いまさら気付くOVFビューアシストのスゴ味

Noteさんが8月31日までに記事を書きましょうと催促してくるので……、というわけでもありますが、予約開始日10:00ちょうどに予約していた EOS R5 Mark II(以下、「R5II」と呼ぶ)が無事、着弾しました。
品薄が叫ばれていますが、手に入ってしまえばこの悪天候続きの中、慌てずのんびり触ろうかと設定をちらちら確認していたところ……、一点、意外だった項目がありました。
えっ、『EVFの「ブラックアウトフリー表示」、「OVFビューアシスト」と同時に使えないの!?

EOS R5 Mark II 設定画面

前回の記事に書いたように、R1 / R5II の DIGIC X は想定通り、現像に専念して、その他の処理を DIGIC Accelerator に任せているという情報がキヤノンさんへのインタビュー等から公式に出てくるようになりました。裏を返せば DIGIC Accelerator は現像以外の処理に専念できるため、そこそこ処理能力を持て余しているかと思っていたので、OVFビューアシスト使用時はブラックアウトフリー表示にできないというのが少し意外だったのです。

EOS R3 からキヤノンのRFマウント機に搭載された、ミラーレスカメラのEVFをOVFのような自然な見え方にする技術、「OVFビューアシスト」
露出シミュレーションのように、トーンカーブ被せてLUTを当てる程度の軽い処理ではなく、何か特殊なことをやっているだろうとは思っていましたが、

  • ブラックアウトフリーと併用できないほど重い処理を行っている

  • 時間軸方向に作用する何等かの処理を行っている

のいずれか、あるいは両方なのでしょうか……。
気になって改めて検索してみると、キヤノンさん公式の解説ページがありましたじゃないですか!

こちらを見ると、やはり単純な変換処理をしているだけではなさそうです。「時間軸方向に作用する処理」を思わせる記述もありますね。
デジタル時代の EOS は世代を重ねることで、これまで同時使用できなかった機能がどんどん併用可能となる進化を続けていますが、OVFビューアシストもいつかはブラックアウトフリーと両立できるのでしょうか。「時間軸~」がネックではありますが、実現させて欲しいですね。

OVFビューアシストにはヒストグラム表示ができないという弱点もあります。これだけこだわりの技術が投入されていても、レビュー記事などの「下位機種ではダイナミックレンジが狭い」なんて的外れな批判(「自然な見え方」の要素のほんの一つでしかない)を真に受けて、活用している人は少ないような印象があります。
現状、OVFビューアシストはブラックアウトフリーにはできませんが、レフ機時代はミラーの影でファインダー像はこま切れになっていたのですし、某なんとかストリームだとか仰々しい技術を投入したところで、結局、現行ミラーレス機の性能ではEVFには1/60秒ないし1/120秒前の像しか映ってないんですよ。
今まで喰わず嫌いだった方も、ミラーレスからカメラを始めてOVFなんて知らないよ、という方も、一度試してみてはどうでしょうか、OVFビューアシスト。
私は慣れた撮影場所でヒストグラムの確認が必要ないときはすぐ使えるよう、メニューに登録しています。

R1に関するメーカーへのインタビューだったか(ソースは探すのが面倒なので割愛)で、ビューファインダーの輝度はどのくらいかという質問があり、キヤノンの回答はノーコメントでした。これは競合他社が4000cd/m2の高輝度パネルを採用したという背景があっての質問だと思います(EVFのパネルはどのメーカーも外注で、同じ所から仕入れているという噂。なので、どの型番のパネルを採用しましたか、と同義のマヌケな質問ですね)。アンチな方々はキヤノンが勝負から逃げたと思うのでしょうが、「そんな次元で勝負していないんだけどなあ」というのがキヤノンの本音ではないかと思っていました。
実際、時間軸に沿った処理も入っており、まさに次元が違った、というお話でした。


(2024/9/6 補記)
設定を触り始めたときは、「ブラックアウトフリー表示」のOFFは「完全なブラックアウトフリーではない」という意味なのかと思い込んでいたのですが、あれ? 今回 R3 からの変更点であるブラックアウトフリー表示時に1コマ目に黒フレームを挟むか挟まないかの設定がどこにもない……!?
そう、R1 / R5II はそもそも常時ブラックアウトフリーなのですね。メニューの「ブラックアウトフリー表示」こそが、1コマ目の黒フレームON/OFFの設定でした。
EVFを覗いていると、OVFビューアシストのON/OFFで、高速回転するもの(サーキュレーターの羽)の見え方が明らかに違います。どうやら、記事内にも時間軸に沿った処理、と書いたように、フレーム間の補間処理が入っているようです。なので、ビューアシストONのときは逆立ちしても1コマ目の映像が作れない、という理屈で、ブラックアウトフリー表示をONにできないのですね。
個人的には連続撮影開始時に黒フレームが1つ入る方が、瞬間を狙う人間には有難いと思っています。