衆院補選(東京15区)の維新の敗因と今後の戦略
先日の東京15区や長崎3区で維新は惨敗した。しかし、言い訳のような分析が多いように思える。そこで維新の敗因を分析反省していく。
1.反省の仕方
まず、反省する上で維新以外のせいにするのは絶対にやめるべきだ。また、維新だけではどうすることもできないことを反省しても意味がない。
例えば、Twitter上でも立憲や共産の組織票のせいにする方も一定数いるが、維新ではどうすることもできない。投票率も維新だけどうにかできるものでもない。
立憲共産党は組織票だよね。
— morig (大阪府民) (@morig_morig19) April 28, 2024
ただ、維新は無党派層の票が取り込めていない。
また、今回は隠れ自民票も侮れないと思った。 https://t.co/an5mZwcNEd
万博も決めた以上それありきで戦う必要がある。本選では連合や自民党組織、創価学会を相手に戦わなければならない。これは宿命だ。
大阪では低投票率でも選挙で勝ってきた歴史がある。そのことを考えれば、投票率も言い訳に過ぎないかもしれない。
投票率が低すぎる。
— めいくん@くるぞ!大阪関西万博2025 (@meikun00) April 28, 2024
今の政治に関心を持たせられなかった維新の戦略負けと言えばそれまでだが、金澤氏の力不足というわけでは決してないと思いますね。
組織票に勝つには、選挙に行かない有権者を投票所に足を運ばせるしかない。
現状に満足する東京都民は政治に無関心過ぎたのが敗因。
有権者を問題視するのはもってのほか。また、小池百合子のせいにするのもおかしな話で、維新は望んで全面対決をしているにもかかわらず敗因に挙げている。
2.敗因
1.活動量
1万5000回というのは2020年からの累計であって衆院選後からの累計ではないこと。初期は100か所回ってたものの途中からは20~50回に減っているということです。
— レッドスター( 政治、ウマ娘、アニメ) (@redstarsenkyo) April 29, 2024
仮定ですが
最初の2年で土日平均50回とすると11380回
次の2年で土日平均20回とすると5140回
計16520回
衆院選後の活動量が2分の1に落ちてる https://t.co/QrKVhPLCoD pic.twitter.com/KzVTSzY6JS
馬場さんからは、すでに総括と今後の方針は示されています。
— kok*k*kko*_01 (@kokkkko01) April 30, 2024
総括:活動がたりない
方針:今までの10倍100倍の活動量。具体的には、前の日の夜に「明日の朝集まれ」といったら50人集まる体制作り+ポスター1000枚
これに沿わない意見を言うのは、大変難しいと思います。
まず、これを論じるには金澤さんの発言について考える必要がある。そもそも4年間で1万5000回の辻立ちをしたのかという問題。
馬場代表が総括として活動量が足りないと発言しており、今後の方針として、10倍、100倍の活動量をすることも発言している。では、彼女の発言で言われている活動が事実だったとして、10倍、100倍の活動量ができるのかということである。
上記のサイトは江東区における戸建て、集合住宅の世帯数と事業所の数が明記されている。江東区の戸建て住宅は31,560世帯、事業所数は19,748ある。彼女は、ポスターを1000枚を貼っていたと仮定してそれを10倍、100倍に増やせるかと言えば、10倍と仮定すれば、戸建て住宅だけに貼っていけば1/3の家に、事業所を合わせたとしても1/5の戸建て住宅と事業所にポスターを貼る計算になる。100倍は無理な話で集合住宅の中の1軒1軒に貼る必要が出てくる。
辻立ちに関しても、最近は土日に20回~50回程度というのを加味しても1年間で2500回の辻立ちをしているとしているが、10倍、100倍となると年間2万5000回、25万回の辻立ちということになる。彼女が途中でしんどくて回数を減らしたものをその倍以上に増やせとなるのも難しい話だ。
まあ維新金澤由衣さんに関しては、辻立ち15,000回、ポスター1,000枚とかは確実に嘘というか盛り過ぎですね
— 火鍋チャンネル(ヨッピー本人) (@hinabe_ch) April 29, 2024
特にポスターは貼った場所は各候補どのくらいの活動量なのか選挙期間外でチェックしてたりもしますから… https://t.co/3BuLCrUQmK
もっと簡単なことを言えば1000枚も貼ってたらそこかしこらにポスターはあり、目にしているということだ。辻立ちを1万5000回もやってればみんな知ってるはずだ。投票率は低いならそのことに目がいく人の割合は格段に多いわけである。それなのに投票に結びつかないのは嘘を言ってるからという論調があってもおかしくない話とも言える。
党もその活動量の少なさを認識しているからこそ活動量が足りないという結論をだしたのは、その論調を裏付けるものになってる。
彼女の活動量は嘘を言ってないと仮定した場合、それは党が現場を把握しておらず、適当に活動量のせいにしているとも取れてしまう。
結局のところ、活動量が事実とするならばそれを増やせというのは、候補者の体力的に難しい話だ。
2.活動方法
>政治活動で、駅頭辻立ちはマラソンで言えば準備運動のようなものだしあくまでも空中戦です❣️大事な事は、どれだけ地域に根を下ろした地道な活動が出来ていたのか?個別訪問や集会を開いたり地域の行事にどれだけ参加するかで本番の浸透度が変わります
— たけぐら (@7jH3TS1FKOiwnok) April 30, 2024
落下傘の新人候補者に百万回聞かせたいところ https://t.co/lyllNZMZEs
これまで活動量で論じてきた辻立ちはあくまでも空中戦にかかるものである。ポスター貼りはどちらかと言えば地上戦、ポスティングは空中戦と地上戦の中間と言われているもの。ここでは衆院選後の2年間でどれだけの戸別訪問や集会に参加することができたかというのは得票に大きくかかわることである。もちろん後援会を大きくすることや、ポスター貼りも大事である。例えば、愛知10区の杉本氏は近畿以外では最も惜敗率が高い議員であるが、彼はポスター貼りばかり頑張ることで知られている。
1/4の港区の新年互礼会に始まり、昨日は中央区、東成区、西区さらには各種団体の互礼会が開催され、本日からもまだまだ続きます。 pic.twitter.com/yrNi22SzGy
— 井上 英孝(衆議院議員4期) (@HIDETAKAINOUE) January 6, 2024
今日は、#堀江ゆう 府議と能勢町郷土芸能保存会の総会に出席。
— あだち康史 大阪維新の会 (@adc9osk) April 29, 2024
帰路、故・辻靖隆元町長のご自宅に弔問に伺いました。何度となく町政のご相談にあがったことが懐かしく、改めてお悔やみを申し上げます。
夕方には、箕面市郷土資料館を見学。中村館長、ご対応ありがとう…https://t.co/4Lx4emYTn3 https://t.co/bbODPASPYn pic.twitter.com/qsNAYg0OvP
大阪では小選挙区で当選するような議員は、多くの集会に参加している。集会を自ら開くだけではなく、自分の足で参加しに行くことが重要です。人間は様々な組織や団体に所属している。この組織団体に顔を出すことは非常に効率よいものであり、地上戦で非常に重要な活動だ。この集会に参加することがこの2年間でどれだけ参加できたかは、得票に大きく影響してくる点だと考えられる。
3.政策
ここでは、政策について話したい。東京15区は自民党候補がいないという稀にみる珍しい選挙になった。この点において、自民党支持層から支持を手厚く受けたいがために外交、安全保障について演説することは悪くない戦略ではあるが、離れていく票も多かったのではないかと考える。
【金澤ゆい演説動画】
— 金澤 ゆい|衆議院 東京15区(江東区) 支部長 日本維新の会|マーケティング (@kanazawa_yui) April 23, 2024
「私たちの安全は当たり前ではありません」
「私たちは、自分たちの国を守っていく。安全保障にも力を入れていく。
これを現実路線で押し進めようとしているのは、金澤ゆいただ一人でございます」
(スタッフ投稿)#衆議院補欠選挙#東京15区補選#自衛隊 #安全保障 pic.twitter.com/g7geTUlQei
![](https://assets.st-note.com/img/1714590582113-4eFdzJrAG3.png?width=800)
上記のグラフはインターネット調査における日本の防衛力強化についての賛否だ。実は、この防衛力に関してインターネット上であっても強化に賛成している割合は5割に満たないのだ。電話調査になると強化すべきという声はより下がると思われる。つまり、有権者は防衛力強化に必ずしも賛成しているわけではないということだ。
また、日本保守党の飯山氏がいたことで防衛力強化をいくら訴えても、維新を支持することになるのかと言えば難しい話だ。
政治とカネの問題については、どの候補も同じような問題意識と解決策であり、違いなくそれを理由にして維新に投票する要素になりにくいという点もある。
3.今後の戦略
今回の衆院補選を受けての課題から維新は今後どうするべきか考えたい
1.政党経営の多角化
維新は大阪の実績による政党ブランディングを行っているが、それは大阪に限った話になっており、全国的な政治課題の解決、地域課題の解決を政治の側面では十分発揮できていないという事実がある。しかし、政治団体というのは政治活動を主たる活動とするものであって主たる活動でなければ営利事業などをすることも可能である。つまり、商業の観点から政治課題や地域課題を解決していくのも1つの手ではないかと考える。例えば、コンビニ経営をすることで過疎地域の買い物難民の救済したり、地域の社会インフラの拠点にもなりうる。また、様々な業界団体に加盟することも可能だ。
2.候補者育成施設、プログラムの創設
現在の維新は公募による候補者選定が主流であり、維新政治塾はあるものの、それは日帰りかつ回数も非常に少ないものとなっている。これは働きながら政治塾に参加できることから気軽に参加できるが、候補者育成の観点からすれば非常に不十分だ。現に公募だと当選後の離党や不祥事が相次いでいる。数ヶ月~数年単位での施設での候補者育成や育成プログラムを組むことによって0から質のいい候補者を育成できる環境を整備していくことが不祥事を無くしていくことに繋がるのではないかと考える。
3.党シンクタンクの創設
党シンクタンクの創設は議員の政策立案への手助けとなる重要なものだ。議員以上に詳しい政策の専門家が政策を策定することで、より現実的かつ最善の政策を掲げることができる。また、議員が選挙などに集中することができる点も大きな利点になる。また、党シンクタンクの創設は候補者育成においての政策面での育成に重要な要素になる。維新支持者の中には官僚出身議員を非常に嫌う人もいるが、議員ではなく一般人の立場から政策をつくるものなので彼ら官僚出身者を議員させる必要はない。また、彼らがいることによって霞ヶ関と戦いながらの政策実現が可能だ。
4.全方面全面対決路線の転換
【衆院15区のお礼と振返り】
— 古賀じょうじ/江東区議会議員/日本維新の会 (@koga_joji) April 29, 2024
金澤ゆいへのご支援に感謝申し上げます。敗れはしたものの、むしろ気合が増してきました。
活動を強化すべく振返りをさせて下さい。※個人的感想です
敗戦の大きな理由は2つ
党勢の差(立憲が全勝)
低投票率による組織票有利(40%)… pic.twitter.com/suNXdtE8Cu
>また、自民に対抗すべく野党が一緒になるべきだという意見を多く頂きました。
ここにおいては非常に賛否が分かれるところだろうが、野党同士で対決することにどれだけのメリットがあるのかというのはよく考えるべきである。少なくとも第3極の立ち位置あるもの同士、政策的にも近い都ファに関しては歩み寄りをしていかなければ、無党派層の期待が薄れていくのではないか。自民党には派閥が存在することでその巨大な組織を維持してきた。また、その派閥同士の権力闘争によってそれぞれの派閥(政策集団)の政策が実行されてきた。馬場代表の長所たるまとめる力とは派閥でこそ発揮される、真価が試されるもので、それこそ立憲との完全合流の上にその新党の最大勢力馬場派として野党第一党の党内で力を振るうことではないのかと考える。
4.終わり(橋下氏の予備選論について)
橋下氏の予備選論は党として合流できない上で、自民党に対抗するために編み出した妥協案である。それは党として比例代表を残したうえでの小選挙区での選挙協力を無理やりするものだ。しかし、この案を採用したことによる弊害は1つ、自民党が過半数割れを起こしたときに予備選で無理やり候補者を降ろされた政党は果たして彼らの政権に与するだろうかということだ。また、政権に加わらなかったとき、予備選は野党自民党とやることになるが果たして予備選として機能できるのかと言えば難しい。予備選をやるよりは党自体が合流することが最もシンプルかつ、比例枠を使った候補者救済もできる。また、自民党過半数割れ後の政権樹立にも支障がない。
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