データから見るマッチプレビュー ジェフユナイテッド千葉対アビスパ福岡

 工藤監督就任後、初勝利を挙げたアビスパはアウェーでジェフ千葉と対戦すします。

 ジェフはセットプレーからの得点が3割強を占めています。しかし、千葉が得点を挙げた直近の5ゲームを見ると、得点場面はサイドからのパスが起点になっていました。中央に相手を引き付けてできたサイドのスペースに走りこんだ味方に展開して中央に折り返しペナルティエリアで合わせる形で得点を奪っています。千葉の直近4試合のプレーエリアを見てみます。

対柏レイソル
前半・左46中32右22 前後半・左42中24右34
対徳島ヴォルティス
前後半・左44中29右27
対町田ゼルビア
前半・左49中15右36 前後半・左50中14右36
対FC岐阜
前半・左68中17右15 前後半・左55中19右26

 4試合とも左サイドでのプレー時間が最も多いです。特に、前節のFC岐阜戦では左サイドバックの下平(背番号49)が、味方のウイングを追い越して敵陣深くまで侵入する場面が度々見られました。また、ボールを持つと球をキープしてサイドでフリーになった味方にパスを出すシーンが見られました。フォワードのクレーベの岐阜戦と町田戦での2試合のプレーエリアを見ると中盤左でプレーした時間帯が多かったように、味方をサイドに集めて距離感を短くすることでテンポよくパスがつながるシーンが見られました。下平は岐阜戦で、両軍で最も多い100本のパス数を記録しています。アビスパは右シャドーの松田と右ウイングの石原が下平を抑えることが相手の攻撃を防ぐ鍵になるのではないでしょうか。

 前節、福岡は町田のロングボールを使った攻撃に対して、守備陣が空中戦で競り勝ち、ボランチの鈴木がセカンドボールを回収することでピンチを防ぐことができました。千葉は町田のように長いボールを1本でつなげるよりも、グラウンダーのボールを使い相手のサイドを突いてきます。福岡は、守備時に、ウイングの選手が下がって5バックの形になります。しかし、攻撃の際は両ウイングとも高い位置に侵入するため、相手にボールを奪われた直後に3枚のDFの両サイドにスペースが生じてしまいます。千葉にチャンスを作らせないために、福岡は攻撃時にウイングのどちらかが3人の守備陣とラインを合わせてDFが4人いる状態を保つことで、攻撃から守備に切り替わったときに千葉の狙いを防ぐことができるのではないでしょうか。また、ジェフのコーナーキック時の増嶋(背番号5)の動きに注意が必要です。増嶋は身をかがむような姿勢で味方の背中を両手でつかみ、ボールが蹴られたと同時に味方から離れてフリーになる動きを見せていました。今シーズン、セットプレーから5失点している福岡は増嶋の動きに要注意です。

 千葉の守備面を見てみます。間接FK数がリーグ3番目であることが示すように、高いラインを敷いてオフサイドトラップを仕掛けます。しかし、試合終盤になるとオフサイドトラップがうまくかからず相手にフリーで突破される場面が多いです。また、ディフェンスラインが下がった際に、中盤との間にできたスペースからシュートを打たれて失点する場面が直近の5試合では見られました。

 失点時間帯を見ると75分以降(後半30分以降)に全失点の30%を占めています。福岡は、相手の守備陣に疲れが出るゲーム終盤が得点を獲るチャンスを作り出せるのではないでしょうか。前節の町田戦で森本が敵のDFライン裏を突破してGKと1対1になるチャンスがありました。ゴールは決まりませんでしたが、ラインを高く設定した相手の裏を突いたチャンスを作りました。この形はジェフに対しても有効だと思います。

 昨シーズンのアウェー千葉戦は3-3の引き分けでした。鈴木のミドルシュートで先制したものの逆転されて、アディショナルタイムに途中から出場した山瀬のクロスから城後が同点に追いついた見応えのあるゲームでした。ここまでリーグ失点数がワースト3位と4位の対戦のため、ゴールの奪い合いになるかもしれません。監督交代後のアビスパはすべての試合で得点を奪っています。獲られたら獲り返す姿勢を見せて昨年の対戦時のように奮起してほしいです。





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