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リターン トゥー フォーエバー(14)


泊まるべき小屋が当たりなのか外れなのかは神のみぞ知るという所だろう
だが小さく飾り気も無いが街のゲストハウスの部屋などよりも
はるかに自然で気持ちの良い部屋と思える
木材で造られているせいもあろう

ともあれ船とバス(?)を乗り継いで来た身としてはまず
荷物を降ろしてこの身を休めたい
バックパックを降ろし、しばしベッドに座る
これと言って自分の何かがまとまることも無く、財布を持って出かける事とする
財布とパスポート以外に貴重品は無いが、こちらにとって貴重品でなくても
海外では貴重品として盗難に遭う事はままあるのだが
さほど気にはしていなかった
バンコク近くの街で現地の若者に囲まれて腕時計を見られた時
タイ語で「高く無い」と言ったら
「高く無い、日本人!」と大笑いされた思い出があるが
当然高く無い時計をして旅に出たのだ

ここには雑貨屋も飲食店も唯一、受付を兼ねた母屋が兼ねている
その他には何も無い
海と山くらいだ
それどころか
宿泊すべき小屋には電気も水道も無い
だが、この旅を通してそれは自分の中でわりと
好ましい、というか自然なものとして認識されるようになってきた

要は、余計な物が多いのだ
世の中は概ね余計な物でできている
人間の欲から産まれた余計な物の為に人間は他の生命を侵し続ける
だがその、文明と呼ばれる物を産まれながらに享受して育ってきたのが自分だ
相も変わらず、善悪の彼岸は見えず、というか元より
そんな物を見ようとして来た訳ではないのだが

ダメだ、自分の中とばかり対話しすぎている

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