データから見るマッチプレビュー アビスパ福岡対水戸ホーリーホック

 アビスパ福岡はホームで3位の水戸ホーリーホックを迎えます。水戸の攻撃の特徴は、高い位置から前線の選手がプレスをかけて全体のラインを押し上げて、敵陣でボールを奪うと一気に相手ゴールに迫ります。KAGI(注1)がリーグで4番目で、インターセプト数は6位というデータからも敵陣でボールを奪う回数が多いことを示しています。ボランチの平野と前のどちらかが、相手のパスをカットすると素早く縦につないでチャンスを作る形が多く見られます。

(注1)KAGIとは、守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったかを示す値。

 水戸が相手陣内でボールを奪えたときに、チームの強みを発揮できていることはデータも示しています。(順位はJ2の22クラブ中)

敵陣ポゼッション時のチームスタイル

ゴール率4位
シュート率2位
空中戦使用率2位
コンビネーション率1位

自陣ポゼッション時のチームスタイル

ゴール率7位
シュート率20位
空中戦使用率22位
コンビネーション率22位

 水戸のプレスに対しては、長いボールを放り込む手段が有効です。19節に水戸と対戦した横浜FCは、シンプルにロングボールを放り込んでいました。しかし、水戸はセンターバックがロングボールに対して競り勝つことで相手の攻撃を防いできました。19節までフル出場していたCBの伊藤がJ1クラブに移籍したため、福岡戦のCBはおそらく細川とンドカです。ンドカは今シーズン自陣空中戦勝率がJ2で最も高いです。水戸に対して自陣からロングボールを前線に送ってチャンスを作るのは得策ではないと思います。

 福岡の直近5ゴールのうち3点はFWの森本が起点になっています。山口戦の1点目と2点目は相手DFとMFラインの間に下りた森本がボールを受けて右に展開したことから生まれています。町田戦の2点目も、森本が中盤でボールを奪ったことが得点につながっています。森本の動きによって相手守備陣にギャップが生じ、福岡がボールをつなぐスペースができています。水戸の平均間接FK数は18位です。ラインを高く敷いて前からプレスをかけるチームですが、オフサイドトラップを仕掛けたときの成功数は高くありません。前節の琉球戦でも、DFライン裏を突破されたシーンが何回か見られました。また、水戸はクロスからの失点数がおよそ4割です。福岡の森本が自陣方向に下りる動きによって、ライン裏サイドのスペースを突くことができれば、堅守の水戸から得点が奪えるのではないでしょうか。

 水戸は先制したゲームは9勝4分と負けていません。また、前半リード時の勝率が100%です。水戸は今季29得点のうちおよそ半数の14ゴールが前後半の開始15分以内に生まれています。福岡はこの時間帯に全38失点のうち12点を喫しています。ゲームの立ち上がりに注意してほしいです。

 現在、福岡は21位と低迷していますが、レベスタでは無得点の試合がないです。上位相手からの勝利で浮上のきっかけをつかんでほしいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?