EXIT兼近を応援……否、尊重しよう!

面白いニュースがあった。
 
EXITの兼近大樹さんが今年の24時間テレビのチャリティーランナーに選ばれたのだ。
 
ニュースを見た時僕は一瞬「これは是非応援しなければ」と思ったのだが、すぐにこう思い直した。
 
彼の応援やサポートは彼につくランニングのプロだったり24時間テレビの関係者だったり彼にとって身近で彼から「あいつから応援をもらえるとやる気出るぜ!ポンポンポーン!」と言われるような人達に任せて僕等は彼の意思を尊重することに徹するべきかも知れないなと……。
 
2019年に放送された大河ドラマの『いだてん〜東京オリムピック噺〜』なんかで言われていたように応援がプレッシャーになってしまっては元も子もないし、EXITのファンで彼等の漫才をいつも欠かさず見ているというわけでもないのにこういう時に限って「応援します!」というのは違うのではないか思う所もある。
 
それに僕は24時間テレビの出演者や制作陣が「是非見せたい」という意気込みで作ったであろう大事な所をかなりの高確率で見落としていることが多いからそんな状態では応援は力にならないんじゃないかとも思ったのだ。
 
だから僕は「応援するのではなく兼近さんの意思を尊重する」ということを明記したいのだが、そんな僕が何故今回の兼近さんの選出を面白いと思ったのかをこれから書かせて頂きたい。
 
皆さんは24時間テレビについていろいろと思う所があるだろう。
 
24時間テレビに賛同できるという人もいるだろうし批判的な意見を持つ人も多いだろう。あるいはその両方の意見を同時に持つ人もいるのではないだろうか?
 
例えば出演者を24時間拘束することになることやテレビの放送休止時間が極端に少なくなってしまうことによる過密スケジュールをはじめ、24時間テレビには大きな問題点がある。
 
しかしチャリティーのために24時間の特番をやるとなれば少なからぬ興味や関心を引くことが出来るため、多くの募金を集めることが出来るというメリットもあるわけだ。
 
ちなみに『五体不満足』や『ヒゲとナプキン』の著者として知られ、今年の参院選に出馬の意向を示している乙武洋匡さんは24時間テレビについてどう思うかをこちらの動画で述べられている。

 この動画で乙武さんが言われていることに共感出来たという方は多いだろうし、僕も共感できると思える所はあった。
 
「24時間テレビには功と罪の両方がある」
 
これに関しては多くの人が賛同するだろう。……もしかすると24時間テレビの制作に関わっておられる方々もそう思う所があるかも知れない。
 
しかしその一方で非常な違和感もあった。
 
感動ポルノと言っている人達がどういった意図で言っているのかは人それぞれだろう。
 
乙武さんが言うように「番組内でいろんな障害者の側面を取り上げて下さることが望ましい」「視聴者の皆さんが他の番組もいろいろと見て下さることがいいのかな。パラリンピック、バリバラ」というのなら建設的な批判と言えるが、一部の人が感動することもあるからと言って自身が気に入らないだけなのに「カンドーぽるの」などと言っているようではそれは誹謗中傷としか言いようがない。
 
以前24時間テレビで障害を抱えている少年が「アナウンサーになりたい」という夢を話したことがあった。
 
「その少年が憧れている現職のアナウンサーは誰だろう?」という話になり、司会者に「誰だと思いますか?」という質問がされた。
 
司会者は「え?ひょっとして俺?」と言ったのだが、正解は別のアナウンサーだったというオチが披露された。
 
どう見ても感動は狙っていない。お笑い的なずっこけを狙った演出としか思えないのだが、制作陣が24時間テレビの中で感動を狙っている場面は実際どのくらいあるのだろうか?
 
24時間テレビを24時間全部見て分析するということはさすがに出来ないが、少なくとも僕が見た箇所には感動を狙ったと思われがちな部分と明らかにそうでない部分が混在していた。
 
そして実際に感動を狙った演出、実際に感動ポルノな部分にしてもそれが誰に迷惑がかかっているか?→「障害者には迷惑がかかっていると思います」
 
この時に乙武さんが言った例をもう1度上げてみよう。
「日本人だからきっと勤勉なんですよね」
「女性の幸せって結婚して子供を産むことですよね」
「眼鏡をかけてる人って真面目そうだよね」
 
乙武さん自身もかつて聖人と言われて困っていたことがあるようなのでそういった目で見られることが(もちろん人によって違うことを前提とした上でだが)苦痛で窮屈であるということを実感されているのだろう。
 
もっと言えば……
 
「人間は本当のことは1回しか言わない」
「人間は行動した時の後悔よりも行動しなかった時の後悔の方が強く残る」
「子供にキラキラネームをつけるとろくな事にならない」
 
まさにはた迷惑だ。
 
だが、乙武さんが上げられたような例や今僕が出した例をジョークではなくガチで言ってしまう人ってどれくらいいるんだろうかと思った時に僕等はこう考えなければならないはずだ。
 
僕がYouTubeで乙武さん宛に書いたコメントの通りに書くと……
 

 
感動ポルノは誰に迷惑がかかっているか?→「障害者には迷惑がかかっていると思います」
その迷惑をかけているのは誰かと言われると僕は24時間テレビだけが悪いとは思っていません。
むしろ僕等1人1人が24時間テレビを見て「障害者ってこうだよね」と偏見を持ってしまうことの方が問題だと思います。
 
例えばフジテレビで『アンビリバボー』という番組で下仁田納豆や浜野製作所が特集されたことはありますけど、「職人さんってこうだよね」と偏見を持つ人はあまりいないのに24時間テレビを見て「障害者ってこうだよね」と思ってしまうのはむしろ僕等視聴者側の問題だと思うんですよね。
 
また、乙武さんのツイッターへのリプなんかを見ると24時間テレビに出せないどころかアカウントを凍結されてもおかしくないようなヘイトをやっている障害者もいます。どうしても乙武さんを悪者にしたいんでしょうね。
ですがそういう人を見て「障害者って自分より恵まれていると思った人を攻撃せずにはいられない人だよね」と思う人は少ないと思います。実際問題として健常者にもそういう人は多いですし…
 
たまに「アイドルはトイレに行かない」という言葉を聞くことがありますが、恐らくこれはライブステージ上のアイドル(見せる目的で出る)だけを見て言われるのであって実際にはアイドルでもトイレには行っていますよね(見せられない部分)。
24時間テレビを見て「障害者ってこうだよね」と言うのは限りなく「アイドルはトイレに行かない」に近いと思うんです。
 
そういったこともあるので、24時間テレビの功罪の功に募金という形で僕等が関わっているとすれば僕等は罪の部分にも大きく関わっていることになるんですよね。
それに最近はどちらかと言えば24時間テレビに対しては番組をより良くしていくための建設的な批判よりも気に入らないからというヘイトスピーチの方が多いような感じもして、そういう連中からは距離を置くようにしています。

 

 
以上は乙武さんの動画に対する僕のコメントの前半部分だ。
 
もし「障害者ってこうだよね」と思ってしまっているのなら、24時間テレビを批判する前に自分達がそう思ってしまうことを問題視すべきだろう。
24時間テレビに限らずテレビ、さらに言えばYouTubeのような動画を初めとするツールに映っているのはその人の一面に過ぎないのだということを自覚すべきだ。
 
それに感動ポルノだという批判の中にもし相手の意図をくみ取りもしないで「カンドーぽるの」だのという悪意あるヘイトをやっている行為があるのならそれは批判ではなく誹謗中傷で以前の記事で書いたようなクレーマーの行為と変わらないし、何よりも自分達自身の問題点を棚上げしてしまっていることが一番の問題だ。

 https://note.com/reijihandou/n/n62842181c58d

そういった連中と関わってしまったら……?
 
僕は時々自分の過去のツイートを見ることがあるのだが、恥ずかしい話をすれば時々「悪に対して不当や不適切という悪で応酬してしまっていないか?」、「感情的になってしまっていないか?」、「自分の価値観を絶対的なものと思ってしまっていないか?(もちろん違法行為やマナー違反をやってはならないということは絶対的だが……)」と省みなければならない内容が残念ながらしばしば見られる。
 
悪意ある連中から距離を置くようにしているのはそのためだ。
 
しかしその一方で悪意があるわけでもなくヘイトでもない、なるほどと思える建設的な批判をしていた人がいた。
 
それが兼近さんだったのだ。
 
兼近さんが24時間テレビに対してどういった意見を述べていて、それを聞いて僕が何故なつほどと思ったかというと……乙武さんの動画に対する僕のコメントの後半部分をそのまま書いた方が分かりやすいだろうか?(←重大な問題が発生したため、「そのまま」では書けなくなってしまいました。申し訳ありません。) 


 
乙武さんがこの動画を上げられる少し前(だったかな?)に仮面女子の猪狩ともかさんがア○プラに出演したことがありまして、その時のMCがEXITでした。
 
猪狩さんが車椅子に乗っていることもあって障害に関する話も出ていたんですが、終盤で平石さんが障害者が注目されるイベントとしてパラリンピックや24時間テレビを上げていました。
 
24時間テレビに対して猪狩さんは「障害者がテレビに出るのは別にいいじゃん」的なことを言っていたんですが、その後の兼近さんの発言に僕はなるほどと思いました。
 
おおまかな前半の内容はこんな感じでして…
 
「24時間テレビを批判している人って障害者を批判しているわけではないじゃないですか。俺等みたいの(タレント?)が出て行って、障害者を使って金儲けしてんじゃねえかよって視点で批判してて、俺もその視点でムカついてんですけど…」
 
ここまで聞いたときは僕は「え?」と思ったんですよね。
テレビに映るのが健常者の場合だと、例えば不幸な事件に遭った人を面白おかしさを狙ってカメラで追い回したりする行為に対してなら批判的な意見も寄せられるでしょうし、その酷さに腹を立てることもあると思います。
ですが上記の下仁田納豆や浜野製作所の特集なら、組み方にもよりますけど企業広告にもなるわけでテレビ側と映る側がwin-winな関係になるでしょうから批判的な意見は少ないと思うんですよ。
健常者を使って金儲けするなら映る健常者次第なのに障害者を使って金儲けするなら批判ということになるんじゃないかと疑問に思ったんです。
 
ですが、その後の内容を聞いてさすがダテに人気芸人というわけではないんだなと、分かりやすい形で建設的な話をしていたんだなと気付きました。
 
兼近さんの発言の後半は…
 
「だから全部さらけ出せば良いと思うんですよね。こういう目的があって、これだけ費用がかかって、儲けた分はこういうことに使います、こういう受容があってやっていますって全部言えばいいのに、何か誤魔化し誤魔化しやっている感じがする。だから俺、自分が24時間テレビに呼ばれることがあったら言ってやろうと思うんですよね。俺、ギャラはこれくらい貰ってるんですよね~って。だけどこういうことのために使いますって」
 
…でした。それを聞いて僕はなるほどと思いました。否定はせずに建設的な批判をして且つ自分はこういう実践をやっていこうということまでしっかり言える兼近さんは凄いなと思えたんです。
 
なので24時間テレビに対する一番建設的な見方をしていたのは実は兼近さんだったのかなと…
 
さすがに貰っているギャラを公開するのはまずいのか、りんたろーさんからは「やめな」と言われて猪狩さんからはビビられてましたけど…

 

 
どうだろうか?
 
映す側と映る側がwin-winな関係になり、そしてそれをさらけ出すということが出来れば24時間テレビに限らず映像を作り見せる側に対する理解はさらに深まるのではないだろうか?
 
そして否定はせずに建設的な批判をして且つ自分はこういう実践をやっていこうという兼近さんが今年の24時間テレビのチャリティーランナーに選ばれた。
 
しかも兼近さんは自ら「もし僕でよければ全然やりますけど」と自ら立候補したらしいことも明かしているのだそうだ。

 だから僕は今回の兼近さんの起用を面白いと思ったと同時に彼の意思を尊重しようと考えているのだ。
 
24時間テレビについてどういった感想を持ち、どういった意見を述べるかは皆さん次第だ。
 
しかし、24時間テレビをより良いものにしようと努力されている制作陣や出演者の皆さん、そして今回のランナーの兼近さんの意思を尊重することだけは忘れないようにして頂けると、兼近さん達も……嬉しくなかったらごめんなさい!
 
 
 
……ちなみにりんたろーさんから「やめな」と言われたり猪狩さんからビビられるようなことなんだということはお分かり頂けると思うので、ギャラについても兼近さんが「俺、ギャラはこれくらい貰ってるんですよね~」と言って公開した場合は信念ある行動だと尊重して公開しなかった場合は突っ込まずにやはり彼の意思を尊重するようにして頂けたらいいんだけどな~(汗)
 
 
 
そして今回乙武さんの動画を引用させて頂いたので、お礼といっては何ですが乙武さんのこちらの記事を拡散させて頂こうと思います。

 乙武さんへの寄付が少しでも増えるように貢献できれば幸いですし、何よりも選挙に出るためにはお金がかかるという問題点のある現状を多くの人に知ってもらうことによって改善につながればと思います。

7/10追記

問題が発生したため、記事を編集し直しています。



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