「MUSICA」2022年5月号(表紙巻頭特集:藤井風)を読みたくてKindleに手を伸ばした話

そもそも、PCやスマホにアプリをインストールするのが好きじゃない。
重くなるのが嫌だし、機器によけいな負担をかけたくないと、最低限必要なアプリ以外を入れるのには消極的だった私。
ところが。
そんな私が初めて、KindleをPCにインストールするに至ったのである。
いつもAmazonで読みたい書籍があっても「あーもう絶版か……。え、Kindle版ならこんな安い価格で読める? だけど電子書籍でしょ、それにKindleとやらをインストールするのってめんどくさいしお金もかかるんじゃ?」なーんてスルーしていた私が。
どーしてもどーしても、「MUSICA」という雑誌の2022年5月号を読みたくて。
藤井風、80,000字インタビューも含めた、写真満載の50ページほどの表紙巻頭特集と聞いて。
いろーんな音楽雑誌や音楽フリーペーパーや新聞をどれだけ探してみても、なっかなかお目にかかれない、藤井風の記事が読めると知って。
しかも紙ベースだとすでに12,000円くらいの高値がついちゃってるので。

勇気を出して、google playとかApple Storeとかある中で、「PCで読む方はこちら」というのをクリックし、デスクトップにKindleのショートカットが出来たのを確認し、当該雑誌のKindle版を601円で(安い!)ポチッとし、Kindleに読み込ませて、長い長い80,000字インタビューを全文読み切った。
最高!

「MUSICA」の初代編集長は鹿野淳氏(現在の編集長は有泉智子氏)。
鹿野さんが「Rockin’ on JAPAN」の副編集長時代に「Rockin’ on JAPAN」を愛読していた私は、「MUSICA」には既視感(あー懐かしいこの感じ! グラビア写真満載! 文字ぎっしり!)を覚えた。
「Rockin’ on JAPAN」の名物コーナー「20,000字インタビュー」というのがあったけど、これは80,000字ですか!
さすがに3部構成に分けてはあったものの(藤井風の生い立ち篇、「HEHN」篇、「LASA」篇)、あまりの熱量、分量、Kindleであるが故の文字の小ささに目が回って、さすがの風ファンの私もところどころ飛ばし飛ばししてしまった(あとでじっくり読もう)。

やはり最も印象に残ったのは、「生い立ち篇」における、ご両親の風さんへの接し方。
お父様が積極的に子育てにかかわる。これってものすごく大事なことだと思う。
勉強があまり好きでなかった風さんを追いかけまわして(?)一緒に勉強していたというご両親。これもなかなかできることじゃない。
実はこの二つ、我が家にもすごく思い当たる節があって、うちの夫もかなり主体的に息子にかかわり、参観日にも(仕事で行けないことが多い私の代わりに)よく出向き、結果として息子の友人のことをかなり細かく把握し、学校であったことをいろいろ息子に聞いては二人でゲラゲラ笑っているのだ。
また、一応勉強机もあるものの全然使わずにダイニングテーブルでばかり勉強する息子に、夫も一緒になって付き合って問題を解いたりしている。
これでよかったのかもしれない、と、なんだか安心する私なのだった(うちの子が風さんみたいな素晴らしい人に成長するかはもちろん未知なのだが)。

「HEHN」篇での「死ぬのがいいわ」の解説も、今となっては胸に迫るものがある。
最初から相当この曲を気に入ってたんだね。
「特にこの曲は歌としての強度も強いと思ってるし、かつ新しいこともしてるし……そこのバランスが取れた時は凄い満足感があるので、”死ぬのがいいわ”は自分でも凄い好きな曲です」
昨年12月28日のNHK MUSIC SPECIAL「藤井風 いざ、世界へ」でも、「この曲は国内では一番聴かれてなくて、わしは凄い好きな曲なのになんでじゃろうと思っとったんやけど」と語っていた風さん。
ここまである意味「化ける」曲になるとは思ってなかっただろうな。世界に見つけてもらえたことで、俄然輝きを増した一曲。

「LASA」篇で印象的だったのが、ジャケットの目の周りを赤く着色してある理由についての、風さんの解釈。
「わしの解釈としては、誰もが愛のメガネをかけて世界を見たら、そこには愛だけが見える、みたいな……そういうものが音楽でも表現できてたら素敵だなと思って」
そっか、あれは愛のメガネだったのか……。
周りでどんなことが起きていようとも、自分の感覚を正常に保ち、愛のメガネをかけて自分がまず笑顔になれば、おのずと周りにも笑顔が広がっていく……。
そのような強烈なメッセージ(強烈でもないのかもしれないけど、メッセージ色の強い歌をほとんど好まずに来た私にとってはくらくらするほど強烈なのです)を、こんなにもふんわりと、押しつけがましくもなく、説教がましくもなく、ユニークかつ美しく繊細に、ユーモアさえも忘れずに、届けてくれるアーティストが他にいただろうか?
やはり規格外の、これまで見たこともないようなアーティストであるとしか言いようがない(ここ数年天気予報でよく聞く「経験したことのないような大雨」みたいな感じか)。

美麗なグラビア写真はゆっくり眺めるとして……。
とにかくこんなにも、2022年5月時点での藤井風のすべてを語ってくれたと言ってもいいインタビュー記事がある以上、この先も雑誌や新聞などのメディアに登場してくれる機会はそうそう無さそうだな(涙)。
まあいいや。
まだまだファン歴たかだか4ヶ月の私。
情報はとりあえずこの記事だけでいい。
今はまだまだ純粋に藤井風の音楽を楽しむ時だ。


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