見出し画像

クイーンS 馬券予想


レース概要

・クイーンSはどんなレース?

3歳以上牝馬限定の定量戦。牝馬競走体系が整備された2000年以降は同条件でレースが行われているが、かつては3歳牝馬限定の世代戦だったり、距離が2000mだったり、中山や東京、新潟と条件や場所を幾度も変えた過去がある歴史が長いレースの1つ。現在の立ち位置としてはエリザベス女王杯秋華賞などの秋の本戦を目標とした牝馬達が賞金加算や力試しのために奮闘するレースである。

・クイーンSのコースについて


クイーンSのコーズ簡略図

コースは札幌(右)1800mで行われる。スタートから1コーナーまでが180mと短いため、前半のペースは速くなりにくい傾向にある。ローカル競馬場なためか小回りなコースと勘違いされやすいが、札幌のコーナーは大回りであり、極端にスピードが落ちるわけではないため、コーナーを回る道中でも隊列争いが行われることが多い。また全周において平坦なコースであるため、明確な仕掛けどころというのが不明瞭であるのも相まって、3コーナー付近から勝負所までの動きが重要とされ、ここは騎手の手腕が大きく影響する。最終直線は266mと短く、末脚に自信がある場合でもやはりある程度の位置取りは必要とされる。洋芝に適性がある馬や加速しながらコーナーを回ることが出来る器用な馬を見極めることが重要だと考えられる。

データから見るクイーンS

・出走馬のローテーションは?

過去5年の傾向を見ると、前走にVM(G1)、マーメイドS等の牝馬限定G3戦を走った馬が比較的多く出走している。特に、前走VM組の成績がすごく、なんと過去5年全てにおいて1頭以上馬券内に入着している。更に言えばVMでは2桁着順と大敗した競走馬が個の重賞で好走する割合が高い傾向にあり、これはG1というレベルの高い競争の経験が活かされ、G1→G3と相手関係が大きく下がることにも起因しているのだと考えられる。従って前走の着順よりも、過去にどの程度のメンバーと鎬を削ってきたのかを考慮することが大事かもしれない。

・ハンデ斤量の3歳は鉄板?

実はこのレースに出走する3歳馬の数はあまり多くない。(過去10年で出走したのはわずか9頭。)理由としてクラシックの秋華賞(G1)を目指す3歳牝馬の多くは、夏に休養して体作りに専念する選択を取り、この時期にレースを行う有力馬はほとんどいないからだと考えられる。また、3歳の成績もお世辞にも良いとは言えず、過去10年で馬券内に入ったのは2017年のアエロリット(1着)のみ。該当馬はその後も牡馬混合の古馬戦線で十分に戦えていることから、この時期からすでに古馬と同等以上の実力を有していたと考えられる。逆を言えば、世代レベルにもよるがこの時期の三歳と古馬の実力差はかなり差があると考えられ、相当の実力を持ち合わせていないとハンデ斤量でも太刀打ちできない厳しさがある。今年の三歳においても、現時点で今後古馬重賞でアエロリット程に活躍できるポテンシャルがあると見込める馬でないと、ハンデ込みでも強くは買えないだろうという印象を受ける。実力以外の要素で人気する3歳馬はまず疑った方がいいだろう。

・好走する年齢・枠・斤量などは?

過去5年の入着馬を以下表にまとめる。

過去のクイーンS簡易結果表 (年齢 斤量)

この結果から推測すると、充実期である4歳や5歳の好走が多いイメージが見受けられるが、実力があれば高齢馬でも十分戦える印象を受ける。また、「テルツェット」「サトノセシル」「スカーレットカラー」のようにリピーターの好走が目立つこともわかる。このことから、やはり実力とコース適正の両方を持ち合わせる馬が良績を残せるのだと考えられる。特に過去に同重賞への出走経験がある馬は注目した方がいいだろう。
斤量は特に気にするほどでもないが、56kgまでが適正ラインと考える。それ以上は牝馬にとって苦しい条件となるため、57kg以上を背負う場合は少し割り引いた方がいいかもしれない。
枠に関しては基本度の位置からも勝負できるが、強いて言うなら馬場の良い場所を通りつつ、最終直線で好位置が取りやすくなる内枠が有利になりやすい傾向にあるが、外枠でも後半の動き方次第でどうとでもなる印象を受ける。ただし、逃げ・先行馬に関してはスタートから1コーナーまでが短いというコースの特性上、外枠の場合は位置取りに余計に脚を使ってしまい後半が苦しくなる、といった展開面の不利を受ける可能性があるため、外枠に入った出走馬の脚質は要チェックである。

過去にクイーンSへの出走経験がある競走馬
サトノセシル(2021年 3着、2022年 2着)
ルビーカサブランカ(2022年 4着)

出走馬講評

1.コスタボニータ
前走のメイSでは好位につけることが出来たが直線で伸びを欠き6着。前目有利の馬場ではあったが後続の追い上げに耐えての6着はそこそこ評価できる印象。4歳になってからの戦績もよく今が充実期だと考えられる。緩んだペースの中で長く脚を使い前目で粘る競馬になれば十分チャンスはあると見ている。枠や相手関係から考慮してもここは狙い目だと考えられる。

2.ウインピクシス
休養明けで三度目の重賞に挑戦。年明けにOP入りして以降、重賞に果敢に挑むが直線で垂れてしまい、現状力関係は一枚劣る印象がある。逃げを得意としているがスタートでいつもやや遅れるのがネックであり、気持ちよく逃げれないと実力は十分に出し切れないのが難点。好走するには展開や斤量などの何かしらの条件が必要だと考えられ、定量戦の今回はあまり向かなそうに見える。幸いにも内枠なのですんなりと逃げることは可能だが、そこからどうなるかは走っていないと分からない。しかも体重が激減してるとの噂も…。色々考えて今回は見送りで。

3.ライトクオンタム
前走はオークスでハナを切ったが直線前にバテてしまい17着と大敗。この馬に関しては実力以前に、「鞍上が逃げの選択肢を取るか否か」という点に非常に悩まされる。逃げるならば斤量差を活かして馬券まで粘ることも可能だが、「競馬を教える」などの理由で控えた場合はそうはいかないだろう。3歳とまだ若駒なため、伝説の武豊JKならやりかねない。元々3歳馬が好走するイメージはあまりなく、人気するなら嫌いたいので今回は教育に徹すると踏んで個人的には買わない選択を取る予定。見送りで。
(余談だがレース当日の7/30は父ディープインパクトの命日でもあるので、オカルト等を信じる人は買ってもいいかもしれない)

4.ルビーカサブランカ
前走の函館記念(G3)では好位を追走し直線で末脚を発揮しての2着でありまさにこの馬のしたいことが出来た競馬であった。これまで牝馬限定戦は多く経験しており、しっかりと成績も収めているため今回の相手関係では十分戦えるはず。加えて斤量や鞍上、去年も同重賞で4着とまさに買いたい要素が多い馬だが、去年とはローテが異なり中1週での挑戦というのが懸念点と考えられる。夏の期間に今回で既に3戦目であり、正直上澄みは残ってないどころか、疲労がたまっている可能性の方が問題視出来てしまう。牝馬は気が難しい場合が多く、何か問題があれば走らなくなることが多発するため間隔を詰めたこの馬は実績があっても買いにくい。悩ましいが見送りで。

6.ローゼライト
前走はOP入りして早速の重賞挑戦だったが、ハンデを与えられても実力の差を見せつけられ13着と大敗。まだOP以上の経験値が乏しく、好走するには何か有利な条件が必要といった所。札幌でも勝ち上がっているので洋芝の適性はあると考えられるが、もう1つパンチが欲しい。後2,3戦は「慣れ」が必要と見る。見送りで。

7.ドゥーラ
前走のオークスでは直線で末脚を魅せての3着。2400に適性があると考える人は少なかったため、13人気と波乱を魅せたレースだった。同コースである札幌2歳Sの勝ち馬であるため洋芝の適正はあるとみていい。加えて3歳の51kgという魅力的な条件なため人気は避けられないだろう。だがオークスで好走したこともあり、マイル適正は実はあまりないのではないかという疑問が残る。昔は追走できていたが成長してできなくなったというケースはよくあり、今のこの馬にとっては2000以上の距離が必要ではないかと考えられる。追走に苦労し位置取りが後ろになった場合、差し損ねという可能性も多いにある。クラシックで成績を残せる以上字強くは評価できるが、3歳の人気馬は疑うに越したことはない。条件的にも積極的には狙い辛く感じるためここは強気の見送りで。

8.キタウイング(穴馬候補)
前走は後方のまま何もできず15着。この馬は基本末脚を活かした追い込みで勝負しており、それが上手くハマって世代戦G3を2勝した過去を持つ。ドゥーラと似たようなイメージがあるが、マイル舞台においての末脚勝負はこの馬の方が有利だと考えられる。しかし位置取りは後方になるのが予想できる以上、展開の助けが必要となるため、思い印を打つことは出来ない。でも配当妙味を考えるとドゥーラを買うよりこっちを買いたいと個人的には思う。穴候補で。

9.グランスラムアスク
前走の弥彦Sで勝利し晴れてOP入り。当然初の重賞挑戦となるためここ格上挑戦としてどこまでやれるか見る必要がある。右回りだと戦績が落ちているのが見られるため、今回もその影響を少なからず受けるだろう。また勝ち星を挙げたときは大体逃げているが、行き脚が付かない馬なので他に逃げ馬がいるレースではハナを取れず自分の競馬が出来ない点も影響するだろう。買わないのが無難な選択。

13.ビジン
前走はハンデを活かし前目で勝負をしたが直線で後続に差されての6着。瞬発力勝負は出来ないため、スタミナを活かした持続力勝負に持ち込む必要がある。可能性があるとしたら大外でも強引にハナをとり、自らがペースを上げて後続に脚を溜めさせない展開を作り出せた時だろう。ただ逃げたいメンバーが他にもいるため最悪前が総崩れする可能性も否めないが、こればっかりは走ってみないと分からない。この馬が優位に残る展開があまり見えないので今回は見送り。

14.トーセンローリエ
クラシック戦線の桜花賞(G1)で18着と大敗したが、これは大外から強引にハナを取った結果なので度外視できる。そして休養明けで今回挑むわけだがまさかの大外。3歳で競馬の引き出しが少な現在は逃げや番手でしか好走できないので、この枠は試練の枠となった。いっそ斤量を活かして控えた競馬を試すのも面白いがそれで馬券内に入れるほど古馬戦は甘くないだろう。今回は見送りで。

予想・買い目

<レース展開>

逃げ馬の候補が「ウインピクシス」、「グランスラムアスク」、「ビジン」、「トーセンローリエ」と多く、どの馬も逃げに拘る可能性をもつため、スタート~1コーナー道中で前目の熾烈な位置争いが起こると予想。そうなるとペースはやや上がり後ろにもチャンスがある展開になることを狙いたい。よって馬券は古馬戦の流れるペース経験のある実績馬を中心に組んでいきたいと考える。また斤量は魅力的だが、現状の世代レベルを考慮し今回は3歳勢をやや軽視する選択をとる。

<印・買い目>

◎ : 12.ミスニューヨーク
前走の福島牝馬Sでは好走時と勝手が違う競馬をしたため11着と大敗。今回は実績のあるM.デムーロ騎手に戻り改めてといったところ。この馬の強みは鞍上の捲りに対応した走りが出来ること、すなわちコーナーで加速することが出来る点であり、まさに今回のような舞台では好走できる可能性は十分に考えられる。また1800mだと成績が落ちるが決してダメというわけではなく、メンバー関係次第では馬券内には入るチャンスはある。小回りよりも大回りなコースの方が捲りに適していると思うので、枠を活かし大胆な捲り競馬をしてもらいたい。

〇 : 11.ジネストラ
前走はOP入り後いきなりの重賞挑戦だったが4着と初戦としては大健闘な結果であり、更に差しで重賞でここまでやれたことは大きな収穫であるとも感じる。札幌での価値も経験しているため洋芝の適正もある程度はあると見れるが、1800mにどう対応するかが今回のカギだろう。前走は位置取りの差で惜しくも4着だが最後まで伸びていたので経験さえ積めば距離はこなせると推測できる。今回は外目の枠なので無理に先行せず前走のような差しを意識した競馬を行えば十分に可能性はあると考えている。

▲ : 10.イズジョーノキセキ
前走のVMでは出遅れて後方からのスタートとなり、追走に一杯でそのまま15着と大敗。このレースのデータ傾向からもわかる通り、前走で早いペースを経験した馬が多く好走している。この馬はまさにその条件に当てはまると考えられる。距離も好走した府中牝馬Sや有馬記念のような非婚間距離の方がこの馬の走るペースに合っていると判断できる。懸念点は57kgというトップハンデを背負うことがどう影響するかが挙げられる。他にも転厩しているので環境が大きく変わった中でどこまで仕上げられているかも考える必要がある。実力はメンバー随一なので印はつけるが、パドックや返し馬はしっかり見る必要がある。

△ : 5.サトノセシル
4か月の休みを経て生涯3度目のクイーンS挑戦へ。前走の中山牝馬Sでは内を通り直線で差しての3着。7歳でありながらもまだまだ戦えると言わんばかりの走りを見せてくれた。もはや言うまでもなく舞台の相性はバッチリ。メンバーも過去の相手と比べると一枚落ちる印象があるので、あとはどこまでやれるかが勝負のカギ。懸念点を挙げるとすると歳を重ねて徐々に行き脚がつかなくなっているのがネック。また調教中の頓挫(オステオコンドローマの対処)があり調教過程が万全とはいいがたいので、実績は十分だが紐までと考える。新進気鋭の鞍上と共に三度目の正直を見せてほしい気持ちもあるのでいい意味で裏切って欲しいところ。

オステオコンドローマ : 橈骨(注1)に出っ張りが生じ、そこに滑液(注2)が満たされることで腫れが生じる疾患。発症後は跛行に繋がることが多く、症状が悪化すると腱鞘炎や屈腱炎のリスクに繋がる場合があるため、適切な処置が必要。一般的には術後の予後は比較的穏やかに進み、ざっくばらんに言えば良性の腫瘍として認識されている。別名は骨軟骨種。

注1 : 馬の前肢の前腕骨格を構成する要素の1つ
注2 : 関節どうしの間を満たす液体の総称

その他注目馬
☆ : コスタボニータ
☆ : キタウイング

<買い目>
馬連フォーメーション

◎ー〇▲△ (計3点)
三連複流し
◎ー〇▲△☆ (計10点)
(保険馬券)三連複BOX ◎〇△▲☆ (計20点)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?