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アフリカ縦断記(13)高地で低酸素状態に、登頂断念か。

前回の記事はこちら↓キリマンジャロ初日の内容です。

登山二日目

さぁ朝です。昨日は寝袋の居心地の悪さであまり睡眠は取れませんでした。しかし気を取り直して出発します。目的地は3750メートルのシラキャンプです。富士山と同じくらいの高さに滞在するため、二日目から高山病予防薬を飲みました。うまく効いてくれますように。。。

初日とくらべ、少し勾配な道が続きます。息を切らさないように少しずつ歩いていきました。

シラキャンプ(3750メートル)

途中で休憩を挟みつつ、5時間ほどでシラキャンプに到着しました!後に出発したポーターが今日もテントを作って待ってくれていました。若干高山病予防薬の副作用で手が痺れていましたが、高山病らしき問題はありません。さすが予防薬!

新たな問題

初日と同様、夕飯を食べ、ガイドと体調チェックをして夜を迎えます。咀嚼音のストレスを感じながらも、新たな問題が登場しました。それは臭いです。私もきっと汗をかいていたと思いますが、黒人のポーターの臭いがとってもきついです。何というか、本人が消えた後もその場に臭いが残ります。

あぁ、これが登山というものか。目を瞑って耐えるしかない。でもシャワーが浴びたい、、、

気休めの手洗い用水、三人で共有、、、

登山三日目

今日は高地順応の日です。まず、4600メートルのキャンプまで行き、その後3900メートルのキャンプにまで下降します。ここら辺から高山病の人が出てくるようです。私にとっても4000メートルは未知の領域、気を引き閉めなくては!

しかし、いきなり登竜門です。クライミングのような足の置く場の少ない崖を登っていきます。体全体を使って登るので、体力と酸素がどんどん奪われていきます。気がつけば息切れをして、頭が少しふらっとする非常に危険な場所でした。

そんな中、ウィリアムはものともせずひょいひょいと登っていきます。36歳の彼ができて22の僕ができないという現実に絶望しながら、予防薬の痺れと共に4時間ほど上ります。

ラバタワーキャンプ(4600メートル)

ガイドとの対立


かなり体力を消耗したものの、無事到着。ランチを食べて、少し休憩しようと思ったら、ポールがすぐに次のキャンプに向かうと言い出します。20分だけくれとお願いしても、だめだとの一点ばり。

実は、ポールはとにかく早くキャンプ場につかせようとするせっかちな人です。彼は道中でも休憩時間をなかなかくれず、自分からお願いをしてようやく数分の時間がもらえます。なぜこんなに早くすすむのか、不満を抱えつつ、次のキャンプに向かいます。

なお悪いことに、下りのペースはとても早かったです。スティックをクッション代わりに使わないと、膝が非常に痛くなります。しかし、ポールもハシムもスティックなしでアラレちゃんのように駆け下りていきます。同じ人間なのかしら。

「Dr.スランプ」の則巻アラレより

新たな問題その2

4000メートルに突入してからまた新たな問題が、それはオナラです。とにかくおならが止まらないのです。別に芋を食べたわけでも呼吸量が増えたわけでもありません。列を作って山を登るので、私の放屁が後ろの人に直接かかります。特にクライミングの時は後ろのポールの顔面の辺りにおならが直撃するため、非常におならが出しにくい環境にいました。

ごめんよ、ポール。だから早くキャンプに着きたいのかな。

結局3時間ほどで次のバランコキャンプに到着。悪臭と咀嚼音に耐えながら次の日に備えました。

登山四日目

さぁ四日目です。今日もふたつのキャンプを通ります。アタック(頂上に向かうこと)前最後の登山です。オナラをしながら山を登っていきます。

ここら辺から、シンプルに山に登ることに飽き始めていました。というのもスマートフォンは使えず、ひたすら単調な道を歩き続けるので、作業感が出てきたのです。もちろん口ではそういうものの、空気の薄さ、おならが常に出るストレスと闘っていたのでそんなことを考える余裕はなかったのですが、一番下山したいと思ったタイミングでした。

4時間の登山で、カランガキャンプに到着。

カランガキャンプ(3995メートル)

低酸素状態

一つ目のキャンプについて一休みしていた時、息切れの感覚が止まらないことに気づきます。
どうしてだろう。焦るほどに息切れの程度がどんどん激しくなっていきました。
落ち着け、まずは深呼吸だ。
でも深呼吸をしようとする前に息切れのための呼吸が必要でできない。
苦しい。
どうしよう。

そこで、ポールが登場。彼のリズムに合わせて呼吸を続け、何とか平常時に戻すことができました。心配した彼が、私の血中酸素濃度を調べます。何も言わずにハサムにスワヒリ語で喋り出しました。一体何が起きたんだろう。
すると、彼が

「酸素濃度が60%しかない。これは良くない。」

通常、血液中の酸素濃度はぼぼ100%であり、高地に行くほど濃度は下がります。しかし、75%を切ると危険なラインで、酸素が十分に足りていないため体が異常起こし始めるそうです。

「次のキャンプ場で夕飯を取り、そこでも数値が低いなら、登頂は諦める」

ここにきて、自分の状態を理解します。
20万円近く払って、こんなに辛い思いをしているのに、登頂直前に諦める?そんなこと絶対に許せない。何が何でも登頂してみせる。

自分にできるといい聞かせ、徹底的に呼吸法を意識して山を登りました。一切の余計な私語を慎み、酸素を体に取り入れることに執着。少しでも大きな動きが必要な場所はなるべく小さく歩幅をとり、酸素を使わないようにします。鼻水で鼻が塞がれないように、こまめに鼻をかみました。

そんな努力を神様は見ていたのか、最後のバフルキャンプでは酸素濃度が80%まで回復していました。(これは回復していたのかは正直わかりませんが、対症療法的に彼を説得させることができたのが大きかったです。)

バフルキャンプ(4673メートル)最後のキャンプ

どんな苦境でも工夫次第では乗り越えることができる。そんな自信を噛み締めながら最後の登頂に向けて最終調整をしました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。次回はついに登頂編です。


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