見出し画像

13匁「歌う繋がる○○○○ival」製作後記 #atgt2021lite

こんにちは、Renです。
この記事は、2021年GWに開催された「Twitterのあんたがたに挑戦します2021Lite」#atgt2021lite の13匁「歌う繋がる○○○○ival」の、製作noteっぽいものです。

もし万が一お待ちになってたかたがいらっしゃいましたら、遅くなりまして申し訳ありませんでした。また、振り返り配信でお話ししたことと多少かぶりますのでご承知おきください。
解説を併せてご覧いただけますと、より解りやすいかと思いますので、一応リンクを置いておきます。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1q5gTwikgC-byFJM016uaXapAzYNbvq3Dl7dPtOAU3AY/edit?usp=drivesdk

あ、長いです。5000字ちょっとあります。


1.作問を始めるまで

「音楽匁どうしよう」というところからのスタートでした。作れそうな人がいるから考えよう。Liteなので、できるだけ誰でも参加可能なものにしたい。
そう、音楽匁は人を選ぶ代表格なんですよ。(#atgm_2020 で19時間55分かかる問題を作った前科あり)
Lite煎の大きなコンセプトに、「(わからない人を)置いていかない」ということがあったため、そこをクリアできる音楽匁を作りたいと思いました。
自分の中で基準になっていたのは、2020年末のあんたがた #atgt2020 の音楽匁であった11匁「ヴェールに包まれた」(の前半部分)です。絶対音感が必要だけれど、音感のない人がそれを同時進行でサポートしながら解いていくことができる過程に、あんたがたサイドで取り組みながら鳥肌が立ちました。その先の緻密さと、様々な視点が必要な解き筋といい芸術性の高さといい(止まらないので略)
……あれが1つの完成形として、音楽匁に「Lite的に」アプローチするには、どうすればいいのだろうか?

それと、音楽匁の製作で毎回考えなければならないのが、「音源」と「著作権」です。
音源は単に、私にデジタル音源を作るスキルがないのと、聴かせるためのファイルの管理がめんど……苦手(#atgm_2020 でそのせいで問題画像の直前差し替えをやった前科あり)なので、やらなくて済むならそうしたいとわりと真剣に思っていました。
著作権については、せっかくなのでこの機会に簡単にまとめておきます。(もし間違いがあったら教えてください)
・著作権者が管理している楽曲を使うには許諾が必要
・クラシックなどで著作権が切れている楽曲でも、著作隣接権がある場合は既存音源をそのまま使うことはできない
・楽譜は、楽譜そのものの著作権とともに、楽曲の再現性がある場合には楽曲と同様に許諾が必要
・歌詞は、「引用」の範囲を越える場合は許諾が必要
(ちなみに「引用」の要件は、
・本文が「主」、引用文が「従」であること
・引用であることを明示すること
・引用元を明記すること)
とにかくこのあたりを精査しなければならない。あんたがたに違反させるわけにはいかないので。

さて、ここまでは前提です。

今回の「チャート」を思いついたのは、GM雑談の中で、我が音楽匁の相棒みのりさんが、以前ツイッターでバズってた「宙船」の歌詞チャートが好きって話してて、私が「あれメロディラインでもできるんじゃない?」って何の気なしに言ったら、「なにそれ面白そう!」って返ってきたからです。
それだけです。(この二人毎回ノリだけで製作始めてますね……)


2.チャートを作る

どんな問題にするかはさておき、まずは実際にチャートが組めるのかどうか試してみようと思います。
まず、複数の曲をチャートに落とし込むには音名ではなく階名(≒移動ド)で書かないとつらいので、つまり相対音感で解くようにすればいい、と思い立ちます。ちょうど別のGMから相対音感匁を作りたいとのアイディアもあったので、合流させることにしました。
真ん中の音が「ミソラ」になったことに深い理由はありません。漠然と私が「ミソラから始まる曲って多そうだな」と思ったからです。
後付けで「『あんたがたどこさ』の最後がミソラだから、そこから始まるってことにしよう」とも思いつきましたが、そのあとに「『あんたがたどこさ』は長調なのか短調なのか」という未決着な議論が存在し、階名でミソラなのかラドレなのか確定できないことがわかり破棄。
えー、この匁の作者は「すべてのものに意味を持たせる」のがそれはもう大好きでして、何か理由を付けたかったのですが、ここは保留。現地を決めるときにでも考えることにします。

次の作業は、ミソラで始まる曲の収集。記憶と検索と、世間から偶然聞こえてくる音を聴き取る耳を頼りに、見つけては二小節分を階名で音取りしてスプシにまとめていきます。
で、とりあえず30曲くらいリストアップした中で、できるだけ有名で、「かぶりそうなもの」を候補にチャートを書いてみる。

画像1

ご覧のとおり手書きです。
私に画像を作る技術がなかったため、とりあえず作ってから誰かに投げようと思ったんですね。
まずここで難航します。なぜなら私に数学的センスが足りないためです。選曲と、できるだけ線が交差しないようにトポロジー的に配置してく作業を同時に行うという。
書いては消してを繰り返しましたが、私の能力ではどうしても2曲は線が交差してしまいます。ならばその2曲を、色を変えて導線にしてしまえばいい、と発想転換。それが「夜に駆ける」と「Jupiter」でした。知名度とミソラ度(?)も申し分なく、さらになんとリスペクト匁と同じ曲を「入口」にできる。採用。
画像の製作は、結局私の意図を他の人に伝えきることができなくて、自分でやるしかないと。初めて使うGoogleスライドで他のGMに教えを乞いながらチャートを描き、IbisPaintでいじっていきました。


3.現地の導きかた

チャートを作りながら同時に、現地をどう導くかも検討しました。このチャートから導けるものといえば、メロディ、曲名、歌詞あたりです。そこからうまく文字を拾いたい。そしてできれば、「何かしら関連のある」現地にしたい。
このチャートの中央には「ミソラ」。何かミソラに関係のある現地は……というわけで、ここで候補におジャ魔女の聖地というのが出てきました。舞台が「美空市美空町」なんですよね。音楽とも関係するし、綺麗。
でもここでまた難航。メロディからそのまま拾えるw3wって、そらみみ、どしどし、そふぁ、みそ、あたりなんですけど、さすがに聖地にそれがあるという奇跡が起きない。聖地でなくても、魔法堂って名前のお店だとか、片っ端から調べたんですけど、遂に見つからず。
それであれこれ探していたときに、「そらみみ。なつまつり。はるかぜ」が日本の陸上に落ちたので、ここで妥協しました。(奇跡起こしたかったです) (あともしこれがLite煎ではなかったら、現地ではなくアカウント名やURLを出しましたね)
チャートの作成とは完全に同時進行です。「ぜ」を拾うために「ワールドドミネイション」を採用した、だとかありますので。
なお美空市以外にも味噌ラーメンのお店に「どしどし」がないかとか探しましたが、そちらも奇跡は起こりませんでした。ざんねん。


4.曲目リストを作る

当初はつける予定すらありませんでした。マジです。
でもさすがに、同じメロディ運びの曲が我らの知らないところに存在しないかどうかは確かめようがないので、リストを添付してその中から選ばせてみることにしました。チャートに採用したのが12曲なので、まぁなんとなくそれ以外に48曲はほしいです。タイトルをずらっと並べれば、歌詞をずらっと並べたリスペクト匁オマージュも伝わるかもしれない。(伝わったようで嬉しかったです!)
というわけでGM内で公募しました。求ム「ミソラ」。音楽を聴く人はたくさんいるけど音感がある人は多くないので、「○○が好きでよく聴く」「ミソラで始まる曲ない!?」「わからん」「アッハイ」という感じで、当たり前だけど好きな音楽や年代に偏りもあり、全然集まらない。もう道を歩きながらテレビや動画を見ながらどんな曲が流れてきても「これはソドレ」「これはミソソラ。ソ、邪魔!」と、もはや病気の域。家族にまで依頼して収集して、なんとか60数曲集めました。採用した曲とメロディラインが全く同じでリズムだけ違う曲はリストに入れられないので、ここからデバッグしながら削っていくことにします。
余談ですが、導線追加のためもあって、リストを「冒頭がミソラ」と「冒頭以外がミソラ」に分けました。当初はサビで分けるつもりでしたが、無理だとすぐに判明したのです。「夏祭り」がAメロミソラ、「Jupiter」のサビがどこなのか確定しづらい、など。掘ると深そうな話。


5.デバッグ手順

チャートができた。リスト候補もできた。次はデバッグです。
チャートのミスを指摘されて直すのはすぐだったんですけど、この匁でどうしても必要だった作業が「リストのうちチャートに採用されていない曲がチャートを辿れないことの確認」で、それには全曲の該当部分を階名で聴き取らなきゃいけなくて、ここでぶち当たったのが深刻な音感班不足。GMの中にできそうなのが私含めて2人しかいないから、半分ずつ分担などということが不可と判明。
独りで候補を全部聴いて書き出して、もう1人が全部聴いて別途書き出して、照合。これしかない。

……きっつ

「ボカロ速すぎて聴き取れないよ!」「これド? シ? 歌の素敵さと音程の確かさはイコールではない……」「公式音源見つからないんですけど!?(うたみたはセーフだけど正確性に欠けるかもしれないし、あんたがたが違法音源を聴くことを助長するわけにはいかない)」などと大騒ぎしながら、なんとか、なんとかやり遂げました。二度とやりたくないです。
次のデバッグは、リストの曲名/アーティスト名の正規表現を探すこと。これも物によっては公式が表記揺れしていて、大文字? 小文字? カタカナ? え、本人がどっちでもいいって言ってる? もっとこだわれよ!! といった不毛な作業でした。がんばりました。
リストにアーティスト名をつけたのは、同名曲の回避だけではなく、アレンジやバージョン違いによるミソラの位置変更を限定するためでもあります。解けるかよりも一意になるかを確認するのが大変なデバッグ作業。みのりさん、さやちぃ。さん、本当にありがとうございました。


6.完成

最終デバッグで白黒でも解けるように修正をしたり。Lite煎全体の方針として「手数を減らす」「導線を増やす」があったので、それを意識した問題になっているかにも気を配った覚えがあります。音感班が少なかったときにメタれるルートを入れたりもしました。

製作は以上です。

実際にどう解かれたかなんですが、これがもう、私の思い描いていた理想系でして。
音感班が階名で音取りしてスプシにドレミで書く→他の人たちがチャートをたどって曲名を埋めていく→それを見たまた別の人たちがw3wを推理する
という見事な役割分担がなされていて、作問者冥利につきました。
「音感班→他の人」という構図が、リスペクト匁の、「他の人→音感班(→プログラミング班→and more)」というのの裏返し(かつ手数を減らしたもの)となっていた、というのが、もうね。「お返事」とLite煎の方針を同時に達成できた瞬間で。
ここに来て初めて、やってよかった、って思いました。

皆様、本当にありがとうございました。


ここからは蛇足です。

Lite煎の開催前に皆様へのご案内として世に出した文章は、ツイート文も画像のものもほぼ全て私が書きました。もちろん他のGMの意見を汲んだ上で書いたのですけど、それによって巻き起こる賛否両論を見るたびに、想定内ではあるのに、「本当にこれでよかったのか」と、気持ちが揺れました。飛び出していって直接説明したいと何度思ったか(あんたがたはGMを伏せて行われるのでできない)。

そしたら、その思いは作問に込めるしかないじゃないですか。

全部込めました。
あんたがたに届いて、嬉しかったです。

現地に意味を持たせられなかったことだけが心残りです。
重ねる絶対音感(atgm)→あんたがたに重ねさせる(mini)→重ねない相対音感(Lite)→next ?
あるかさえわからない次の機会ですが、もしもご縁があれば、またおつきあいいただけたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?