山に行きたい。

登山といかなくても、ただ歩きたい。


小さい時に山菜やキノコを採りに山によく行った記憶は楽しかった想い出とゲーム感覚で探しあてた興奮は今でも体の奥で覚えている。


結婚と同時に山の近くで住む事になり、車で10分も走らせればいつでも山に行けた。


子供達が小さかった時は、とにかくよく連れていった。

大自然は私の気分転換にもなり、子供達もおおはしゃぎで遊び疲れた後はとにかくご機嫌だった。


春は、私は山菜採り。一応小さいながらも観光地だったので私たちが出掛ける頃にはほとんど採られた後。それでも満足だった。

子供達は山菜より生き物に夢中だった。カナヘビにトカゲ、ヘビ。とにかく色んな所を歩いては探し、いそうな所へはぐんぐんと入っていく逞しさをもっていた。

見つけたカナヘビは観察をしたり、触ったりで帰るまで大事に虫かごや袋に入れてはよく連れて帰りたいと駄々をこねられた。


夏は沢で水遊びや魚採り。

何回、行きたい。行きたい。連れてって。連れてって。とせがまれた事か。


とにかく外に連れ出せば私も自然の中でぼーっと出来、子供達はきゃっきゃきゃっきゃと遊んでいた。


GWに入る前、仕事帰りに駐車場でベテランバツイチ姉さんに呼び止められた。高校生の息子さんが1人いる姉さん。

課が違うので話す機会はあまりない。体調を崩しやすいのと、言いたい事は言う性格からあまりよく思っていない人が多いらしい。


私はその方の優しい話し方と優しい気遣いが職場の好きな人の1人だ。


最近のたわいもない話をして、GWはどうするの?って聞かれた。


私が“山とか行きたいんですよね。でも娘がついて来てくれるか…。部活もあるだろうし。後はずっと家で映画かYouTubeみて、ゴロゴロしてますよ。”って話したら。


“分かる分かる。YouTube面白いもんね。私もどこも出掛けないからデザート買いだめしたわ。”って。


“最高じゃないですか。”


夕方の風の強いなか、駐車場でずっと話してた。

最後に彼女は“風の強いなか呼び止めて話かけてごめんね”なんて言われた。

“全然大丈夫ですよ。私も色々話せて楽しかったです。どうせ家に帰ったって話し相手は子供しかいませんから。たまには大人の人と話したいです。”

“分かる分かる。ほんと、そうなのよねぇ。”


たまにふと、人恋しくなったり人肌恋しくなったりする。


そんな時に優しい人に出会うと嬉しくなる。


かと言って誰でもいいわけじゃない。


同じ課の人でも息子の事は詳しくは言わないし言えない。


結局、娘には断られた。


独身の時はGWはいつも仕事だった。せいぜい休めて1日。

今は、こんな長い休みなんて要らないと贅沢な事を思ってしまう自分がいる。

まだ仕事をしていた方が気も紛れる。

最終日、人と会う約束をした。それだけが唯一の予定となって楽しみ。


なんだか、せっかくの長い休み。もったいない感じもするが無理に出掛けてもお金を遣うだけだし。このご時世無理な外出も気がひける。

たまには、そんな時もある。そんな年もある。で今年は過ごす。


来年はどんな年になるんだろう。

今年よりは予定が埋まってるといいなぁ。と願うばかりです。