燃え尽きかけていた私を、「燃えよ」が再び燃やしてくれた夏
(前の記事の続きになります)
Twitterの相互フォロワーさんの影響で、藤井風に興味を持ちかけたものの、日常の雑事に取り紛れてすっかり忘れてしまい、仕事においてもかなりハードな局面に立たされ、グサグサに傷つき始めた2022年夏のはじめ。
関西の熱心な風ファンの声もあって、「藤井風テレビ」がABC朝日放送でも放映されるとの情報をキャッチした。
ファンでもないのに録画しようという気になったのはなぜなのか、自分でもよくわからない。
テレビの歌番組でも全然見かけない藤井風が、なぜコントを中心とした初の冠番組? という純粋な興味だけで、リモコンに手を伸ばしたのだった。
結果として非常に面白かったし、歌も良かった。
(なんでそこで風沼にずっぱまらないのか、当時の自分が本当にわからないんだけど。だって「まつり」と「”青春病”」だよ! 最高に決まってるやん!と今では思うんだけど)
……まずひとつ思うのは、それまで自分が好きで聴いていた音楽と、サウンドがあまりにも違っていたからかなと。「今風の若者の音楽ね」と早合点しちまったのかなと。それまでの自分の価値観を自分で打ち破り、打ち捨てるのには、もう少し時間を必要としたのであった。
さらに不幸なことに、その後すぐに新しいHDDレコーダーを購入してしまったため、簡単には再生することが出来なくなったのだった。
そんなふうにして夏は盛りを迎えていった。
この夏は本当にきつかった。
仕事においてなぜか急に、矢面に立たされることが増えたのである。
のんきな上司もいれば、気難しくて厳しい上司もいれば、口うるさくて分かってくれない上司もいる。しかも全員、親のような年代の人ばかりで、話が通じないことこの上ない。
そんな環境で、もともと傾向として持っていた強迫神経症がさらにひどくなり、早朝覚醒にも悩まされるようになり、好きで続けようと思っていた仕事を初めて「辞めたい」と思うようになり、「腕でも切ればちょっとすっきりするのかな」などとリストカット願望までもが出てくるようになり、さらに同年代で唯一相談できる相手だった人が遠方に越してしまう予定を示唆してきて、本当に危機的状況だった。
お盆休み。8日間もあった休暇が恐ろしくて(仕事を忘れてしまって、休み明けにとんでもないミスをしでかしたらと思うと)、仕事を持ち帰ってパタパタこなしつつ、休憩がてらyoutubeを見るといういつもの習慣。普段なら別の推しを見るはずなのに、ふと、なぜか思い立って、藤井風「きらり」のMVを見てみた。
そこから先のことは覚えていない。
とにかくyoutubeが勧めてくるまま、「まつり」「旅路」「何なんw」「もうええわ」……。ありとあらゆる藤井風のMVを、とめどなく見続けた。
翌日も、その翌日も、その翌日も、お盆休みが終わっても……。
休み明けの職場は以前にもまして修羅場と化していて、ギリギリ締め上げられるようなことばかりだったけれど、それでも業務を前に進めていかなきゃいけない。そんな私を、脳内にしっかりインプットされた藤井風の曲たちが鼓舞してくれた。
特に「燃えよ」。
♪ほんとは君の中で くすぶる熱い光
そうだった。今の仕事がほんとに100%イヤかと言われればそうではない。好きな業務もあったはずだ。いろんな人と会えて楽しい時もあるはずだ。実現してみたい夢だってあるはずだ。自分の中の光を、今のちょっとした逆境で消してしまってはもったいない。ほんの10%でも好きな業務があるなら、それのためだけにでも頑張ってみよう。
♪クールなフリもうええよ 強がりももうええよ
汗かいてもええよ 恥かいてもええよ
そうなんだ。出来ないことは出来ないと音を上げて、周りに振ってもいいんだ。自分一人で抱え込まなくていい。出来ないと言うことを恥ずかしいと思わなくていい。ただ、自分で出来ることは汗かいて頑張ってやればいい。
立ち止まりたくても前を向いて進んでいかなきゃいけない時、常に「燃えよ」が脳内を流れるようになった。
そしてその夏の業務を無事終えることが出来た。
秋になっても別のプロジェクトが始まり、またもやイニシアチブを取らされることになり、汗かき恥かきの日々が続いた。
でももう私には藤井風の音楽がしっかりとついていてくれて、無理なく、背中を押してくれるようになっていた。
風沼にずっぱまったのである。ついに。
続きはまたいつか。
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