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脱世間知らずを目指す女子の1人飲み

何を隠そう私(一応女子)は,1人で酒を飲みに行く。
という話をすると割と驚かれる。
でも,楽しいのよ。
だから今日は1人飲みの良さを共有したいと思う。

店選び
1人飲みを勧められても,なかなか1人で飲み屋に入るのは勇気がいると思う。もちろん私も例外ではない。だから,最初は知り合いと入店し,こっそり様子を窺うことにしている。
ポイントはカウンターの有無と店主のキャラ。
理由は簡単で1人で行くとなるとカウンターに座り,店に馴染めるかどうかが店主の力量にかかっているからだ。極めて他力本願だが,初心者は本当にここが大事。
チェーン店は論外だし,バイトがあせくせ働いている店も違う。規模感でいうと20席くらい,小さな個人経営のお店がいい。ここからは好みだが,私は日本酒が好きなので,探す店はいわゆる赤ちょうちん系だ。

振舞い
さて,いいなと思う店が見つかったらあとは1人で行けばいい。1人なら間違いなくカウンターに案内してくれるので,席についたら,あとは自由。
日本酒が好きとは言ったが,残念ながら私は銘柄がわかるわけではないので,お酒を頼むときは「オススメで」。
続いて,1人だと食事はどうするんだ?と思うかもしれないが,私は「適当に」。複数人で行くときは,それぞれ好きなものを頼みシェアをすればいいし,メニューも複数人を前提に作られていると思うが,1人でそれは難しい。だからお任せにするのだ。そうするとお店の人は小鉢や盛り合わせの形で出してくれる。私は食にこだわりがないし,好き嫌いがないわけではないが,出された物はなんでも食べるので,これが良いのだ。

一期一会を楽しむ
そしてなんといっても醍醐味はこれ。
自由に過ごせばいいのだが,しいていうなら携帯にかじりつくのはやめた方がいい。
カウンターは大体が1人で来ている人か,常連さん。なんにもしなくてもこちらも1人なので,話しかけてくれるし,店主が他のお客さんと繋いでくれる。話題という話題はない。目の前の料理や酒をあれやこれやと品評し,店内を流れる音楽に耳を傾け過去を懐古し,思わぬ共通点が見つかれば頬を緩める。そうして生まれた妙な一体感に身を任せる。
これが楽しいのだ。
自分が何者であるかは問われない。
大人になると友達を作る機会は格段に減るし,損得なしに話ができる人間は減ってくる。
これは怖いことではないか。
知己や同業者としか話さなくなるとどんどん視野が狭くなり,思考が凝り固まっていく気がしている。それでいいと言われればそれまでだが,私の場合は,これが仕事に直結する。
なぜなら弁護士は,「社会正義」の実現をその使命とするからだ(弁護士法1条1項)。

自分の正義ではない。

高度の法律知識や技術を武器に,依頼者のために戦うとき,その戦いによって,社会が変わることがある。例えば,同性婚の問題。同性婚を認めよという裁判を起こし,裁判所がこれを認めれば,日本は同性婚に向けて動き出すかもしれない。このときに,同性婚が認められないことで何が困るのかという具体的な不都合に加えて,時代錯誤だと主張するためには世間が同性婚をどう思っているのかを知っていなければならない。
だから,世の中の動きに敏感でありたいと思うのだ。

なんてな。
ちょっとかっこつけてみたが,既に書いた通り,細かいことは別に考えていない。そもそも世間知らずなので,大概のことが私には新鮮。
つまるところ,私は酒が好きで,人が好きで,おしゃべりが好き。
だから一人でふらっと飲みに行く。

コロナウイルスの流行により,おそらく多くの人は人と直接会う機会が各段に減ったと思う。誰かと連れだって歩くのさえ,人目を憚られるようになってしまった。
しかし,こんなご時世だからこそ,まだ1人飲みをしたことがない人には,ぜひこの面白さを体験してもらいたい。
SNSにはない,代替不可能なコミュニケーションの先に見える世界があると思う。

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