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ロレックスのモデル別年間生産量データから分かったこと

7/30更新

⚠計算が間違っておりましたので訂正しました。
またYou Tubeでも同じ内容配信しましたので、合わせてご覧ください!


今回はロレックスの資産性についてお話します。

ZENMAIさんのブログで、ロレックスの生産量の内訳を公開して話題になっています。

元は中国の時計フォーラムサイト記事を翻訳したものです。

一応断っておきますが、これらはロレックスによって示されたデータではありません。このデータもエビデンスが示されておらず、独自調査による概算データであり、信憑性は低いかもしれません。まあ大体こんな感じなんだろうね〜、という軽いノリで以下私の見解をご覧ください。

極端に少なかったデイトナSSの生産量

ここ、ロレックスの販売戦略が見えてきましたね。
個人的に一番驚いたのが、SSより多い金無垢の生産量です。

ここから分かった販売戦略の巧みさは、SSが買えないフラストレーションを粗利が稼げる金無垢に向かわせた事。そしてそれに成功していたのが売上で読み取れる事です。

正規店では、金無垢の方が圧倒的に少ないと聞かされていましたが、このデータを信用すると、売り残りの金無垢を売るための嘘だったとなります。
スタッフの口車にまんまと踊らされた人々によって、これだけの売上を稼ぎ出した(なんとデイトナシリーズのみで年間売上22.5億ドル※IWC社の3年間の売上に匹敵!)んですから、あっぱれ!の一言ですよね!

なんとデイトナシリーズのみで年間売上22.5億ドル(IWC社の3年間の売上に匹敵!)https://www.xbiao.com/rolex/72045.htmlより

3万本が多いという誤解

あと、3万本が多い!と言う人がいますよね。確かに時計業界で見ると恐ろしい数字ですから、そのリアクションは正しいです。他のブランドで、世界限定1,000本とか言っても数年余っている上、セールで叩き売りされるのが普通なので、無理もないです。

しかし、規格外の規模を誇るロレックスは世界のどの地域でも不動のNo. 1シェアです。日本人が欲しがるように、世界中の人々が欲しがっている前提を踏まえてこの数字を見ると真逆の印象に変わります。
私の印象は、「正直これはかなり少ないぞ…」と驚きました。

それは以前私のYouTubeで解説した、なぜ世界的にロレックスと双璧をなすオメガがプレ値にならないのか?で詳しく解説しました。

かいつまんでお話すると、その中で、他社は需要分散を産む商品ラインナップを採用しているからとお話しました。

ロレックスは業界でも特殊な一点突破型を採用し、絞り込んだ商品ラインナップで1モデルごとに莫大な開発費を掛けて他を圧倒して来ました。

比較例として、シーマスターダイバー300を見ても実に44モデルもラインナップして需要を分散させていますから、そこそこの人気モデルでも奪い合いとまでは発展しません。

44モデルもあり、サイズも豊富なオメガ・シーマスターダイバー300

対して大人気のサブマリーナ は僅か8モデルに絞り込み需要を集中させています。

つまりオメガより大人気モデルにも関わらず5.5倍も絞り込んで飢餓感を煽る事に成功しています。そのサブSSも記事によると約6万本も作っています。

これで言えばデイトナSSはサブマリーナSSよりさらに大人気にも関わらず、半分の約3万本しか作っていないのです、そりゃ足りんわ!
しかし、これは狙って生産を絞っていることが明らかになってしまいました。
なんで分かるか?なぜならデイトナは全素材トータルでは126,893本も作っているのが分かってしまったからです。つまりクロノグラフムーブメントのCAL.4130自体はこの数量を生産できた訳です。それをSSケースには入れず、粗利の高い金無垢ケースにそっと約9万本も多く入れて販売したのですから…狡猾!

https://www.xbiao.com/rolex/72045.htmlより

まあ、これほどの大人気商品を単価も粗利も低いSSでたくさん作るメリットは何にもありませんから、当然の選択でしょう。

時計投資家(?)たちは大慌て⁉デイトナ金無垢の市場価格は波乱の予感。

これまで金無垢がレアとされ、デイトナマラソンの勲章とされてきました。かつての手巻きデイトナ金無垢などは歴史的に生産量が少なかった事が判明していましたから、それを疑う人もいませんでした。しかしSSの3倍も多く生産されていたとなると話は全く変わってきます!本当なら市場価格は大混乱です。

確かに正規店では、金無垢購入者には厳重にSNS報告をしないよう、かん口令を敷いていたと聞きます。これが実は入荷が多い事がバレないようにする対策だったとするなら、選民意識を逆手にとった上手な戦略ですよね〜。「あなただけだから、みんなには内緒ね!」と言われたら、人は言わないもんです。

正規店で定価で買った方なら、そこまで心配はいらないとは思いますが、資産性を見込んで、金無垢をプレ値で買った方はちょっと不安なデータでしたね。
(私なら、この怖いデータ見た直後に即売却です😂)

私のスタンスは、資産性も見込んで時計を買うならSS一択です。
ただ、その中でも資産性度外視で惚れてしまう時計というのがどうしても出てきます。そういった時は明確に自分の中で切り分けをしておかないと、こういった状況でいちいち心が揺らいで時計が楽しめません。
※時計に対して資産性とガチ度のバランスのとり方を、私なりの経験を元にお話した動画があります。もしよければ参考にしてみてください。

「年間120万本⁉多!」と驚いてしまった方

ロレックスの生産規模は桁違いで、他の時計ブランドと比較すると、こんなに数量作ってプレ値になるなんて、信じられない方が多いでしょうね。

これについても過去に私のYouTubeで詳しく解説した動画がありますので、よければご覧ください。

かいつまんでお話すると、ロレックスは空前の時計ブーム以前から80〜100万本という大規模生産を続けていました。それでも需要を満たせていなくて、一部モデルは現行機でありながら、並行価格はプレ値の歪な市場価格を形成していたのです。
(もちろん、今のような異次元なプレ値ではなく定価の20〜30%増程度です。)

2017年以前は一人1〜2本所有が一般的だったが…

そして、2017年の伝説のオークションでの落札価格がきっかけとなり、空前のブームが始まりました。時計は実用性と資産性を兼ね備えた実物資産だという捉え方が富裕層の間で一気に強まりました。それが一般庶民に知れ渡っていくごとにブームは過熱していきました。

そして、現在ロレックスの所有本数はガチマニアではない、一般的な人であっても5本以上所有するのが普通になってしまいました。貯金感覚で時計を買う人が現在は大多数です。

SNSを見ると、現行機ばかりズラリと並べた写真を良く見かけるようになりました。そういった方々は間違いなく、2017年以降から資産性を意識して時計を所有するようになった方々でしょう。

つまり、時計を所有する価値観が大きく変化した今、需要規模はどんどん膨れ上がり、100万本では全く足りない状況になってしまったのです。
これは、ガチ勢と資産性目的ともに、複数本所有がスタンダードになってしまったのが原因なのです。
この背景にフォーカスしたプレ値のメカニズムについても、過去の動画で詳しく解説しています。

※ガチ勢は今の異常プレ値を、ただただ転売ヤーのせいにしたがりますが、自分もこの原因を作っている事を忘れてはいけませんよ〜😁みんな共犯なんです。

一ヶ月に何本の入荷?計算で分かったデイトナSS白文字盤の店舗ごとの入荷数!

最後に、今回の生産量データを元に一店舗に白文字盤のデイトナは年間何本入荷していたのか?を計算して終わろうと思います。
※これはあくまで平均の入荷数量です。
後日YouTubeにて公開予定です。チャンネル登録頂き、お待ちください!(公開後ここにリンクも貼る予定です。忘れなければ…)

・世界のロレックス正規店の店舗数=1559店(※2021年データ)
・日本のロレックス正規店の店舗数=56店(※2023年現在)


デイトナSS年間生産量=126,893/3=約42,298本
 
※全体の1/3がSSという計算したら…3万本じゃないやん! なので、こっちの数字で計算します。

上記計算が誤っております。
126,893*0.3(30%)=約38068本
どちらにしても3万本というより、約4万本でしたね。

※文字盤の内訳
 
白=19,034本
 黒=23,264本

 白=17,131本
 黒=20,937本
 (白:黒=4.5 : 5.5 ※クロノ24の販売数量からREF.2021的の直感比率!)

●一店舗あたりの年間入荷本数(世界全店舗平均)
19,034本 / 1559店=約12.2本
17,131本 / 1559店=約11.0本
全世界で年間でたった12本11本程度しか入荷していなかったことが分かります。つまり一ヶ月に1本の入荷です。

●日本への年間入荷本数(平均ベース)
(19,034本 / 1559店)×56店=約683.7本
(17,131本 / 1559店)×56店=約615.4本
日本へは他国より多く割当があると言われているため、この数量より多くの本数が日本には入っていると思います。
仮に+10%多いとなると…約752本で13.4本/店舗に!約677本で12.1本/店舗に!結構リアルな数字ですね…

【おまけ】旧デイトナ116500LNの白文字盤の現存数を計算してみた。

旧デイトナ116500LNは、7年間製造です。
しかし、先ほどの白=19,034本白=17,131本は、最も生産が安定していた2021年のデータと考えるとこの数字を7年間作った訳ではありません。リリース後数年は安定せず、生産数が少ない事が分かっています。しかもコロナによる生産停止期間もあったため、多く見積もって実質5.5年の製造期間と見ることができそうです。

19,034本×5.5年間=104,687本
17,131本×5.5年間=約94,221本

旧白文字盤はマックス10万本が市場現存数と考えられそうですね。
歴代最高傑作と言われたモデルですから、10万本と考えるとかなり少ないと思います。
これ以上生産されない事を考えると、将来の資産性はかなり期待できそうです。こちらはガチホ確定ですね。

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