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夏恋坂道

夏の坂道 駆け上ってゆく 息を切らして サンダルのまま


八月のセミは 休む間もなく鳴き続けて

会話らしい会話もない 僕と君を包んでく

あぁ何でだろう いつも通りにしゃべれない 

君のせいだよきっと 鼓動が邪魔をする

夏は短い 行くなら今だ 怖気づいてたら ずっと友達のまま

君に見せたい 景色は坂の上 空埋め尽くす  あの花火を君と


浴衣姿でいつもより少し おしとやかな君の

長いまつ毛を夕暮れの 風が揺らしている

あぁどうすれば スマートにイメージ通りに

僕の思いを 伝えられるだろう

恋の坂道 転んでばかり 「このままでもいい」 昨日の僕が言う

だけど「このままじゃダメだ」って 明日の僕が きっと言うはずだ


君が好きな“向日葵通り” 行き交う雑踏が ざわめいて予定の時刻を告げる

うつむきかけた花を見て君が言う 「夏ももう終わりだね…」

でも僕は まだまだ終わらせたくないんだ


恋の坂道 駆け上ってゆく 君の手を引いて まだ友達のまま

君に見せたい 景色はもうすぐ 空一面に咲き誇る花

夏の坂道 その頂上で 息切らす僕 君は黙ったまま

たかが一言 されど一言 言わなきゃ 伝えなきゃ 笑わないで聞いて


僕の思いを今打ちあけるから その後で 笑ってよ

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