見出し画像

西村賢太「苦役列車」

作者、西村賢太の19歳時の実体験をベースにした私小説。
中卒で家を出て、日雇い労働をしてその日暮らしをする主人公19歳貫多が、久しぶりに職場で友人ができてウキウキする話。(結構荒いまとめ)

貫多のダメ人間破壊衝動性質や、劣等感の裏返しの皮肉めいた言動などが、ワキノと行動原理の方向性自体は似てる気がして、ズサズサと刺さるもんがあった。(貫多の方が圧倒的にヤバい奴だし、貫多は割と酷い環境に生きてたので、正直、こんな俺が重ね合わせて読んでしまうのも失礼なので、すみません。余計なこと言うと、作者とガチファンにぶん殴られてしまう。)

なので、後半の虚しさからくる暴力シーンにココロがグラグラしてしまった🤪

複雑な少年期の体験や、下品な生活体験を書いているけど、貫多のひねくれた思考回路が面白いのと、ヤバ人間だが根っこは繊細で臆病者の嫌いになれない滑稽人間のおかげで、窮屈なく笑えて読めるのが良かった。

「苦役列車」を読んだ後、西村賢太作品を2作読んでみたけど、2作とも面白かった。
(「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」「焼却炉の赤ん坊」)

当たり前だけど、ただただ実体験を書いてあるだけじゃなく、小説として、しっかりとした物語になってるのが読み応えあって最&高だった。
(一つのテーマが軸にあり、ストーリーにフリとオチがある。という意味)

YouTubeで西村賢太の動画を見てみると、コメント欄に、普段小説は読まないけど西村賢太は読む、みたいな人達がいて、厄介な境遇に苛まれてる人間にはズシリと刺さる作品なんだろうな〜と、ダラダラ適当生活をヌクヌク送りながら読んでるワキノは思いました。以上です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?