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漫画家が一番すごい?

ミリオンセラーをたくさん出されたミュージシャンの方や小説家の方が、


「漫画家の締切が一番大変」
とよく言われます。


 


「漫画は毎月の締切に合わせて、

一定のクオリティをキープして生産し続けなければならないでしょう?

安産のときもあれば、難産のときもあるのに、

最終話まで出来上がるまで待ってはもらえない。

それが一番すごい。絶対真似できないよ」と。

 


例えば、


村上春樹さんの5年ぶりの新作や、福山雅治さんの5年ぶりのニューアルバム。


出版社もレコード会社も、出来上がるまで何年も待ってくれて、


TVCMをはじめとする多額の宣伝費をかけて売ろうとしてくれる。


 


でも漫画だけは違います。


 


よく考えると不思議な「連載ありきの出版システム」。

漫画は、どこかに週イチなり、月イチなりで連載してからでないと、


本として出版されない。


全編描きおろし新作コミックスなんて、この世にほとんどないのです。


 


どうしてなんでしょう?


 


それは、様々な事情が考慮されてのことです。


漫画制作にはアシスタント経費がかかるので、それを原稿料で支えていたり。


雑誌が売り上げをあげつつ宣伝媒体となって単行本の広告となっていたり。


なにより、締切がないと、


漫画家は漫画を「いつまでも完成できない」という独特の特性があったり。


漫画家は「絵を描いているのが好き」な人たちなので、


締切という切り上げるべき時間が決められなければ、


永遠にその原稿用紙に手を加え続けてしまう人が多いんですね。


 


そういうわけで、すべてが漫画家にマイナスなわけではないのですが、


他の業界の人からみれば、疑問を感じる部分なのでしょう。


こういう外部から見た「どうなってるの?」は


ほかにもたくさんあるんだろうなと思います。


 


漫画制作とそのまわりの不思議なこと。謎の慣習に、動くお金と相場感。

そして何より、電子書籍の躍進による出版業界の変化と、

漫画家に求められるセルフマネジメント能力…。

そんなことを、作家本人でもなく出版社の人間でもない、


マネージャーという特殊な視点からのあれこれを書いてみるブログです。

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