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仮義足と本義足の違い

義肢装具に関わる医師、理学療法士にはぜひ覚えておいてもらいたい知識です。

仮義足

仮義足は正式には訓練用仮義足と呼びます。公的医療保険を利用して医師が病院で処方することができます。これが1本目の義足となります。

誤解されやすいのですが、”仮”義足とはいえ出来上がる義足そのものは本義足と変わりありません。”仮”と名付けられているためあまり長く生活で使えるような義足ではないと思う患者さんもいるのですが、そうではありません。

この義足の費用はいったん全額、義肢装具士に支払わなければいけません。ざっくり下腿義足であれば50万円から70万円、大腿義足であれば70万円から100万円くらいします。

そして退院後に患者さんは市区町村や会社の健康保険組合などの保険者に費用の還付請求をします。病院の窓口で3割負担の方であれば7割が還付されることになります。これを償還払方式と言います。

臨床ではこのいったん全額支払うというのがかなりネックでして、貯金のある方や生活保護の方は問題ないのですが、金銭的に余裕はないのにギリギリ生活保護になれない経済状態の患者さんが一番困ったことになります。義足を作ったはいいけど費用が支払えないのでは義肢装具製作所は大損害です。義足のリハビリを実施する前に、必ずこの費用負担の話を患者さんにしておいたほうがよいです。不要なトラブルを防げます。

本義足

本義足は2本目以降の義足のことを指します。仮義足をしばらく履いていて合わなくなってきたら次の義足を作ります。それが本義足になります。

本義足は身体障害者手帳、つまり障害者総合支援法を利用して作ります。福祉が費用のかなりの部分を負担してくれます。ユーザーは1割または37,200円のどちらか安い方を負担すれば義足を作ってもらうことができるのです。

この時、仮義足のように、いったんユーザーが全額支払うということは必要ありません。初めから自己負担分のみ支払えばよいことになっています(代理受領方式)。その代わり本義足を作る前に事前に市区町村に申請し、更生相談所で判定を受けて、支給の許可をもらう必要があります。

生活保護の方は自己負担0円で作ることができます。高額所得者の方は全額自己負担となるので注意が必要です。


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