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紫苑S 馬券予想


紫苑Sについて

1.コース歴史

紫苑Sは2000年に秋華賞(当時は3歳牝馬限定のOP特別)のトライアルレースとして設立された。創設以来中山競馬場で行われており、当初は1800mであったが2007年に200m延長されて本番と同じく2000mで争われることになった。その後2016年にG3、更に今年からG2へ昇格され格式の高い秋華賞へのトライアルレースとして箔がつくようになった。上位3頭に秋華賞への遊走出走権が与えられ、ここで好走した競走馬が本番の有力候補の1頭に名が挙がることが多い。

2.コース内容

コースの概略図

レースは中山(芝・右)内回り2000mコースで行われる。直線入り口からスタートし内回りコースを1周するような、ローカル競馬場の芝2000mと類似したコース形態をもつ。特徴的な違いとしては直線に2.4mの急坂があること。そのためスタートから第1コーナーまでの400mを坂を登りながら走り、かつポジション争いを行う必要がある。コーナーを通過して向こう正面で今度は急坂を下りつつ走る必要がある。その後平坦なコーナーを回り310mの最終直線で再び急坂を登りつつゴールを目指す。2度の急坂上り、急下りによるペース緩急への対応、小回りコーナーというコースの特性上、スタミナと器用さ、坂に負けないパワーが求められるレースになることが多い。また最終直線が短いため先行が有利に思われがちだが、向こう正面でペースの緩急が変化しやすい状況から適切なペースで運ばないと最終直線では脚色が鈍り差し馬の餌食になりやすいことには注意が必要である。


展開予想・印

1.展開について

大雨により前日時点で不良馬場状態に。当日は晴れ予報なので重賞までにある程度乾くと言えど、恐らく稍重~重想定で考えるのが妥当だろう。また中山の馬場は内側から乾き始めやすいので、内外で馬場の重さが大きく異なる可能性も考えられる。独特な開幕週の馬場故に、内枠の実力馬と小回り巧者の逃げ・先行馬に有利に働くと予想する。
展開としては前へ行く競走馬が多いが、いずれにしても重い馬場ではペースが流れる可能性は低そう。ただし前目で争い続けると息を入れる暇がないタフな競馬になる可能性は頭に入れておきたい。その場合直線で前目の馬は崩れ始め、その隙をパワータイプの差し勢に展開が向くはず。ただし開幕週なので後方過ぎると届かないため、中段好位を追走できる能力は欲しい。


2.印

ヒップホウルソウル なだめて内枠でロスの無い競馬を
モリアーナ     実力は十分、距離がもてばここでも通用
エミュー      下げずに中段で運ぶことが出来れば
キミノナハマリア  重い馬場で時計がかかるようなら
☆1グランベルナデット キレはあるがパワーが問われるとどうか
☆2ミタマ       内で控えて直線で弾ければ
☆3マーゴットミニモ  逃げてハナを取れれば面白い1頭

出走馬講評

1.各馬の総合評価付け

A+ ヒップホウルソウル
A    エミューグランベルナデット
B+ モリアーナ
B    ミタマキミノナハマリアソレイユヴィータ、アップトゥミー
C+ ミシシッピテソーロフルールマーゴットミニモダルエムサラーム 
C    フィールザオーラニシノコウフクシランケドアマイ
D  ワイズゴールド

※総合的に今回の舞台で有力な競走馬をランク付けした一種の指標です。「過去成績」、「馬場・展開適正」、「コース適正」をもとに評価しています。高ランク=印候補ではありません。

2.各馬講評

1.ミタマ (評価B)
前走は距離延長の試みであったが、直線で後方から鋭い脚を魅せて差し切り勝ち。前が残りそうな展開で最後方から撫で切った走りはポテンシャルを素直に評価できると考えられる。1勝馬だが前走の勝ち方、成長したハーツクライ産駒という点を考慮すると今後への期待はかなり評価できそう。今回は位置取りが重要になりそうなので、ある程度中段には位置をキープして欲しいところ。中段で運び直線で末脚を活かせればクラシック組と謙遜ない走りが出来るはず。馬場が乾きやすい最内なら実力差をごまかせる走りが期待できそう。

2.モリアーナ (評価B+)
前走のNHKマイルCでは後方からの競馬となり直線で末脚を発揮するも、進路取りに手間を取り若干のごたつきもあり6着と惜敗。2000mは初の試みであり、本馬も距離問題が提唱される1頭である。過去に洋芝の1800mを勝ち切っているところを考慮すると、2000mへの対応は可能そうだが、実力を発揮させたいならやはりマイルがベストというのが伺える。実力の高さは評価できるので、後は鞍上がどのように本馬を導くかに委ねられそう。馬場が渋ることに関しては対応できそうなので、内枠を活かしてロスの無い競馬が出来れば距離問題もなんとかなりそう。今回は位置取りを下げないで欲しいところ。

3.ヒップホウルソウル (評価A+)
前走のオークスでは直線で懸命に追うも最後は差されて6着と惜しくも掲示板を外す結果に。直線で脚が鈍った原因は距離が考えられ、本馬にとって2400は長かったと考えるのが妥当だろう。故に今回の距離短縮はいい方向で影響しそう。またキタサンブラック産駒にありがちな間隔を詰めたことによる疲労も前走はある程度影響してそうなので、休み明けの今回はその点でも期待できそう。フラワーCの走りを見るに渋った馬場も対応できそうなので総合的に展開は向きそうな予感。近走はスタートにあまり恵まれていないので今回こそスムーズなスタートを切ることが出来れば実力通りの走りをしてくれそう。総合的に今回のレース適性が1番あると考えている。

4.ワイズゴールド(地) (評価D)
地方馬枠を活かしての参戦。芝は勿論、中央での走りは初めてであり初めてだらけの条件でどこまで中央馬に対抗できるか。ファンなら買うべき。

5.キミノナハマリア (評価B)
前走は斤量差を活かし3番手で競馬を進めるも、前で競り合っていた2頭に最後は追い抜かれての3着。古馬相手とはいえ、展開と斤量差を考慮すれば連対して賞金を積んでおきたかった1戦だろう。スタートに癖はないのですんなり先行できる点は利点だが、世代戦でも重賞レベルになると実力が少し物足りなく感じるのが現状。夏に一度使っているのもあり他馬より上澄みを見込めそうにないのも惜しく感じる。ただ馬場が渋った中山のハービンジャー産駒は実力以上の好走を期待できるほど相性がいい傾向があり、1勝クラスだが時計が優秀な点(2000m,2:01.0)を考慮すると本馬も中山に対するポテンシャルは秘めてそうなのでそこは素直に評価したい。雨が降って馬場が渋ることは本馬にとってかなり有利に働きそう。開幕週なので2~3番手で競馬をすればそのまま突き抜ける、なんてこともあり得そう。鞍上に上手く誘導してもらえれば。

6.フィールザオーラ (評価C)
前走は2週目の福島で景斤量を活かしての逃げ切り勝ち。夏競馬でよくみられる陣営の戦略で勝ち取った1着だった。しかしその反動で今回は前走比4kg増での出走となり、逃げを打つには厳しい条件となった。同また型の脚質が多い点も自身の競馬を徹底し辛いことが想定され、厳しい戦いになりそう。ただ開幕週なので前残り決着の可能性も捨てきれないため、そこを踏まえて馬券に組み込むか否かはよく考えたいところ。

7.ミシシッピテソーロ (評価C+)
前走は中段で競馬を進め、直線で差し切って勝利。32.7秒と直線が平たんであることを考慮しても早い上がりを使って勝ち切ったことは素直に評価できる。ただ本馬にとって2000mは長いのでそこをどう対応するかが好走の鍵となる。成績を見るに1800mで恐らく実力を出し切れる限界の距離であり、それ以上長いと脚の持続が持たず最後に差される可能性が高い。距離不安を覆すような他の要素も見つけられないことからも今回は見送りたい。また東井条件のマイル戦で実力の高さを見せて貰いたいところ。

8.ニシノコウフク (評価C)
前走は番手で積極的に競馬を進めたが、直線で勢いをなくし13着という結果に。行きっぷりを急になくした原因は定かではないが、他馬にせっつかれるとやる気をなくす気性面は少し関係してそうな気がする。過去成績をみると中山の舞台適正はありそうなので、他馬に包まれない外枠寄りで競馬が出来れば前走のからの巻き返しを期待できるかも。ただ2000mは少し本馬にとって長いかもしれないので、その点を考えるとロスなく競馬が出来そうな内枠が欲しい気もするという矛盾が発生してしまう。取捨選択が難しい1頭。

9.フルール (評価C+)
前走は中段から競馬を運びコーナーで外に上手く出して直線で突き抜け差し切り勝ち。斤量差はあれど自身の持ち味で古馬相手に引けを取らなかった点は評価できる。相手関係は強くなるが前走の経験を活かすことが出来れば好走できてもおかしくなさそう。後は中山コースと渋った馬場にどれだけ対応することが出来るかが肝。ただ調教を見ると少し物足りなさを感じるので当日の気配を良く確認しておきたいところ。

10.ソレイユヴィータ (評価B)
前走は番手追走で直線抜け出しで勝利し、3連勝を飾った。新馬戦以降順調に力をつけており前走は馬体重の増加からも休養を経て馬帯が成長した雰囲気を感じさせる。小倉と福島で成績を収めている点からも小回りコーナーを上手く回る器用さは持ち合わせていそうだが、問題は中山の急坂を超えるスタミナを持ち合わせているかどうかだが、走ってみないと分からない。3連勝できる実力はあるので展開次第ではクラシック経験組に勝る走りも期待できるかもしれない。

11.マーゴットミニモ (評価C+)
前走の昇級戦ではいつも通りハナを切るも、最終コーナーで後続に突っつかれ直線で交わされての5着。本来は抽選次第だったが辞退が出たため「ここへの参戦が実現した。芝は新馬戦振りだが全く走れないわけじゃないので大きな問題でなさそう。良馬場なら追走に苦労して他馬に後れを取りそうだが、馬場が荒れてダート馬のパワーとスタミナが光る展開になれば話は別。未勝利時代は中山で何度の走っているため中山の急坂は芝でも乗り越えられそう。ハナをとるなら馬場状態を利用して他馬よりも粘りを見せてくれるかもしれない。開幕週を意識した積極的な競馬をして欲しい。

12.アマイ (評価C)
前走は破格の斤量51kgで逃げ切り勝ち。夏競馬で以前より力を付けてきた印象はあるので今回は世代の上澄みたちとどこまでしのぎを削ることが出来るか。小回りの適正はありそうだが2度の急坂を登るスタミナに関しては多少の懸念が残る。スタートがはまりハナを切ることが出来れば馬場の恩恵を受けて前で粘ることも出来るかもしれない。

13.グランベルナデット (評価A)
前走の忘れな草賞(L)では番手で競馬を進め、直線で差し切り勝ちを収めた。その後は調整の関係でオークスへは向かわず5か月の休養を経て今回へ参戦。忘れな草賞の持ちタイムやクイーンCの出遅れても5着に食い込む走りなどを考慮すると、本馬は相当のポテンシャルを秘めていると考えられる。また中山の持ちタイムも未勝利戦ながらも優秀であり、場所を問わず柔軟な走りが出来るのが本馬の魅力ともいえる。懸念点を上げるとすれば出遅れと渋った馬場で従来の走りが出来るかどうかの判断である。ストライドの大きい走り方をしているのでどちらかと言えば良馬場で走りたい方だろう。枠も外枠で荒れた馬場を多く走らされるのもあまり喜ばしくはない。脚のキレよりもパワーを問われる展開になった時にどこまで対応できるかが懸念される。ただポテンシャルの高さは相当なので最後のクラシックへ向けていい走りを期待したい。

14.シランケド (評価C)
前走は出遅れて最後方からの競馬となり、直線で後方から追い込み一気で3着に食い込んだ。これまで全て出遅れしかしてなく、スタートに難がありまくりな印象を受ける。加えて気性も悪いため直線でしかまともに競馬が出来ないがそれでもここまでたどり着けているのはポテンシャルがあるからなのか。前走に続き距離を延長させるが2000m自体は対応できそう。ただ客観的な評価は「1勝馬クラス」なので好走するには展開の助けは必要不可欠だろう。恐らく今回も今までと同じような競馬になりそうなので、相手関係が強まる重賞の舞台でどこまで自分の競馬が通用するかがカギとなる。展開が上手くはハマれば激走できるタイプなので、ギャンブル要素で買うのは面白いかも。

15.エミュー (評価A)
前走のオークスでは終始後方で13着。フラワーCからの詰めたローテによる疲労や距離問題が重なった結果なのでそこまで悲観する必要はない。これまでの勝ち鞍を見ても舞台適正は十分と考えていいはず。また今回は休養を挟み馬帯の成長が見込まれるので、ここで結果を残し秋華賞へ向けていい走りを期待したい。開幕週なので後方過ぎると差し損ねることが不安だが、行き脚があまりなく、枠の関係上控えようとする動きが想定されそう。そうなると鞍上のお決まりである捲りが高確率で見られそうだが、距離が距離なので最後にガス欠を起こしそうなのは否めない。荒れ馬場実績があるのは心強いが、ダメージが大きいため常にあの走りを出来るわけではないのは念頭に置いた方がよさそう。実力はあるが、差し損ねの可能性も考慮して評価したい。

16.アップトゥミー (評価B)
前走はそれまで減らし続けていた体重を戻し、調子が上向いた状態で挑み2勝目を掴んだ。スタートが悪く出遅れがちであり、今までは小頭数+巣のポテンシャルの高さでカバーできていたが、重賞で出遅れるとこれまで以上に巻き返しが難しくなることが懸念点。血統的にスタミナを問われる展開で実力を発揮できそうなので開幕週だが天気次第では有利な展開を迎えられそう。出遅れなければ期待できる1頭。外枠だが積極的に前目へつける競馬をして欲しいところ。

17.ダルエスサラーム (評価C+)
前走は新馬戦振りの1400m戦に挑んだが、スタートでバランスを欠き、追走に苦労し終始後方のまま15着という結果に。恐らく距離適性はダイワメジャー産駒によくみられるマイルよりであり、2000mも本馬にとっては適性条件とは言い難い気がする。過去の競馬ではチューリップ賞のような好位追走の競馬が一番強い競馬をしているように思えるので、今回もそれが出来れば好走の可能性も生まれそう。ただやっぱりダイワメジャー産駒の2000mは相応のポテンシャルがないと厳しい印象は拭えないので、いい意味で期待を裏切るような走りが出来れば。


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