わない。一見いいことをしているように見える。

ともあれその正反対の生き方をしたのが絹。麦に影響され資格の勉強をし就職したが根っこの部分は社会に染まらず、絹のままだった。文学、文化をこよなく愛し、同僚にも染まらず、自分の生き方をしていた。

だから社会人として染まりそうでも疲れ切っても根っこの部分は忘れちゃいけないんだ。大切な何かはそのままにしておかないと空っぽの人間になる。それを守れるのは自分だけ。


私は恋愛というよりも、2人の生き方にとてもフォーカスして見入った。

魔女の宅急便の実写版を見ちゃいそうな人たちをターゲットにして、実際はサブカル映画。風刺映画ってところが本当に届けなきゃいけない人に届いてるイメージ。

今を生きる私たちへ、複雑さの中に、自分らしさを忘れず。

素敵な映画でした。

Rei


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