れいん。

生息地:沖縄 年齢:20 私だけの思いを言葉にするために。とある先生に送る手紙。

れいん。

生息地:沖縄 年齢:20 私だけの思いを言葉にするために。とある先生に送る手紙。

最近の記事

《20通目》2回、人と出会う

先生へ 私は、人の声と顔(姿かたち)を覚えるっていう「出会い一回目」と、心を覚えるっていう「出会い二回目」、二つの出会いがあるように思います。 姿かたちを覚える「出会い一回目」は何千回としてきたと思います。でも、二回目に出会うって、意外に難しいことで。 やっぱり、この人っていう核に出くわさないと難しい。「出会い二回目」をしてしまえば、この人の導火線の長さや、悲しいニュースを見たときの表情、楽しい時の表情、笑いのツボとか、ある程度つかむことができる気がするのですが…。これが

    • 《19通目》歴史が深い沖縄市

      先生へ そうこうしているうちに、フィールドワーク行ってきました。 場所は沖縄市です。 沖縄市は戦後の歴史が色濃い場所のように思います。 人権、酒、音楽、車、人だかり、笑い声、煙、暴力、ガソリン、涙…。 先生がいつか話した、「雑多」という言葉を想起させられるような場所でした。 朝。地域の人々が週末の朝からごみ拾い活動をしていて、温かく、優しく映る街。しかし、足元のとがった酒瓶の欠片でアラートが鳴る。朝の街をただ歩いているだけで、昼の柔らかな日差しと夜を輝くネオン街が交互に

      • 《18通目》トロッコに乗って

        先生へ どうでもいい話題かもしれません。今日は「生まれ変わり」について。 私は高校生の時まで、人生が終わったら時間って概念がなくなるって思ってました。だから、生まれ変わるとき、織田信長にも、ガンジーにも、私にも、未来人にでもなんにでもなれるって思っていたんです。 となると、人生のシナリオはもう生まれ落ちるまでに決まっていて。どんなに覆そうとも運命に従ってその人生を生き切るもので。だから人生はどれも足して引いて50点のもので振り分けられていて。無限にある全て50点の人生の中

        • 《17通目》言葉のキャッチボール

          先生へ 「言葉のキャッチボール」って言葉があって、 「りんご投げたら、みかん返ってくる。(みかん飛び越えてメロン返ってくる←っていうのは私の表現笑)」 (りんご投げてみかん返ってきたら、伝わってないってこと。メロンはもう伝わってなさすぎるってこと) っていう表現があると思うんですが…れいんはこれ、すごい好きです。 私は色んな果物を持っています。 直接人と話すとき、相手から投げてもらうことが多いのですが、私は絶対にりんご投げられても、みかんを返します。それはりんごを返せるぐ

          《16通目》美しい失敗

          先生へ 失敗ってものすごい怖いもので。 私は「失敗」の烙印を押されるのがすごく怖い。 最近、なぜ失敗することがこんなに怖いんだろうって考え続けていました。怒られるのが怖いからかな…。失敗して、人に迷惑をかけるのが怖いからかなとか、色々。そして最近、私の身近なある人の言葉の中に、答えを見つけた気がします。 「どんなにいい人でも、一度失敗すると、もう”悪い人”になってしまうからね…」 なるほど!だからだ。 だから私は失敗が怖いんだと思いました。一度の失敗も「私はこの世にい

          《16通目》美しい失敗

          《15通目》私の6月23日⑤ 最終編

          先生へ 11話から続いたお話の、最終編として15通目を書きあげたいと思います。 2人とさよならした後。時刻は14時25分。 先生、みんなとの集合時間が近づいていました。急ぎ足で資料館に戻り、ある程度大学の仲間たちと合流。 慰霊祭を終えたデニーさんがこっちに向かって歩いてきて、会釈をしました。軽く返してくれる。デニーさんって、れいんのこと、見えるんだ…。信じられない。 14:30から結構時間過ぎたけど、みんな合流して…。 先生が「〇〇(れいんの本名)なにそれ。」 と私にた

          《15通目》私の6月23日⑤ 最終編

          《14通目》私の6月23日④

          先生へ。 《13通目》に続き、書いていきます。 T子さんと一緒に泣いてて。隣に歩み寄ってきた男性。どうにか感情を殺してすすり泣き。 あ?!記者のYさん! 慰霊の日の前は、色々と行われるので…。Yさんは、慰霊の日の前の週に初めてお会いした記者の方だったんです。実は1回目にぐるぐる回っていた時、ばったり会って少し話していて、今日会うのは2回目でした。 「お父さんの礎、見に来られたんですか?」 という質問から。Yさんは記者の本領を発揮して、名前、年齢、T子さんが体験した沖縄

          《14通目》私の6月23日④

          《13通目》私の6月23日③

          先生へ 11通目、12通目に続いて、書いていきます。 角の向こうにいたある女性と、目が合ってしまった。 彼女の名前はのちに知る事になるのですが、ここでは「T子さん」と呼びたいと思います。 T子さんは、小柄な女性で、はじめに見たとき、年齢は60後半から70歳くらいに見受けられました。大きな笠帽子を手に、ずっと礎を見つめていて。そして、帰ろうか、迷っているように見えました。 私はT子さんに話しかけようか迷って、ただ立ち尽くしていて…。そしてついに目が合ってしまったのです。

          《13通目》私の6月23日③

          《12通目》私の6月23日②

          先生へ 11通目に続いて、書いていきます。 着替えを終え、決意新たに飛び出して行った私。でも、もう話しかけることはある程度諦め、歩いているふりをしながら、祈る人々を視界に入れつつ、それでもじっくりと見ていました。 礎の刻銘検索機(礎に名前を探しに来る遺族の方々のための検索機。名字と地名を入れて検索をかけ、どこに刻まれているのかを探す機械。1ページ10数人分くらいの名前が並び、そこからどんどんページを進めて、探していく)の「次のページを開けます。次のページを開けます。次の

          《12通目》私の6月23日②

          《11通目》私の6月23日①

          先生へ 今日は私が現場で「出くわした」具体的なストーリーを残していこうと思います。 いくつかありますが、今回はそのうちの一つを。今年の6月23日のことについて書いていこうと思います。おそらく長くなるので、何通かに分けて書いていきます(2通で収まりたいなー無理かなー)。 6月23日は慰霊の日。きっと世界の人にとって、とっても大事な日です。私としては、6月23日が慰霊の日であることがめっちゃ大事というよりは、慰霊の日を6月23日に行ってきたという意味での6月23日が大事なのかな

          《11通目》私の6月23日①

          《10通目》現場で「出くわす」こと

          先生へ 近々歴史学のフィールドワークに出る予定です。私は「現場」に行くことがすごい好きなので(それはたまに先生に熱弁するけど…笑)、とても楽しみにしています。 歴史の現場では、ときたま「出くわす」感覚になるときがある。先生にも話した通り、自分や出会う対象の中の一定のリズムが狂う時、私は初めて人に出会った感覚になります。出会えると、出会った場所と私が結びつき、その場所が「私の場所」になってくれるような、そんな感覚を持ちます。 今の私には、歴史はとても遠いものに映る。だから

          《10通目》現場で「出くわす」こと

          《番外編2》感謝と報告

          拝啓 拓先生へ 先生のnote、存在を知ってからずっと読んでいる〇〇〇高校出身の〇〇です(漢字を入れたら字数が合うかと…)。 先生と接点を持つ機会が多かったのは、卒業前でしたが、ファーストコンタクトを取ったのは、私が高校2年生の時。先生も私も、お互い部活で怪我をしていて、整体で顔を合わせるようになったのがきっかけです。卒業前は双子の姉(以下通称リリーさん)を通して先生と話をする機会がありました。その時期あたりに、先生のザンジバルでの活動の詳しい話を聞かせてもらい、非常に

          《番外編2》感謝と報告

          《番外編》なんかすごく分かる気がする

          これは誰宛てで書いたらいいんだろう。 にゃんさんと、私宛にしよう。 拝啓 にゃんさんと、れいん。へ 私は2004年生まれのINFJ(提唱者)。頭の中の文字数は、多分だけど人より多いんじゃないかと思います(全然それで世界と闘えるほどじゃないけど)。そして人より何倍もネガティブになることが多い。つまり、普通に生活している時間は、頭の中はネガティブな言葉であふれてる。 そんな私の口癖は「〇〇(本名、私)なんていない方がいいかも」 車の中でネガティブなこと(特に恥ずかしいこと

          《番外編》なんかすごく分かる気がする

          《9通目》たわしとの出会い

          先生へ この授業を受けていて、一番勉強になった出会いだと思ったのは、通称たわしさんとの出会いです。 授業では、右側、前から真ん中あたりに座っていた記憶です。第一印象は「文才」。彼の授業の感想を読んで、そう思いました。実際見てて、静かそうで、天才そうだったので、人見知りな私には、到底話しかけられないような雰囲気(私の人見知り具合は、5通目参照)。でも、すごいユニークに、すごく大事なこと。書いてたんです。 彼は私に「空は子供が飛ぶためにある。ここは、子どもが飛べる空じゃない

          《9通目》たわしとの出会い

          《8通目》みんなのいない教室

          先生へ 私が先生の授業を受けられるのは、前期木曜5限。だから後期は先生とお話する時間がほとんど持てないです。先生からたくさん学びたいことがあるけれど、これは仕方がない。 今から1か月前の話です。夏休みが明けた週の後期の木曜5限。ものすごい雨が降った日でした。マジの土砂降りだったので、売店から駐車場に行く前に雨宿りしようと、教室のある棟に全力ダッシュしました。それでもびしょ濡れ。 そこから校舎づたいに、駐車場の方向に向かって校内を歩いていると、自然と前期、木曜5限の教室に

          《8通目》みんなのいない教室

          《7通目》『101回目のプロポーズ』への鍵

          先生へ 先生ご存じの通り、私は歴史が好きです。でも、本で読むような歴史が好きというよりは、過去に確かに起きたこと、それを回想するのが好きなんです。だから、時代を象徴するような出来事に直面した人の語りを聞くのもいいと思うけれど、その人が語る本当に何気ない出来事の方に、歴史を感じるんです。その何気ない出来事は、時代を象徴する遠い出来事を、さらに色濃く、繊細なものにするって思います(これについては今後書こうかなって思います)。 また、最近になって、風景の中に歴史が溶け込んでいる

          《7通目》『101回目のプロポーズ』への鍵