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キリンジ、たま、カーネーション、サニーデイサービス……。本棚に眠ってるアーティスト本たち

そーいえば、2階の狭くて暗くてめったに入らない部屋に、ちょっと読んでしまいこんだままの本、結構あったよな、とふと思い出して、何冊か持って降りてみた。

ヘッダーの写真。これが、私の手持ちのアーティスト本のすべてです(あ、ちょっと前の記事の「ムーンライダーズの30年」もか)

・キリンジ「あの世で罰を受けるほど」「自棄っぱちオプティミスト」
堀込高樹・泰行兄弟による雑誌コラムをまとめたのがこの2冊。
歌詞同様、流麗で詩的な文体が冴える高樹さん(そして意外にも?子育て熱心な様子がうかがえる)、ちょっぴりトホホな日常を切り取ってみせる泰行さん(部屋に出没したGさまをキリンジのバンドスコアで叩くなんてもったいないことを!)。
コラムだけに一篇ごとの文章も短く、気軽に読める。
「自棄っぱちオプティミスト」は作家・長嶋有氏、俳優・森山未來氏との対談、キリンジ用語集も載っていてボリューム的にも大満足。

・石川浩司「『たま』という船に乗っていた」
2004年に発行された石川さんの自伝的エッセイが、2023年に増補改訂版として奇跡の復活。
その前年・2022年に、この本をコミカライズした「『たま』という船に乗っていた さよなら人類編」(漫画・原田高夕己)が発売されているが、本もコミックも味わい深い。
80年代の東京の片隅で好きな音楽だけをやって暮らしていた若者たちの、当時の日本でしかあり得なかったどこか呑気で笑いに満ちていた空気を思い出すことができる。
周知の通り、90年代に入って たま は怒涛の大ブレイクの波に翻弄されることになるのだが、それでも「こんなものは一過性のものなんだから、流されずに自分たちでいようね」と確認し合ったメンバーたち。
強いなあ。だからこそ、2023年現在でも4人全員がしっかり音楽活動できてるんだろうな。
コミック版のちょっと藤子不二雄テイストな画風は好みが分かれるところかな? 私はこれもありだと思ってます。たま随一の美青年・滝本晃司さんも渋かわいく描かれてる。

・カーネーション「WACKY PACKAGES GOLD」
・直枝政広「宇宙の柳 たましいの下着」
「WACKY PACKAGES GOLD」は、カーネーション結成15周年を記念して発行された本(一般には流通してなかったかも?)。
直枝さんのイギリス一人旅日記のカッコよさと、大田譲氏・西村哲也氏(グランドファーザーズ)による他アーティスト試聴会(マリスミゼルなど当時流行っていたアーティストを斬りまくる)のグダグダっぷりの落差に大笑い。
日本コロムビア時代の5人それぞれのパーソナリティーがよくわかる理想のアーティスト本だった。
直枝さん著「宇宙の柳 たましいの下着」は、おそらく日本ロック界きってのレコードジャンキーである直枝さんの濃ゆい濃ゆい濃ゆいディスクガイドなのだが、その狭間に、生い立ち、ロックとの出会い、挫折、もがき続けた日々……等々、その歌声のように渋い語り口で手記が紡がれていく。
カーネーションファンクラブ会員歴26年の私でも改めて胸が痛くなる、そして胸が熱くなる、まさにたましいの一冊。

・サニーデイ・サービス「青春狂走曲」
デビュー時からずっとサニーデイを追い続けてきた、北沢夏音氏によるインタビュー集。
ほとんど親友のような、いやそれ以上の存在のようにサニーデイに心酔し、寄り添ってきたと思われる北沢氏の真摯なインタビューにより、3人の本音がするりと引き出され、読んでいてヒリヒリするほど刺さる。
衝撃の解散、順調なソロ活動を展開する曽我部恵一氏、かたや表舞台から姿を消していた他のメンバー、衝撃の再結成、丸山晴茂氏の離脱……。
中でもやはり、帰らぬ人となった晴茂氏の語りは痛い。
何かしらの生きづらさを何かで紛らわせている人、そのことでさらに追い込まれている人、には響くと思う。アーティスト本の枠を超えて、読まれてほしいと願う。

そんなこんなで充実したアーティスト本ライフ(?)を送らせてもらってるんですが、またしても買ってしまいました。
究極のアーティスト本ともいえる、バンドスコア・ピアノスコアの類、つまりは楽譜!

右:「HELP EVER HURT NEVER」 左:「LOVE ALL SERVE ALL」

指がつるとも指がもげるとも指の関節が外れるとも言われている、
これ弾ける人はショパンも余裕で弾けるでとすら思える、
これきっと本人が弾いてるうちに気持ちよくなっちゃってどんどんどんどん難しくしてっちゃったのではとまで言われている、
恐ろしく難しい、
藤井風のピアノスコア!
今のところ主旋律しか弾けず、しかもそれだけであまりの美しさに満足しちゃって全然上達していません(;^_^
ワンフレーズでも完璧に弾けるようになればSNSに動画を載せようかなと……いつになるのか(今のところ弾けそうなのは「特にない」のイントロだけ)。

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