データから見たマッチプレビュー 町田ゼルビア対アビスパ福岡

データから試合展望を探ってみたいと思います。

アビスパ福岡が今節対戦する町田ゼルビアのデータが直近で対戦した5クラブの今シーズン平均データと対町田戦のときのデータに差があることです。カッコ内は2019年の平均データです。

千葉・クリア数34本(平均26本)、スローイン51回(24本)、攻撃回数156回(123)、APT41分

岡山・クリア数31本(平均24本)、スローイン35回(26本)、攻撃回数162回(129)、APT40分

山口・クリア数30本(平均24本)、スローイン47回(27本)、攻撃回数154回(131)、APT41分

長崎・クリア45数本(平均26本)、スローイン23回(20本)、攻撃回数134回(120)、APT47分

徳島・クリア41数本(平均20本)、スローイン26回(22本)、攻撃回数131回(121)、APT44分

 上記のように対ゼルビア戦のときはクリア数、スローイン数、攻撃回数の3つの項目が平均値よりも上回っています。この5試合で町田は1勝2分2敗なので、これら3つの数値が勝敗に影響するとは言えません。しかし、ゲームの特徴が見えてきます。クリア数とスローイン数については、おそらく相手の得点機会を防ぐために自陣からボールを遠ざけて、そのクリアボールを町田がタッチラインに出したシーンが多かったのではないかと思います。実際にプレーした時間を示すアクチュアルプレーイングタイム(APT)が、およそ40分であることもそれが原因ではないでしょうか。(J2の平均がおよそ50分)。

 攻撃数が多い理由についてはゼルビアの平均データからその要因が見えてきます。町田は得点数はリーグワースト4位で、シュート数も10位と多くはありません。敵陣30メートルライン侵入数も21位です。しかし攻撃数が1位です。シュートまで至った攻撃数(チャンス構築率)が19位であることから、相手との競り合いでボールを奪う回数は多いが、マイボールをすぐに敵にを奪われてしまうことが、敵の攻撃数が多い原因ではないかと思います。相手の攻撃を受ける回数がJ2最多にもかかわらず、被チャンス構築率が1位であることも、ボールの奪い合い(互いの攻撃回数)が多い試合であることを示していると思います。

 得点チャンスを構築する機会は少ないですが、ペナルティエリアへの侵入数が7位と少なくありません。この要因を探ってみます。町田は、攻撃時間のうち相手ゴールに近い位置でボールを持っていた時間の割合と、攻撃が始まってからどれだけ短い時間で敵陣ペナルティエリアまで近づけたかを示すAGI値がJ2で最も高いです。今シーズンのパス数が22位であること、昨年のデータですがシュートまでの平均時間が11秒とJ2で最速の値を記録していることから、おそらくボールを奪ったら少ないパス数で速攻という狙いを持っているのではと考えられます。また、町田は1試合の平均クロス数が4位で敵陣両サイドでのプレー時間が多いことから、片方のサイドに敵をおびき寄せて人数をかけてボールを奪い、敵の少ない反対サイドに展開して、そこからクロスを入れてペナルティエリアにいる味方に合わせるという形で攻めているのないでしょうか。

 これらのデータを参照したうえで、アビスパが町田から勝ち点3を得るために必要なことを探っていきます。今季の福岡はクロスからの得点が40%を占めます。ゼルビアの狙いを逆手にとって、人が密集していない片方のサイドに奪ったボールを展開することで得意の形を作ることができるのではないでしょうか。町田の失点パターンを見るとクロスからの失点が20%と最多となっていることからも、クロスから得点機会を作れる可能性が高いと思います。ただ、町田はオフサイドトラップの成功数を示す間接FK数がリーグ2位です。前線から守備陣まで距離感を短くして、DFラインを高く保っていることが読み取れます。アビスパの今季のオフサイド数平均は1.6回(17位)と多くはありません。町田は、シュートで終わった攻撃を受けた回数はJ2で最も少ないですが、被シュート成功率がリーグワーストです。ライン裏を突いて相手の守備網を突破すれば、得点につながるのではないでしょうか。

アビスパは、監督交代まだ勝利がありませんが、前節のFC岐阜との試合では、今季最多の21本のシュートを打ちました。本文の冒頭で示したAGI値もこのゲームでは66と最も多い数値を示しています。1つ勝つことができれば悪い流れを断ち切ることができるのではないでしょうか。







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