「JKビジネス規制条例案」について思うこと。


11月18日、警視庁が「jkビジネス規制条例案」を発表しました。


警視庁は18日、女子高校生らに男性客の接待などをさせる「JKビジネス」を規制する条例案を公表した。18歳未満の少年少女を働かせることを禁止する。一般の人から意見を聞いたうえで東京都議会に提出し、来年中の成立を目指す。条例案は客にマッサージなどをする「リフレ」や一緒に街中を歩く「散歩」など6業態を規制対象と規定。18歳未満を働かせることや、スカウト行為を禁止する。都公安委員会が事業者に営業停止命令を出せるようにし、違反行為に対する罰則も盛り込んだ。JKビジネスを巡っては、5月に警視庁の有識者懇談会が法規制を求める報告書をまとめている。(出典:毎日新聞


2016年が「JKビジネス最終章」と言われていますが、今後の"JKビジネス"業界はどうなっていくのでしょうか?


個人的な推測では、条例案を見る限り、ほとんどの「JK風リフレ」・「JK風見学店」などは今まで通りの営業を続けていく(続けられる)のではないかと思います。



というのも、

今回の条例案を要約すると...


A.18歳未満を"JKビジネス"で働かせてはいけない。勧誘禁止。保護対象に。


B.リフレ・見学店・お散歩店などは東京都公安委員会への届出義務が必要になる。


C.営業者に対する報告徴収(報告を集める)、立入検査、従業員名簿の備えつけ義務。


D.学校、病院等の施設の周辺や住居集合地域における営業を禁止。ビラ配布等も禁止。


E.営業者の届出義務違反、18歳未満を"JKビジネス"に従事させた場合には罰則あり。



今回の条例案では青少年(18歳未満)におもきをおいたものになっています。

世間的には「JKビジネス」は現役高校生が働いていると思われがちですが、そのような店舗はほんの数店しかないのが現状です。現状の『JKビジネス』で働くための1つの条件。それは"JKではないこと(18歳以上)"といっても過言ではありません。


あくまで今現在、営業しているほとんどの店舗は「JK風ビジネス」=「制服ビジネス」=「萌え文化」なのはご存知の通りかと思います。なので、今回の条例を通して...大部分のリフレ店などが廃業に追い込まれるということは無いと思われます。



A.【18歳未満の雇用に罰則】に関しては現行法の「労働基準法違反(有害業務)」・「風営法違反」などでも、店舗ごとの営業実態によっては、摘発や指導される可能性はあります。「制服相席屋」の摘発時には、青少年(18歳未満)が性的サービスを提供していた恐れがあるとして「風営法」が適用されました。


B.【届出義務】に関しては"営業実態が透明化される"ので良い事だと思います。


C.【従業員名簿の備えつけ】に関しては非常に重要だと思います。実際にここ数か月の間に、突発的に店舗に(現時点で条例的義務はありませんが)、関係者の方が「従業員名簿」のありなしを確認しに来ているという事例もあるようです。


E.【届出義務違反・18歳未満を雇用させた場合に罰則規定の追加】に関しても、最終的には現行法の「労働基準法違反(未成年の有害業務)」と実質的な中身は変わらなさそうなので、条例化したところで形骸化する見方も出来ます。



おそらく罰則規定は以下のような内容になると思われます。


・「営業停止命令違反」

(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)


・「青少年の客に接する業務への従事禁止違反」

・「青少年の立入禁止」

(6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金)


・「勧誘行為禁止違反」

・「青少年へのビラ頒布禁止違反」

・「従業員名簿の備付け・保存義務違反」

(30万円以下の罰金)



今回の「条例案」に目を通しても、有害業務の可能性がある営業者に対して、現行法で取り締まることを、条例化した内容になっています。

また、罰則規定に関しては、見方を変えれば「罰金さえ払えば大丈夫」という考え方もできます。それで本当に大丈夫なのでしょうか。


条例化をして、どれほどの効果があるかは不明というのが個人的な思いです。しかし、「届出の義務」・「従業員名簿」の徹底に関しては...営業実態、被雇用者を透明化(安全に雇用)することができるのではないでしょうか。


今までは許可・届出の必要が無く、警察による立ち入り調査を行うことが出来なかったので、その部分を透明化するための条例化なのでないかと推測します。



愛知のJKビジネス、違反は10件 18歳未満の少女働く店はなし(出典:産経新聞)

愛知県は2015年7月に「jkビジネス規制条例」を施行しました。東京都は愛知県に遅れて2年後の施行となりますが、愛知県では一定の効果をあげているようです。


今回の条例の目的は「青少年の健全育成を図る」という部分におもきを置いているため「JKビジネス」自体を規制するものではないかもしれません。対象が「青少年」つまり、「18歳未満」であることから18歳の高校生は、今回の条例の対象外なのでしょうか?この曖昧な部分も非常に気になります。


なので、今までと比較するとより安全な(?)「JK風ビジネス」になっていくのかもしれません。しかし、届出制になることで、店舗型の新規店を開業するのは以前と比べると厳しくなり、今まで以上に"派遣型リフレ"が増えるのではないかと予想されます。


「JK風ビジネス」自体が"悪"という考えをもっている方も、もちろん居られると思われますが、そこは個人の価値観次第でしょう。



各所でも話題ですが都内にJKビジネス店(18歳未満を雇用している店舗)が170件もあるという報告書そのものを疑わざるおえません。そこから分かるように…わずか数回の不十分な議論のまま条例化することが一番懸念されるところです。


規制ももちろん大切ですが、"JKビジネスで働かざるおえなかった青少年が一部いる"というのも事実です。主な原因は、経済的困窮や家庭不和問題や虐待問題など...。なので、JKビジネスを本当の意味で解決するには"規制"と"福祉の充実"の両方が必要なのではないかと思います。



『いわゆるJKビジネスの対策に関する意見募集について』

警視庁では一般の方からのパブリックコメントを11月30日まで募集しています。


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