はじめてのデザイン[1]デザインを考える前に

1.デザインの役割と重要性について

①はじめに

デザインという言葉は、日々の暮らしの中で耳にする機会も多い

「デザイン」という言葉の意味や、「アート」との違い、そして
ビジネスにおけるデザインの重要性について理解する。

②デザインとは

ラテン語の`designare`が由来だと言われている。
意味「計画を記号に表す」「線を引く、描く」
アイデアを何らかの形として表現するとも言える

デザインとは、ヒトのために思考し、最適な形として表現すること。
つまり、誰かの課題を解決すること

1.課題の発見  (誰かの抱える課題とその背景を探る)
2.解決策の模索 (課題解決のための方法を試行錯誤する)
3.具現化・表現 (解決策を実際に形にして届ける)

デザインという言葉の意味は非常に広く、デザインの中でも更に
「UXデザイン」「グラフィックデザイン」などの細分化された定義がある

③デザインとアートの違い

デザインは課題解決        誰かの課題を解決することである
アートは自己表現または問題提起  作者による自己表現を主としている

デザインとアートが融合することによって
魅力的なものを生み出すこともできる

④なぜデザインが重要なのか

ビジネスにおいてデザインは重要性を増している

1.伝えたいことが伝わりやすくなる
その人の求めていることを理解し、その上でどんな機能や情報がどんな段階で必要なのか、といった設計をしていくことが大切

2.言葉で伝えられない情報を伝えられる
非言語はデザインを構成する重要な要素で、誠実さや楽しさ、
大らかさなどの感覚的な印象を見る人に感じてもらうことができる

3.ブランディングにつながる
前述の2つを満たし、誰かにとっての良いデザインを生み出し
続けることは、一貫性のあるブランドの形成につながる。
ブランドが形成されていくと、数ある中から価格やスペックで
選ばれるのではなく、「このブランドが好きだから」と選ばれるようになる

2.デザインの対象物とそれぞれの特性

①よくデザインされる対象物の種類

デザインできないものなど無く、世の中にある人工物は
すべてデザインする
ことができる

4つの分類
・紙媒体
・デジタル媒体
・アプリケーション
・シンボル

②紙媒体

名刺やチラシ、パンフレットなど、リアルの場において紙として
配布・設置されるもののこと

紙媒体の例
・名刺:会社や氏名、連絡先の提示
・チラシ:特定のキャンペーンの訴求(比較的短期の利用)
・パンフレット:商品や会社の概要の説明(比較的長期の利用)
・店頭POP:商品の補足説明や消費者の焚き付け

紙媒体の特性
・直接手に触れられる
・配布される際に、紙の質感や色味を自身で調整することができる

紙媒体の特徴
サイズが予め厳格である
・限られた範囲で情報を効果的に配置していくことが求められる

静止画なので、躍動感などを演出する際もいかに静止画で
表現するかを工夫することが大切

③デジタル媒体

Webサイトを始め、デジタルを介して利用者に情報を表示する媒体のこと
予め端末やサーバーにホスティングされている情報が表示される

デジタル媒体の例
・Webサイト(PC/スマホ):インターネット上での情報の提供
・デジタルサイネージ:特定の場所での電子機器による広告などの表示

デジタル媒体の特性
・アニメーションなどの表示ができる
・サイズが比較的自由である

デジタル媒体の特徴
・WebサイトだとJavaScriptやCSSを用いて動きを付けられる
・表示を一定期間で変えられる
・縦方向に縛りがない
・情報量をある程度自由に決めることができる

表示端末のスペックは多岐に渡るので、見る人によっては
「重い」「色が見にくい」などといったケースがあり、
ターゲットユーザー次第ではこの点を留意する必要がある

④アプリケーション

スマホアプリやWebアプリなど、デジタルの中でも利用者が特定の
目的のもとに機能を操作できるもの。単に情報を表示するだけではなく、
利用者の要求に対してサーバー側での処理が必要になる

アプリケーションの例
・スマホアプリ:スマホ上にダウンロードした上で動作するアプリ
・Webアプリ/Webサービス:Webブラウザ上で動作するアプリ
・デスクトップアプリ:WordやExcelのようにパソコン上で動作するアプリ

アプリケーションの特性
・双方向性のある機能がある

アプリケーションの特徴
・特定のコンテンツをお気に入りに登録できる
・会員登録ができる
・商品の購入・決済

⑤シンボル

ロゴやキャラクターなど、その名の通り何かの象徴として機能するもの
表したい情報や印象を抽象化したり昇華させたりして作られる

シンボルの例
・ロゴ(マーク/タイプ):商品やサービスの世界観を表すシンボル
・キャラクター:商品やサービスの世界観を表した登場人物
・アイコン:対象となるものを分かりやすく表した記号

シンボルの特性
・伝えたい意味合いが適度に抽象化・美化されている

シンボルの特徴
・企業のロゴであれば、その会社の理念や事業内容が込められた上で抽象化
・ご当地のゆるキャラであれば、街の特産物や生き物が抽象化、美化
・シンボルは比較的長い期間に渡って利用されることが多い
・ロゴやキャラクターは、レギュレーションが規定されているケースが多い

3.デザインの進め方

①デザイン思考

デザイナーがモノを生み出す過程で無意識に行っている思考の流れ
1.理解(Understand)
2.探索(Explore)
3.具現化(Materialize)

②実際のデザインの流れ

上記の流れは常に1から5へと進んでいくわけではない

各工程での完璧を追い求めることではなく、
最終的に完璧なものへと仕上げていくマインド

STEP1.整理
つくり始める前に「何のためにつくるのか」を整理する段階
・誰のためにつくるのか?
・どんな課題を解決するのか?
・どんなふうに役立つのか?
・どんなシーンで使われるのか?

STEP2.アイディエイト
目的に合うようどんな感じのものをつくれば良いのか想像を膨らませる段階
・見たり触ったりしてもらう人にどんな印象を持ってもらいたいのか?
・色はどうしようか?
・タイポグラフィはどんな感じがあっていそうか?

STEP3.プロトタイプ
STEP2で膨らませたアイデアを実際に形にする
・なんか違うとなる場合もある
・そこから更にアイデアが膨らんでいくこともある
・最初は思うようなものがつくれなくてヤキモキするかもしれない
・試行錯誤していくうちに次第にこれだというものが出来ていく
大切なのは、分からなくなってきたら一晩置いてみるなど、
制作物との程よい距離感を保ちつづけることです。

STEP4.テスト
形になってきたら、それが実際に目的を果たしているかを確かめる
・お客さん候補となる人に見たり触ったりしてもらう
・そのサービスを受けたくなるか人に見せて意見を聞いてみる
第三者としての客観的な意見をもらえ、新しいアイデアが浮かんで、
更なるブラッシュアップのヒントとなるかもしれない

STEP5.リリース
STEP4をもとにブラッシュアップして、自身が納得いけば完成
つくったものを世の中に出して、一人でも多くの人に触れてもらう

完成していろんな人に見てもらううちに、またブラッシュアップしたい
ところが出てくる
その想いを次のデザインに活かしてステップアップしていく

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