見出し画像

前を向く そして追いかける

その人の存在を知ったのは、去年の春頃のことだった。その頃の私は小説を1作書き上げて、YouTubeで最終選考の様子が公開されている小説現代長編新人賞への興味を持ち始めた頃。
とりあえず小説現代長編新人賞へ投稿した人の声を知りたいなと思ってTwitterで検索をかけたとき、その人の投稿を見つけた。1次選考を通過したというその人の投稿は、当時どうせ自分の作品は投稿しても1次選考で落ちるだろうと思い込んでいた私にとって燦然と輝いて見えた。

次にその人の名前を見かけたのは、自分が小説現代長編新人賞へ投稿をして1次選考の通過作品一覧を見ている時だった。その人はその年も小説現代長編新人賞へ投稿していて、1次選考を通過していた。おかげさまで私も通過出来て喜んだのをよく覚えている。

noteでその人をフォローしたのはいつだっただろうか。勝手に親近感を抱いて、フォローした。Twitter(X)も同時期にフォローしたように思う。
note大賞でその人が賞を受賞したことを知った。すごくしっくりきた。この人はデビューするんだろうな、と漠然と思っていたことが実際に起きて腑に落ちたというか。

その人というのは、秋谷りんこさん。5月に文春文庫から「ナースの卯月に視えるもの」でデビューされる。
刊行に先駆けて、別冊文藝春秋で1,2話が公開されているものを読んだので、ちょっとした感想を。読むときの私は基本面白いか面白くないかの二択の感想しか持たないので淡泊になるのはご容赦ください。

看護師という職業への解像度の高さと、思い残しが視えるというファンタジー的要素が上手く共存しているなという印象。どちらかのバランスが崩れたらきっとちぐはぐな印象になると思うのだけれど、そうならないところに筆力を感じる。(なんか私、偉そうである)
卯月が悩みながらも患者の思い残しと向き合っていく様はぐっときて、思い残しが解消されてほっとする。1,2話だけだと解き明かされない部分もあるので、刊行された際には佐賀之書店へ買いに走ろうと思う。

私は今年も公募に挑戦する。受賞して前を走っている人たちが秋谷りんこさんを始めたくさんいる。野性時代新人賞を受賞した方も一人は、きっとこの方はいつか受賞するんだろうなという人だった。私の直感は割と信じていい。過信は禁物だけれど。
私も前を向きたい。前を向いて、スタートラインに立ちたい。受賞はゴールじゃなくてスタートラインだ。私もそこへ立てるように書きたい。先にスタートラインに立って、走り出した人たちの背中を私は追いかけたいのだ。

私も誰かの「その人」になりたいなと思う。

よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは小説を書く際の資料などに使わせていただきます。